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夜は短し歩けよ乙女

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(2017年/日本 93分)
監督/湯浅政明 原作/森見登美彦 脚本/上田誠 キャラクター原案/中村佑介 キャラクターデザイン/伊東伸高 総作画監督/伊東伸高 作画監督/濱田高行、霜山朋久 フラッシュアニメーション/ホアンマヌエル・ラグナ、アベル・ゴンゴラ 色彩設計/ルシル・ブリアン 美術監督/上原伸一、大野広司 撮影監督/バティスト・ペロン 音響監督/木村絵理子 音楽/大島ミチル
声の出演/星野源、花澤香菜、神谷浩史、秋山竜次、中井和哉、甲斐田裕子、吉野裕行、新妻聖子、諏訪部順一、悠木碧、檜山修之、山路和弘、麦人

概要とあらすじ
「四畳半神話大系」「有頂天家族」などで知られる人気作家・森見登美彦の初期ベストセラー作品で、黒髪の乙女に思いを寄せる冴えない大学生の物語をユーモラスに描いた「夜は短し歩けよ乙女」をアニメーション映画化。監督は、テレビアニメ化された「四畳半神話大系」や「マインド・ゲーム」「ピンポン THE ANIMATION」など独特な表現手法のアニメ作品で人気の湯浅政明。同じく「四畳半神話大系」も手がけた、劇団「ヨーロッパ企画」の上田誠が脚本を担当。シンガーソングライターのほか、ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」などで役者としても人気の星野源が、主人公の声を担当した。所属クラブの後輩である「黒髪の乙女」に恋心を抱く大学生の「先輩」は、「なるべく彼女の目に留まる」ことを目的とした「ナカメ作戦」を実行する日々を送っていた。個性豊かな仲間が巻き起こす珍事件に巻き込まれながら季節はめぐっていくが、黒髪の乙女との関係は外堀を埋めるばかりでなかなか進展せず……。(映画.comより



それもこれも「なにかのご縁」

大傑作『マインドゲーム(2004)』湯浅政明監督による
13年ぶりの劇場長編アニメ、
『夜は短し歩けよ乙女』
あまりテレビを観ないので未見だった、
本作の姉妹的というかパラレルワールド的存在のTVアニメ
『四畳半神話大系』全11話をイッキ観し、
これまた素晴らしい作品だったのでさらに期待で胸膨らませて
映画館へと足を運びました。

当然『四畳半神話大系』と本作に連なる世界観は
京都を舞台にした摩訶不思議な万華鏡ともいうべき
森見登美彦による原作によるものではありますが、
この奇っ怪な原作世界をビジュアル化できるのは
湯浅政明監督をはじめとして
『四畳半神話大系』から引き継がれたスタッフたちの
天真爛漫な発想力と創造力のたまものではないでしょうか。
シンプルな描線で描かれる登場人物たちは
ときには顔や体を変形させつつのびのびと動き回り、
ファンタジックな抽象表現があったと思うと、
細かな所作は滑らかで美しく、
歩く人物を後退するカメラがフォローしているような
実写映画的表現を織り交ぜたりと、
ありとあらゆるアニメ表現を堪能でき、
これはもう眼福の極みなのです。


結婚披露宴から始まる物語は、
底なしの酒豪である黒髪の乙女
酒を求めて夜の先斗町を歩き回るうち、
春画の蒐集家の東堂というエロおやじに軽く乳を触られたり、
『四畳半神話大系』にも登場した樋口師匠と羽貫さんと出くわして、
さらにタダ酒を求めて練り歩いたりしていると、
3階建て路面電車に乗った京都を牛耳る李白という老人と
どちらかが倒れるまでニセ電気ブランを飲む対決に……。
と、自分でもなにを書いているのかわかりませんが
本当にこうなのだから仕方ありません。

本作のレイティングがどうなっているのか知りませんが、
冒頭から酒を飲んで飲んで飲みまくり、
樋口師匠がタバコをプカプカふかしていること自体が痛快です。
天真爛漫で自由奔放な黒髪の乙女が
なんともいえず可愛いいのですが、
可憐な少女ががぶがぶと酒を飲み、
一切の照れもなく変な顔で詭弁踊りを披露し、
着ることの出来る鯉のぼりを背負う……。
なんだこれは。すばらしいぞ。

かたや、黒髪の乙女への片思いを募らせている先輩
序盤はほぼフリチンで走り回り、
やっとパンツを履いたかと思えば、
股間にアイスクリームのコーンをおっ立てられます。
(それは古本市の神様≒小津の仕業!)
先輩は、もうひとりの主人公ではありますが、
黒髪の乙女と比べると若干影が薄い存在です。
時の人、星野源が声優を務めておりますが、
『四畳半神話大系』の主人公の声を演じた浅沼晋太郎のほうが
よかったような気がします。

鴨川の土手で「なんかゾクゾクする」という羽貫さんの
さりげないフリによって
いつしか京都の町に風邪が蔓延し始めます。
序盤で登場した多くの人物たちは
じつはそれぞれなんらかのつながりを持っていて
そのことが風邪をより流行らせる要因となっています
が、
これこそがおそらく本作の重要なテーマに関わってきます。

へべれけ行脚から古本市の騒動を経て、
ゲリラ演劇によるミュージカル『偏屈王』、
ロマンチストのパンツ総番長が暗躍する「韋駄天こたつ」、
女装した学園祭事務局長との淡い恋
……。
理解を拒否するかのような奇妙な展開が
ひとときも休むことなく怒濤のように押し寄せます。
さらには、一晩の出来事が一年へと置き換わり
いつしか防寒した黒髪の乙女は、
嵐の中、卵酒を持って風邪のお見舞いに駆け回るのです。

終盤におけるイマジネーションの洪水のような表現
筆舌に尽くしがたく、
実際に観て堪能していただくほかありません。
とにかく、アニメーションを観る喜びに溢れています。

京都という限定された空間での人間模様は
箱庭的ではありますが、
本作の物語の結末は
なんらかの形で関係を持つ登場人物たちや
伝播していく風邪ウイルスに象徴されるように
ひとは必ずや誰かに影響されつつ影響を与えているのであって、
「なにかのご縁」で結ばれたわれわれは決して孤独ではないという
ハートウォーミングな大団円へと向かいます。
なぜに、こんな力業に感動してしまうのか。

ましてや、この世でもっとも非論理的で制御不能な
「恋愛」というやつを描こうとすれば
このくらい奇想天外な物語になるのは
必然なのかもしれません。





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