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FAKE(ディレクターズ・カット版)

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(2016年/日本 128分)
監督/森達也 プロデューサー/橋本佳子 撮影/森達也、山崎裕 編集/鈴尾啓太
出演/佐村河内守

概要とあらすじ
2014年にゴーストライター騒動で日本中の注目を集めた佐村河内守をとらえたドキュメンタリー。監督は、オウム真理教を題材にした「A」「A2」の森達也。聴覚に障害を抱えながら「交響曲第1番 HIROSHIMA」などの作品を手がけたとし、「現代のベートーベン」と称された佐村河内。しかし音楽家の新垣隆が18年間にわたってゴーストライターを務めていたことや、佐村河内の耳が聞こえていることを暴露。佐村河内は作品が自身だけの作曲でないことを認め騒動について謝罪したが、新垣に対しては名誉毀損で訴える可能性があると話し、その後は沈黙を守り続けてきた。本作では佐村河内の自宅で撮影を行ない、その素顔に迫るとともに、取材を申し込みに来るメディア関係者や外国人ジャーナリストらの姿も映し出す。(映画.comより



情報に対する審美眼

大きな話題を呼んだ『FAKE』
映画館で観ることが叶わなかったので、
遅ればせながらDVDで観たわけです。
DVDのディレクターズ・カット版は
劇場公開版にシーンが追加されているようす。

新垣隆の暴露によるゴーストライター騒動について、
まったく興味がなく、詳しいことはわかりませんし、
いまさら調べてみようとも思いません。
それまで佐村河内の作品として絶賛されていた楽曲が
じつは彼によるものではなかったとした場合、
著作権の問題や報酬の面で問題が発生するのは理解できますが、
それによって楽曲そのものの価値が損なわれるかといえば
そんなことはないはずだし、
もしもこの問題によってなんらかの損失や失望を被ったのであれば
佐村河内に対する評価が
そもそも楽曲に対するものでなかったことの証明になるはずです。
「FAKE」と題された本作は
この問題の真実を明かそうとするのが目的ではなく、
情報に対する審美眼を問うものだと思います。


森達也監督の矛先は
村八分的バッシングを煽るマスコミに踊らされるテレビ視聴者と
さらにその反応に迎合するマスコミに向けられ、
本作の観客もその対象内にあります。
佐村河内とその妻に密着して信頼関係を築き、
世間を騒がす風評とは別の真実があるかのように
佐村河内側の反証を意図的に築き上げていきます。
とても素直に観ていると、
佐村河内さんって、そんなに悪い人じゃないし、
むしろ正しいんじゃないの? と思い始めますが、
とくに彼の聴覚能力に対するどうにもぬぐいきれないモヤモヤ
残したままです。
それにしても、猫ってやつは
ドキュメンタリーのブリッジとして便利ですな。

佐村河内が楽曲のコンセプトと構成を新垣隆に指示した文書をみせ、
自分の作品だということを証明しようとするくだりは
アートディレクターとデザイナーの関係を思い起こさせ、
なにをもって誰の作品とするかという命題を浮き上がらせます。
ただ、話題性にしか興味のない日本のテレビ局の連中と違い、
完成した曲が自分の意図したものであるかどうかを
聴覚に障害を持つ佐村河内がどうやって確認するのか
という
海外のジャーナリストの疑問は至極まっとうなものだと感じました。

森達也監督にそろそろ曲を作りませんかと仕向けられた佐村河内は
なんと、新たに購入したシンセのマニュアルを参照しながら
なんだか壮大な雰囲気の曲を仕上げます。
正直、曲自体は面白くもなんともないのですが、
ヘッドホンもせずに(補聴器をつけているのかもしれないが)
とにかく、耳が聞こえないはずの佐村河内は曲を完成させてしまいます。
映画としては、なんとな〜く
佐村河内が自力で作曲できることを証明してみせたようにみえますが
最後の最後で、森達也監督は佐村河内に改めてこう聞きます。
「僕に嘘をついたり、隠したりしていることはありませんか?」
それに応えて、佐村河内が「う〜ん……」と返したところで
ジ・エンド。

あたかも佐村河内が返答に窮しているようにみえ、
やっぱり嘘をついてんじゃんと思わせる終わり方ですが、
これこそがドキュメンタリー映画の編集に宿る作為であり、
「FAKE」と題する本作の意図なのではないでしょうか。





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