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アイム・ノット・シリアルキラー

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(原題:I Am Not a Serial Killer 2016年/アイルランド・イギリス合作 86分)
監督/ビリー・オブライエン 製作/ニック・ライアン、ジェームズ・ハリス、マーク・レーン 脚本/ビリー・オブライエン、クリストファー・ロイド 撮影/ロビー・ライアン 編集/ニック・エマーソン 音楽/エイドリアン・ジョンストン
出演/マックス・レコーズ、クリストファー・ロイド、ローラ・フレイザー、カール・ギアリー

概要とあらすじ
死体や殺人に異常な関心を示す少年と連続猟奇殺人犯の老人、2人の狂気を描いたサイコホラー。アメリカ中西部の町にある葬儀屋。16歳になる息子のジョンは、遺体の防腐処理を手伝う影響からか、死体や殺人に異常な関心を示し、ソシオパス(社会病質者)と診断される。ある日、町で連続殺人事件が発生した。無惨にも切り裂かれ、内臓の一部が持ち去られた死体を目にしたジョンは、殺人鬼が近くに潜んでいることを実感し、その存在に強く惹かれていく。自ら周辺の調査を開始したジョンは、殺人現場を偶然に目撃してしまうが、猟奇殺人犯(シリアルキラー)の正体はジョンの隣に住む老人だった。ソシオパスの少年ジョン役に「かいじゅうたちのいるところ」のマックス・レコーズ。シリアルキラーの老人役に「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズのクリストファー・ロイド。(映画.comより



洗浄すべき黒いどろどろ

『ジェーン・ドウの解剖』に続く
松竹エクストリーム・セレクション第2弾、
『アイム・ノット・シリアルキラー』です。
死体安置所が舞台だった『ジェーン・ドウの解剖』に
引き続いているわけじゃないだろうけど、
本作では主人公が葬儀屋の息子という設定になっております。

16歳のジョン(マックス・レコーズ)
猟奇殺人に並々ならぬ興味を抱いていて、
そのことでソシオパス(社会病質者)だとされ、
家族や学校の先公から心配されております。
確かにちょっと風変わりな趣味かもしれないが
ジョンが異常な行動を取るわけでもないので
危険人物認定されるほど、危なっかしさは感じません。
むしろ、ジョンの母親(ローラ・フレイザー)
日常的にジョンに死体処理の手伝いをさせておきながら、
死体や殺人に興味を持つジョンを
ちょっと過剰に案ずるので、イラッとします。

平穏な田舎町で連続殺人事件が発生し、
人々は恐怖におののいているのですが、
もちろんジョンはちょっとウキウキしているのです。
なぜならシリアル・キラーは退屈な日常を破壊してくれるから。
本作は、タイトルから受けるB級ホラー的な印象を裏切り、
思春期の少年が世界と関わりを持とうとするときに抱える葛藤
じっくりと描いていきます。
「ノーマル」を強要する周囲に対する違和感が
「殺したい奴は笑顔で褒める」という歪んだ処世術を編み出させ、
より一層彼を頑なにさせるのです。

同級生の女子にまったく関心がないジョンが惹き付けられているのは
向かいの家に住むじじい、
クローリー(クリストファー・ロイド)でした。
ジョンが目撃するクローリーによる殺人の瞬間は、
「あ、そっちか!」と映画の方向性を認識させます。
シリアル・キラー=クローリーは、ただの凶悪犯ではなく、
クリーチャーでもあったのでした。

この街で起こる連続殺人事件の遺体は
必ず一部が欠損しているのですが、
どうやらクローリーは、自分の体の衰えを食い止めるため、
殺した相手の臓器や手足を奪い、
生きながらえていた
のでした。
(まあ、当然理屈はわからんが)
クローリーが殺人を繰り返してまで生き続けようとする理由は
愛する妻をひとりぼっちにさせないためなのです。
クローリーの妻に対する愛情はとてつもなく深く、
それ故に歪な自己愛と暴力を生んだのでした。

そんなクローリーの凶行を阻止しようとしつつ、
同時に張り合っているような感じもあるジョン。
クローリーを止めるには、彼が愛してやまない妻を傷つけるしかない
……と、考えたのかどうか。
とにかく、ジョンは就寝中のクローリーの妻を襲撃。
(就寝中の老婆の頭を殴るという、おぞましさ)
クローリーに反撃したはずでしたが、
かわりにジョンを担当していたセラピストが
クローリーの餌食になってしまいます。

妻を襲われた腹いせ(?)として
ジョンの母親を襲うクローリー。
もう心臓が限界に達している彼はさらにジョンに反撃され、
ベッドに拘束されて洗浄液を注入されると、あら不思議。
黒いタールにまみれた生まれたての仔牛みたいなクリーチャーが出現。
ひととおり演説をぶったあと、
ジョンに妻を託して自死するのです。

クローリーが生身のシリアル・キラーではなく
得体の知れないクリーチャーだったのは、
それが抽象的な存在だからにほかなりません。
あの黒いどろどろは、暴力性や歪んだ愛情からなる
負の感情のメタファ
でしょう。
ラストシーンで、ジョンが妙にすっきりした表情を見せるのは
母親との間に共通理解を築き、
ジョンの中にあった黒いどろどろも
しかるべき洗浄がなされたからではないでしょうか。
まあ、すっかり「漂白」されちゃうのはどうかと思いますが、
黒いどろどろに従順すぎると、
シリアル・キラーになっちゃいますからね。
コントロールが大切というわけ。

一風変わった思春期ダークファンタジーです。





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