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小人の饗宴

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(原題:Auch Zwerge haben Klein Angefangen 1969年/西ドイツ 96分)
監督・脚本・製作/ベルナー・ヘルツォーク 撮影/トーマス・マウフ 録音/Herbert Prasch
出演/ヘルムート・ドーリンク、ゲルト・ギッケル、Paul Glauer、Erna Gschwender、Gisela Hertwig

概要とあらすじ
ある教育施設で起った小人達の事件を通し、暴力のエスカレートするさまを描く。製作・監督・脚本は「カスパー・ハウザーの謎」のヴェルナー・ヘルツォーク、撮影はトーマス・マウフが各々担当。出演はヘルムート・ドーリンク、ゲルト・ギッケルなど。16、モノクロ、スタンダード。校長をはじめ殆どの生徒が町に出てしまっているある教育施設。留守をあずかる小人の教師は、校長室にバリケードを築いて立て篭もる。懲戒処分を受け、学校に残されている小人達が事件の張本人として捕われている仲間の引き渡しを要求して騒ぎ出したからだ。教師は秩序を守るようにいうが、小人達は電話線を切り、校長自慢のシュロの木を切り、騒ぎは次第にエスカレートする…(映画.comより抜粋



笑い続けないと気が狂う

文字通り、小人が饗宴するさまを延々と描く
『小人の饗宴』
ベルナー・ヘルツォーク監督は、
無茶する人という印象が強いのですが
当然ながらひねくれた人でもあるわけです。

とある施設で小人たちによる暴動が起きます。
登場するのは小人ばかりなので、
最初のうちはこの施設が障害者施設かと思われますが、
この時点で、ヘルツォーク監督の術中にはまっていると
いわざるを得ません。

語弊を恐れずに言えば、
身長が低く、手足が短い彼らの姿は
コミカルで愛嬌があるように思われますが、
いかに差別意識がなかろうとも
言うまでもなくそれは「健常者」の目線による
ある種の蔑視が存在することを完全には否定できず、
物語的には登場人物たちが小人である必然性がない本作が
あえて観客に向けて挑発してくるのは
まさにそのような潜在的差別意識ではないでしょうか。
本作の世界には、小人しか存在しないと理解したとき、
「健常者」たる観客は、あたかもSF的特殊な世界を
のぞき込んでいるような感覚に陥ります。
しかし、もちろんそれは誤解なのです。

懲戒処分を受けた13人の小人たちが
何を機に積み重なる不満を爆発させたのかは
よくわかりません。
彼らは待遇の改善を求めるわけではなく、
ましてや施設からの逃亡を目的としているわけでもなく、
まさに「饗宴」と言うべき乱痴気騒ぎを
神経を逆なでするような笑い声とともに繰り広げます。
校長に捕らわれて椅子に縛り付けられているペペという男も
終始ケラケラと笑っています。
鶏を殺し、樹をなぎ倒し、植木には火を放ち、
盲人をからかい、豚を殺します。

ひいてはキリストを嘲笑うかのように
猿を磔にして行進するのです。
庭を延々と周り続ける車が
暴力の自動性を象徴しているかのようです。

突如登場したラクダが膝を突いて立てなくなっているそばで
ひとり笑っている中年の小人。
まるで笑い袋のような
(もしかしたら若い方は笑い袋を知らないかもしれないが)
非常に卑近な笑い声が長々と続きます。
ムセながら。

あえて深読みすれば、
ラストシーンで、ひとりの小人がムセながら笑っているのは、
一度走り出したら止めることが出来ない無秩序な暴力を
象徴しているような気がします。
本人もよくわからない、それでも笑い続けないと気が狂う
とでもいうような。





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