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私はゴースト

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(原題:I Am a Ghost 2012年/アメリカ 76分)
監督・脚本・撮影・編集/H・P・メンドーサ 製作/マーク・デル・リマ、H・P・メンドーサ
出演/アンナ・イシダ、ジーニー・バロガ、リック・バーカート、ジュリエット・ヘラー

概要とあらすじ
成仏できない女性の霊が、声しか聞こえない霊媒師の助けを借りて自らの死の真相を解き明かしていく姿を描いた新感覚の心霊ホラー。人里離れた一軒家に取り憑いている亡霊エミリーは、自分が死んだことに気づかないまま、淡々とした毎日を繰り返していた。そんなある日、彼女の耳にどこからか女性の声が聞こえてくる。シルビアと名乗るその女性は霊媒師で、エミリーを成仏させるためにやって来たのだという。エミリーはシルビアと一緒に、自分がなぜ死んだのか、そしてなぜ成仏できないのかを探ろうとする。ヒューマントラストシネマ渋谷、シネ・リーブル梅田で開催の「未体験ゾーンの映画たち 2016」上映作品。(映画.comより



なんだか妙な説得力

H・P・メンドーサ監督がどういうひとなのか
さっぱりわからないが、
スタクレを観るとほとんどひとりでやってるというDIY精神旺盛な
『私はゴースト』

豪奢な屋敷の中で、
白いドレスを着たエミリー(アンナ・イシダ)
ベッドで目覚めたり、目玉焼きを焼いたりしています。
テーブルについて食事をしようとしたエミリーは
突然ナイフを振り上げたかと思うと、
右手に包帯を巻いたエミリーが洗面所で嗚咽しています。
そして、これら一連の行動が
何度も繰り返されるのです。


エミリーが二階から聞こえてくる足音に反応したり、
どこからともなく聞こえた声に驚いて逃げ出したりするさまは
この屋敷になにかしら霊的なものが存在すると思わせる
意図的なミスリードなわけですが、
本作を観る前にさすがに紹介文くらいは読んでいるし、
なにせタイトルが『私はゴースト』なんですから、
エミリーこそが幽霊だというのはすぐに気がつきます。
スクリーンが角丸になっているのは
霊界を表現しているのでしょう。

やがて、霊媒師シルヴィアが声で登場し、
この屋敷に取り憑いているエミリーを
成仏させようとしていることがわかります。
家に取り憑いた霊を除霊する映画は枚挙に暇がありませんが、
除霊を霊の側から描いたという点でとても新鮮です。
霊媒師シルヴィアもそこで暮らす今の住人の姿も
霊であるエミリーからは見えないというのは、
なんだか妙な説得力があります。

エミリーのドレスや家族の写真をみると
エミリーはかなり前の時代に生きていたと察しますが、
とにかく、
自分の記憶を辿り、「因果を解く」ことで
成仏できるという霊媒師シルヴィアの指南に従ったエミリーは
少しずつ生前の記憶を取り戻していき、
それこそが本作のミステリーとなっているのでした。

何度も何度も同じシーンを繰り返すのは、
安上がりなアイデアだなとは思いましたが、
それはともかく、
エミリーが何度も同じ行動を繰り返すのは、
それが記憶の残像だから。
そして、自分が繰り返す行為を自分で見ているという
トリッキーな設定が自分の記憶を客観視できている証拠だとするのも、
これまた、なんとなく説得力を感じます。

自分はこの屋敷で誰かに殺されたというエミリーが
少しずつ記憶を蘇らせていくうちに、
エミリーは妹の首を絞めたことがあり、
そのことに激怒した母親はエミリーを折檻して悪魔憑きだとののしり
父親の死後、エミリーを置き去りにして
屋敷を出て行ってしまったことが判明します。
しかし、霊媒師シルヴィアが
おそらくこの屋敷とエミリーにまつわる出来事を調査したところ、
エミリーは誰かに殺されたのではなく、
自殺だということがわかったのでした。

さらに、エミリーは多重人格症で、
邪悪な人格が表面化したときに妹の首を絞めたりしていたのです。
霊媒師シルヴィアに言われるとおりに因果を解いたはずでしたが、
もうひとりの邪悪な人格が存在するために、
彼女は成仏できないのでした。
母親の折檻部屋に巣くっていたエミリーの邪悪な人格が
ついに登場するときの気持ち悪さは抜群です。
全裸に白塗り、目の周りが真っ黒なメイクはチープ極まりなく、
まるで年をとった『呪怨』の俊雄みたいですが、
このチープさがかえって気持ち悪さを引き立てています。

すべての記憶が蘇ったときに現れたのは、
自分の腹部を包丁で繰り返し突くエミリーの姿。
端から見ればエミリーは自殺に見えますが、
もうひとりの人格に殺されたのも、これまた事実なのでした。

屋敷内部の限られたスペースで、
ほぼヒロインのひとり芝居。
しかも同じシーンを繰り返すという構成が
少ない予算から逆算して作られたのかどうか知りませんが、
秀逸なアイデアであることは間違いありません。
リンチっぽいノイジーな音楽や
スタイリッシュな映像からは
チープさがまったく感じられなかったので
今後、この監督はもしかしたらもしかするかもしれません。





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