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ケープタウン

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(原題:Zulu 2013年/フランス 107分)
監督/ジェローム・サル 原作/キャリル・フェリー 脚本/ジュリアン・ラプノー、ジェローム・サル 撮影/ドゥニ・ルーダン 美術/ロラン・オット 編集/スタン・コレ 音楽/アレクサンドル・デプラ
出演/オーランド・ブルーム、フォレスト・ウィテカー、コンラッド・ケンプ、ジョエル・カエンベ

概要とあらすじ
「パイレーツ・オブ・カビリアン」のオーランド・ブルームと「大統領の執事の涙」のフォレスト・ウィテカーが、子ども失踪事件の捜査に奔走する刑事役を熱演したサスペンスアクション。フランスで話題を集めたクライム小説「ZULU」を、「ラルゴ・ウィンチ 裏切りと陰謀」のジェローム・サル監督、「あるいは裏切りという名の犬」のジュリアン・ラプノー脚本で映画化した。南アフリカの都市ケープタウンで、元ラグビー選手の娘が殺害された。捜査に乗りだした刑事ブライアンとアリは、事件の夜、少女が薬物の売人と会っていたことを知る。その薬物は、街で頻発している子ども失踪事件の現場で発見されたものと同じだった。薬物を手がかりに捜査を進めるうち、刑事たちは事件の裏側にひそむ組織的な陰謀の存在にたどり着くが……。(映画.comより



法では解決できないもの

少女誘拐殺人を巡って動き始める警官たちの物語、
『ケープタウン』は、
少女殺害の真犯人を突き止めることが
目的ではありません。
発端となる少女の死は、あくまで物語の取っ掛かりに過ぎず、
結局のところ、南アフリカはケープタウンという土地が持つ
根深い問題を改めて表面化させる作品です。

驚くべきは、とくに序盤にみられる話運びのテンポの良さで、
きっかけとなる事件が起こり、それに関わる人々の素性を
簡潔かつ的確に説明していく手腕は見事としか言いようがありません。

放蕩の限りを尽くすやさぐれ刑事ブライアン(オーランド・ブルーム)
ズールー族の血を引く部長刑事アリ(フォレスト・ウィテカー)
つかず離れずのコンビとなって事件の真相解明に当たります。
本来は内勤のダン(コンラッド・ケンプ)
がん治療中の妻と可愛い子供がいるにもかかわらず、
ギャングに腕を切り落とされたうえに殺されるのは
十分に痛ましいエピソードではあるけれど、
本作の物語上は、ブライアンとアリの復讐心に火をともす
着火剤の役割でしかありません。
むしろ、人道的な発言をするダンの妻が
警察関係者によるダンの葬儀への出席を拒否する態度のほうが
本作で描こうとすることに寄り添っていると思われます。

街を牛耳るギャングにたどり着き、銃撃戦になったりしますが、
おそらく肝心なのは、
酒と女に明け暮れるブライアンと
禁欲的なアリとの対比
ではないでしょうか。

当然ながら、アリの禁欲的態度は
彼の精神性の高さ(?)に依るものではなく、
アパルトヘイト真っ盛りの少年時代に犬に股間を噛まれ、
さらには白人の兵隊にとどめを刺されたことが原因で
アリが不能になってしまったからです。
それでもわき上がる性欲を鎮めるために、
アリは娼婦を買い、セックスをせずに尻をなでるだけ。
彼は自ら望んで禁欲的なのではなく、
思想的にも肉体的にも去勢されているのです。
アリがネルソン・マンデラの言葉を引用した台詞は
マンデラの無抵抗主義の実践というよりは
煮えたぎる怨念を押さえ込むための自己弁護として使われています。

犯罪に直接手を下す人間はみな黒人であり、
大元を牛耳っている黒幕は、
黒人のみを対象とした麻薬を作る製薬会社の白人社長だったことから、
かつての白人たちの横暴な振る舞いに対する
黒人=ズールー族の煮えたぎる想いが表面化します。
ましてや、最愛の母親を殺されたアリにとって
自制心や倫理観などは無用の長物で、
製薬会社の社長を砂漠で執拗に追いかけるアリの姿には
恩赦の感情など微塵もなく、
かつて受けた屈辱が決して消えないことを意味しています。
最終的に、ブチ切れて倫理を喪失したアリと
職務停止中のブライアン
が活躍するのは、
法では解決できないものがあることを表しているのではないでしょうか。

かたや、ブライアンは
元妻や息子との私的なエピソードがあるものの、
死んだ父親の墓石に名前を彫ることを決断するくだりこそが重要だと思われ、
それは彼にとっての過去に対する落とし前の付け方であり、
いわずもがな、南アフリカという国が
過去の歴史を清算しなければならないということを
暗に示唆しているのではないでしょうか。





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