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トンネル 闇に鎖された男

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(原題:Tunnel 2016年/韓国 127分)
監督・脚本/キム・ソンフン 撮影/キム・テソン
出演/ハ・ジョンウ、ペ・ドゥナ、オ・ダルス、チョン・ソギョン、パク・ヒョックォン、シン・ジョングン

概要とあらすじ
崩落したトンネルの中にひとり閉じ込められた男と、男の救助をめぐって奮闘する人々の姿を描き、韓国で700万人を超える動員を記録したヒット作。主人公ジョンス役を「チェイサー」「お嬢さん」など数々の話題作に出演する演技派ハ・ジョンウが務め、「空気人形」「クラウド アトラス」など日本やハリウッドでも活躍する女優ペ・ドゥナが、ジョンスの妻セヒョン役で共演した。自動車ディーラーとして働くジョンスは、大きな契約に成功して意気揚々と妻と娘の待つ家へ車を走らせていた途中、通りかかったトンネルが突然崩れ落ち、生き埋めになってしまう。かろうじて一命は取り留めたが、手元にあるのはバッテリー残量78%の携帯電話と水のペットボトル2本、そして娘にあげるはずだった誕生日ケーキだけ。崩落事故はすぐに全国ニュースとなり、救助活動も開始されるが、現場の惨状は救助隊の想像を超えるもので作業は難航し……。(映画.comより



お前ら全員クソだ!

『最後まで行く』キム・ソンフン監督第2作、
『トンネル 闇に鎖(とざ)された男』
軽快な話運びが気持ちいいキム・ソンフン監督ですが、
トンネルの中に閉じ込められるという限定されたシチュエーションで
果たしてどう楽しませてくれるのか、
期待に胸膨らませておりました。
そして、最高でした。

ガソリンスタンドでペットボトルの水を2本もらい、
子供の誕生日のためのケーキを後部座席に載せて
車を走らせるジョンス(ハ・ジョンウ)
このあとジュンスが崩落したトンネルの中に閉じ込められることは
映画を観る前からわかっているのですから、
2本のペットボトルとケーキが彼の命をつなぐことになるのを
伏線というのは、あまりにもあからさまなのですが、
そんなわざとらしさもなんだか楽しい。
むしろ、ジョンスがクラクションを修理すると言っていることのほうが
のちのち大きな鍵を握ることになります。
(あと、犬を飼いたいという娘も)
それよりもなによりも、
携帯電話で会話しながら車を運転する主人公が
子供にケーキを届ける約束をしている
という始まり方は
『最後まで行く』とほぼ同じ。
(『最後まで行く』の主人公はケーキを買えなかったけど)
あえて同じにしているとしか思えません。

そしていよいよ、トンネルに進入。
地鳴りが響き、電灯がちらつき始めてから、
車を追いかけるようにトンネル上部が崩落している映像
本当に恐ろしい。
瓦礫につぶされた車の中でかろうじて無事だったジョンスでしたが、
ときおり崩落の余波がやってきて車が軋むたびに
恐怖が押し寄せ、緊張感が一気に高まります。
この狭い空間を違和感なく撮影するのはかなり困難かと思うんですが、
どうやって撮影したんでしょう。

ジョンスがスマホで外部と連絡を取り、
救出作戦が始まります。
使命感に燃える救急隊長のキム・デギョン(オ・ダルス)
最後まで諦めない男気を見せてくれます。
ジョンスの妻セヒョン(ペ・ドゥナ)
やきもきしながら夫の無事を祈るしかないのですが、
ほぼスッピンのやつれ具合がちょうどいい。

すでにちょこちょこと笑いを放り込んでいるのですが、
ドローンでトンネル内部の状況を調べようとなり、
大量の報道陣のドローンが後を追うシーンの馬鹿馬鹿しさときたら。
本作に登場するマスコミと役人どもは徹底的に無能で
愚かな拝金主義者
として描かれ続けます。
局長と呼ばれる女性は、前韓国大統領を揶揄しているのかもしれませんが、
どこの国でも似たようなものでしょう。

電波が乱れてドローンが飛ばせないということで、
トンネル内部に自ら侵入するキム隊長。
馬鹿な部下が鳴らしたクラクションの音をジョンスが聞いたため、
おお! わりと近いところにいるぞ! と思ったら
再びトンネルが崩落を始めます。
慌てて車に乗り込み、トンネルからバックで脱出するシーン
迫力が素晴らしい。

救出を待つしかないと腹をくくったジョンス。
すると突然、パグ犬が登場。
なんと、もうひとり生存者がいたのでした。
瓦礫に挟まれて身動きできないその女性の車までたどり着いたジョンスは
その女性とパグ犬に水を与え、
スマホで母親に連絡を取らせてやります。
限られた水と残り少ないスマホのバッテリーを考えて
ジョンスがわずかに逡巡する
のは、当然かもしれません。
しかし、結局彼女を助けようとする彼の行動は、
終盤で彼が被る仕打ちと対照的。
そして、残っているケーキも彼女と一緒に食べるために取っとこ……
と思ったら、パグ犬が全部食べやがった!!
(このパグ犬。かなりの演技派です)

トンネルの上からジョンスめがけて掘り続けていた掘削機が
17日かかってついに地面に到達するとわかり、
これで助かるぞと安堵したのも束の間、
なんと掘る場所を間違えていたとわかり、呆然。
とうとうスマホのバッテリーがなくなってしまい、
ジョンスの安否が不明になり、
さらに救出隊員が事故で死亡したことを受けて、
ジョンス救出を中止し、近くのトンネル工事を再会するという暴挙に。

いくらマスコミと世論と役人どもが馬鹿でも
さすがに死亡が確認できない状況で
救出を中止することはないと願いたいが、
とにかくジョンスは絶望の淵に落とされるのです。
このあたりから若干ダレたような気がしないでもありませんが、
良心の呵責に耐えかねたキム隊長が
最後にもう一度と、掘削機で掘った穴を降りていくと、
かすかに聞こえてくるクラクションの音
ジョンスは35日ぶりに奇跡の生還を果たすのでした。

最後の最後までマスコミと役人どもをコケにし続け、
生還したジョンスの第一声を伝え聞いたキム隊長は
マスコミに向かって「お前ら全員クソだ!」と叫ぶのでした。
担架に乗せられたジョンスはサムアップ。

なんせ35日ですから。
サムアップする体力が残っているのか疑問ではありますが、
そんな細かいことはどうでもいいのです。
迫力ある映像と入念に練り込まれた脚本が見事で、
爽快な後味を残す傑作です。





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