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セールスマン

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(原題:Forushande 2016年/イラン・フランス合作 124分)
監督・脚本/アスガー・ファルハディ 製作/アレクサンドル・マレ=ギィ、アスガー・ファルハディ 撮影/ホセイン・ジャファリアン 美術/ケイワン・モガダム 衣装/サラ・サミイ 編集/ハイェデェ・サフィヤリ 音楽/サッタル・オラキ
出演/シャハブ・ホセイニ、タラネ・アリシュスティ、ババク・カリミ、ファリド・サッジャディホセイニ、ミナ・サダティ、マラル・バニアダム、メーディ・クシュキ、エマッド・エマミ、シリン・アガカシ、モジュタバ・ピルザデー、サーラ・アサアドラヒ、エテラム・ブルマンド、サム・ワリプール

概要とあらすじ
「別離」「ある過去の行方」などで知られるイランの名匠アスガー・ファルハディ監督が手がけ、2016年・第69回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門で男優賞と脚本賞を受賞、第89回アカデミー賞で外国語映画賞を受賞したサスペンスドラマ。小さな劇団に所属し、作家アーサー・ミラーの戯曲「セールスマンの死」の舞台に出演している役者の夫婦。ある日、引っ越したばかりの自宅で夫が不在中に、妻が何者かに襲われる。事件が表ざたになることを嫌がり、警察へ通報しようとしない妻に業を煮やした夫は、独自に犯人を探し始めるが……。劇中で描かれる演劇と夫による犯人探し、そして夫婦の感情のズレを絡めながら、思いがけない方向へと転がっていく物語を描く。(映画.comより



怒りの矛先はどこへ

第89回アカデミー賞で外国語映画賞を受賞した
イラン・フランス合作映画『セールスマン』
トランプ政権の排外政策に抗議するアスガー・ファルハディ監督
授賞式をボイコットしたことでも話題になりました。

イランではよくあることなのか、
乱暴な工事のおかげでマンションが倒壊の危機にさらされ、
住民たちが慌てて逃げ出すシーンから始まります。
そのマンションに住んでいた役者夫婦の
エマッド(シャハブ・ホセイニ)ラナ(タラネ・アリシュスティ)
仕方なく新居を探す羽目に。
それを知った劇団の座長が紹介する物件をふたりは気に入り、
引越を決めるのですが、その部屋には
前の住民の持ち物が残されているという、
いまいちすっきりしない状態なのでした。

そして事件が起こります。
公演のあと、一足先に帰宅したエマは
エマッドに明日の朝食を買ってくるように携帯電話で言付けて、
シャワーを浴びようとしていました。
そこにピンポーンと呼び鈴がなったので、
エマッドが帰ってきたと思ったエマはドアの鍵を外し、
そのままバスルームに入ったのでした。
ところが、部屋に入ってきたのは見知らぬ男で
エマは暴行されてしまいます。

どうやらその部屋に住んでいた女性は売春婦
何人もの男が出入りしていたことがわかります。
エマを襲った男は売春婦に会うつもりで部屋を訪れたもよう。
しかし、憔悴しきったエマは警察に通報することを
頑なに拒みます。
彼女は事情聴取で辱めを受けることを嫌がったのでしょう。
また、ドアを開けてしまったことを
自分が男を誘い入れたと思われるかも知れないともいい、
自分の落ち度を認めるような発言すらします。
顔に傷を負い、心もぼろぼろのはずなのに、
それでも舞台に立とうとするエマは
無理にでも日常を取り戻して、
暴行された事実を忘れてしまおうとしているように見えます。
これらはセカンドレイプを恐れた被害者にみられる行動です。

エマ同様に当惑しているのはエマッドです。
警察に通報できないし、かといってなかったことには出来ません。
エマッドなりにエマの気持ちを最優先させて
できる限りの行動をしようとしているのですが、
生活がままならないエマに
「シャワーを浴びろ」といえば
「この家のシャワーは使いたくない」といい、
「じゃあ、友だちの家のシャワーを借りよう」と促すと、
「迷惑がかかる」と言い始めるので、
じゃあ、どうしろってんだよーーー!!! とキレるのも致し方なし。
そしてこのどうにも行き場のない想いが
彼らが上演中の『セールスマンの死』と呼応しつつ、
やがてクライマックスへ。

残されたトラックを手がかりにたどり着いたのは
心臓が悪いじじい。
最初は四の五のとごまかしていたじじいでしたが、
やがてエマを襲ったことを白状します。
こんなよぼよぼのじじいが平気でエマをレイプしたと思うと
おぞましいにもほどがありますが、
見苦しく泣き言をいうじじいに、
家族を呼び出してすべてを明らかにすると脅すエマッド。
まあ、それくらいの報復は仕方ないかなと思ってしまうのですが、
エマはそれも阻止しようとします。
犯人のじじいを前にしたときも、
エマはさほど驚いたようすを見せませんでしたが、
このときのエマの心理はちょっと理解が難しいところです。

じじいの家族がわらわらと集合し、
エマッドはじじいをそのまま帰してやることにしますが、
どう考えても気が済まないので、一発ビンタを食らわせると、
急にオロオロし始めたじじいが心肺停止状態に。

憎むべき犯人が病弱なじじいというだけで
復讐するにしてもすっきりしないのですが、
怒りの矛先はどこへ向ければいいのか、
「正しさ」とはどういうことなのか
改めて問いただすような作品でした。





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