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乾いた花

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(1964年/日本 96分)
監督/篠田正浩 脚色/馬場当、篠田正浩 原作/石原慎太郎 製作/白井昌夫 撮影/小杉正雄 美術/戸田重昌 音楽/武満徹 録音/西崎英雄 照明/青松明 編集/杉原よ志
出演/池部良、加賀まりこ、藤木孝、原知佐子、中原功二、三上真一郎、杉浦直樹、宮口精二、東野英治郎、ささきいさお

概要とあらすじ
石原慎太郎原作を「泥だらけの純情(1963)」の馬場当と「涙を、獅子のたて髪に」の監督篠田正浩が共同で脚色、篠田が監督したヤクザもの。撮影もコンビの小杉正雄。ヤクザ仲間の争いから人を殺して三年ぶりに娑婆へ出た村木は、賭場で「その少女」に心をひかれた。昔の女新子との夜は虚しかった。次の賭場で村木は再びその少女に会い、サシで勝負した。有金全部張って挑みかかる少女は、村木の心を楽しませた…(映画.comより抜粋



無自覚な愚かさ

2015年に情報誌Time Outシカゴ版が発表した
「ギャング映画のベスト50(50 Best Gangster Movies)」
20位にランクインしている『乾いた花』
ちなみに21位は『アンタッチャブル(1987)』、
22位は『スティング(1973)』です。

難解だという理由で8ヶ月間お蔵入りとなったあと、
成人指定で公開された本作は、ストーリーが難解というよりも、
なにを表現したいのかわかりづらい作品ではあります。
ただ、松竹ヌーベルバーグと呼ばれた監督たちのひとり、
篠田正浩監督によるスタイリッシュな映像と
武満徹による抽象的な音楽は文句なしにかっこいい。

鉄砲玉として敵対する組の一員を殺し、
3年の刑期を終えて娑婆に戻ってきた村木(池部良)
村木は組の中では中堅といったところでしょうが、
彼の出所に出迎えはなく、
アニキっ! いつ出てきたんですか!? などと言われる始末。
村木本人はとくに意に介していないようですが、
彼の処遇の軽さが気になります。

さっそく賭場に向かった村木は
場違いな美少女、冴子(加賀まりこ)に出会い、
その美貌と度胸の良さに惹き付けられます。
当時の加賀まりこは、本当にゲロ吐くくらい可愛い。
やがて、おでんの屋台でふたりは知り合い、
冴子はよりレートの高い賭場を紹介してくれるように
村木に頼むのでした。

毎回、賭場で大金をつぎ込む冴子の正体は
最後まで明かされませんが、
とにかく彼女は人生にスリルを求めているようで
そのためにギャンブルにのめり込み、
夜の首都高(?)でカーチェイスし、
果てはドラッグにまで手を出します。

村木はいつもダンディで、下っ端からの信望も厚いのですが、
敵対していたはずの安岡組の組長(東野英治郎)
村木の親分である船田(宮口精二)
大阪の新興勢力・今井組に対抗するために手を結び、
まるで仲のいい親友のような間柄になっています。
村木は便利な捨て石としてしか扱われていないことがわかりますが
これまた、村木は不満のひとつも漏らすことがないので、
鈍感にもほどがあるだろうとあきれてしまいます。

安岡組の幹部が殺されで殺気立つ組員の前に
スイカをぶら下げて登場し、
情婦に電話する船田組長の軽薄さが強調されたあと、
刺客の送り手であろう今井組の組長暗殺を担う役目に
あろうことか村木が立候補します。
組長としては、お払い箱にしたい実力者として村木は適材なので
躊躇するふりをしつつ快く申し出を受け入れます。
2〜3日待って欲しいという村木に寛大な組長のいいかげんさたるや。
というか、村木は仁義に従って行動しているわけではなく、
自暴自棄なやさぐれた人生観によって行動している
と思えるのですが、
それが支配者たる組長たちにとっては好都合だということに
あまりにも無自覚なところが彼の愚かさを際立てます。

村木が自覚的なのは、
冴子に対するプラトニックな愛情だけですが、
その冴子は葉(藤木孝)という謎の男に惹かれ、
挙げ句の果てに殺されてしまいます。
「ヤクより面白いものを見せてやる。俺は人を殺すんだ」
村木に言われた冴子は
「つまらないことだわ」とそっけなく返します。
何事にもとらわれない自由を求めていた冴子に対して、
村木は被支配構造のなかでいきがっているだけのようにも見えます。

オペラをバックにした殺人シーンなど、見所満載ですが、
あまりにも主人公が自分の置かれた状況に無自覚で
自分の葛藤を語らないところが
難解だと言われる所以のような気がします。





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