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夜明け告げるルーのうた

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(2017年/日本 107分)
監督/湯浅政明 脚本/吉田玲子、湯浅政明 製作/清水賢治、大田圭二、湯浅政明、荒井昭博 キャラクターデザイン原案/ねむようこ キャラクターデザイン/伊東伸高 作画監督/伊東伸高 美術監督/大野広司 フラッシュアニメーション/アベル・ゴンゴラ、ホアンマヌエル・ラグナ 撮影監督/バテイスト・ペロン 音楽/村松崇継 主題歌/斉藤和義
声の出演/谷花音、下田翔大、篠原信一、柄本明、斉藤壮馬、寿美菜子、大悟、ノブ

概要とあらすじ
「マインド・ゲーム」「四畳半神話大系」「ピンポン THE ANIMATION」など個性的な作品で知られ、「夜は短し恋せよ乙女」も手がけた湯浅政明監督の完全オリジナルによる劇場用長編アニメで、人間の少年と人魚の少女の出会いと別れを丁寧かつ繊細な描写でつづった。フランスのアヌシー国際アニメーション映画祭の長編コンペティション部門に出品され、日本映画としては「平成狸合戦ぽんぽこ」以来22年ぶりとなる最高賞のクリスタル賞を受賞した。寂れた漁港・日無町で、父親や祖父と3人で暮らす男子中学生カイ。両親の離婚が原因で東京からこの町へ引っ越してきた彼は、両親に対し複雑な思いを抱えながらも口に出すことができず、鬱屈した日々を送っていた。そんなある日、クラスメイトの国男と遊歩に誘われて人魚島を訪れたカイは、人魚の少女ルーと出会う。カイは天真爛漫なルーと一緒に過ごすうちに、少しずつ自分の気持を言えるようになっていく。しかし日無町では、古来より人魚は災いをもたらす存在とされており……。人魚の少女ルーの声を人気子役の谷花音、主人公カイの声を「くちびるに歌を」の下田翔大がそれぞれ担当。(映画.comより



要するに、最高。

残念ながら見逃すことになりそうだなーと思っていた
『夜明け告げるルーのうた』
なんとか滑り込みで観ることができました。
しかもしかも、アヌシー国際アニメーション映画祭でグランプリにあたる
クリスタル賞を受賞したとあって
運良く湯浅政明監督の舞台挨拶の回で鑑賞することができ、
なんだかとても得した気分です。

『夜は短し恋せよ乙女』が公開されたばかりの湯浅政明監督。
本作の特徴は、完全オリジナル脚本であることと
全編FLASHアニメであることが挙げられます。
Appleが毛嫌いしているFLASHは、
ベクター系のソフトのため、拡大しても画像が荒れることがなく、
線幅が変わらなかったりするのが利点ですが、
絵面(とくに線)が平板になりがちな面もあります。
でも、そこはほれ。アイデアひとつでなんとでもなるということを
湯浅監督は本作で証明してみせてくれるのです。

湯浅監督は、「水表現」の挑戦として
本作を位置づけているようですがそれはともかく、
予告編を見たり、映画に関する情報を得たりすれば、
本作が『崖の上のポニョ』とそっくりな作品なんじゃないかという懸念は
誰しもが抱くはずです。
で、物語の大まかな骨格はほとんど同じといってもいいでしょう。
天真爛漫な人魚のルー
「そうすけ」ならぬカイにスキスキ〜♡と繰り返し、
みんなが仲良くできそうになったところで、関係が破綻。
自然界の怒り(「お陰様」のたたり)によって
世界が水没するクライマックスが用意されています。
そして、その後の和解まで含めて、
正直に言って、予想を裏切るような展開はありません。
そんなふうに、とてもオーソドックスな物語にもかかわらず、
それでも最高に面白いと思えるのは、
やっぱり湯浅作品ならではの
アニメーションを観る喜びに溢れているからではないでしょうか。

序盤は縦横に移動する登場人物をフォローする演出が連続し、
独特の遠近法やダイナミックなカメラワークは
言葉では説明できないアニメーションの快楽に溢れています。
キューブ状になった水の表現や人魚化する犬(!)、
そして音楽が鳴ると尾ひれが足になるルーのダンスを観ているときの
多幸感はたまらない魅力です。
『四畳半神話大系』の樋口師匠みたいな神社の宮司も!)
非常にカリカチュアライズされたおなじみのシンプルな演出もあれば、
ため息が出るようなリアルで繊細な動きまで
「動く絵をみる」という根源的な喜びを味わえます。
これがもう、本当にわくわくするのです。

物語的なことでは、
人生にやさぐれているふうの主人公カイが
ルーとの交流を巡って徐々に自己解放していく成長譚ですが、
一度はミュージシャンを目指して上京したものの、
カイの母親とも別れて挫折したカイの父親
観光地化に失敗して廃墟と化したテーマパークなど
挫折を経験したものの再生
産業が廃れゆく地方都市を舞台にして語ります。
田舎<都会という一般的な価値観を認めつつ、
都会に憧れるカイのバンド仲間・遊歩
町内アナウンスを担当する都会からの出戻り女性
家の神社を引き継ぐつもりでいる国夫などなど、
さまざまな生き様を提示し、
「自分が本当にそうしたいならそれでいいじゃないか」という
自己肯定へと導くのです。

過去の挫折に取り憑かれているものの象徴として
カイの祖父タコ婆という、
自分の大切な人が人魚に食べられたと頑なに信じている老人が登場。
じつは彼らの大切な人は人魚に食べられたのではなく、
死にそうなところを人魚にかじられて人魚化したのでしたが、
クライマックスでそのことを悟ったふたりが大切な人と再会し、
やはり人魚化する=死んでしまうのは
どう考えればいいのか難しいところではあります。
ただ、カイの祖父が死に別れたと思っていた母親と直面するカット
落涙必死です。

あと、本作に特徴的なのは母親の不在です。
カイの母親は遠く離れた東京にいるし、
遊歩と国夫も父親は登場しますが、母親は登場しません。
カイの祖父の母親は人魚に食べられて死んだという前提だし、
ルーを守るのも父親です。
これはどういうことでしょうか。
こういうことをすぱっと答えられればいいのですが、
まあ、僕にそんなオツムがあれば
もう少しましな人生を送っているような気がするので、
正直にわかりませんと申し上げよう。そうしよう。
ただ、母性が意図的に排除されているのは確かだと思うので、
真意を知りたいところではあります。

カイのうじうじ具合もよかったし、
遊歩のポジティブかまってちゃんも可愛いし、
国夫が超いいやつでこんな友達ほしいと思ったし、
ルーのダンスは前田敦子の真似するキンタローみたいだし、
要するに、最高。





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