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ストーリーテリング

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(原題:Story Telling 2001年/アメリカ 87分)
監督・脚本/トッド・ソロンズ 製作/テッド・ホープ、クリスティーン・ベイコン 撮影/フレデリック・エルムズ 音楽/ベル・アンド・セバスチャン、ネイサン・ラーソン
出演/セルマ・ブレア、レオ・フィッツパトリック、ロバート・ウィズダム、ジョン・グッドマン、ポール・ジアマッティ、マーク・ウェバー、フランカ・ポテンテ

概要とあらすじ
小説家志望の女子大生、その脳性小児マヒの彼氏、ドキュメンタリー映画監督志望の靴屋の店員、その被写体になるおちこぼれ高校生、その弟の小学5年の優等生などなどが入り乱れ、浮き上がっては見失われる、フィクションとノンフィクションの境界線。監督&脚本は「ウェルカム・ドールハウス」「ハピネス」のトッド・ソロンズ。音楽はベル・アンド・セバスチャンとシャダー・トゥ・シンクのネーサン・ラーソンが担当。(映画.comより



交錯する「フィクション」と「ノンフィクション」

「ストーリーテリング」という言葉を
改めて調べてみると、
「伝えたい思いやコンセプトを、
 それを想起させる印象的な体験談やエピソードなどの“物語”を
 引用することによって、聞き手に強く印象付ける手法のこと」
「語り手が自分の言葉に直して語るところにその特徴がある」
 (コトバンクより
とのことで、まあおおざっぱに言えば
「語り口」といったところでしょうか。

それをふまえると、
トッド・ソロンズ監督『ストーリーテリング』
物語の語り方についての映画ということになるわけで、
非常に挑戦的ではあります。
「フィクション」と「ノンフィクション」を
対峙させるような2部構成
の本作は
フィクションがノンフィクションを、
ノンフィクションがフィクションを超越かつ逸脱する物語です。
前半の「フィクション」がノンフィクションだともいえるし、
後半の「ノンフィクション」こそがフィクションだとも
いえそうです。
どちらにせよ、トッド・ソロンズによる脚本が存在する本作は
フィクションに違いないわけですが、
小説やドキュメンタリー映画を題材にすることで
表現におけるリアリティの曖昧さを揶揄するのみならず、
ノンフィクションに生きる我々の日常にある
潜在的かつ無自覚なフィクション
を示唆することのほうに
重きが置かれているのではないか、と思うのです。

第1章「フィクション」では
大学でシナリオを学ぶ学生のヴァイ(セルマ・ブレア)
脳性小児麻痺(CP)の恋人から理不尽な別れを告げられ、
気晴らしに入ったバーで
高圧的でいけ好かないスコット教授(ロバート・ウィズダム)と出会い、
肉体関係を持ちます。
ヴァイが自分の評価アップのために
スコット教授にエロ仕掛けで媚びたのは間違いありませんが、
「黒人を差別するな」と何度も唱えたあと、
黒人のスコット教授からドSな仕打ちを受けた彼女は
差別をしてはいけないという概念=「フィクション」に囚われるすぎるあまり、
ドSのパワハラ男という黒人教授の「ノンフィクション」な本質を
見逃してしまっています。

CPの恋人も、彼が障害者であることを考慮しなければ
身勝手で幼稚な男にすぎません。

第2章「ノンフィクション」では
ドキュメンタリー監督として一旗揚げたい
夜郎自大なトビー(ポール・ジアマッティ)
とある中流家庭を題材に撮影を始める物語。
おそらく世間体のためだけに進学を強要する
父親(ジョン・グッドマン)と母親に嫌気がさしている
無気力少年スクービー(マーク・ウェバー)
ボンクラなくせに有名になることを夢見ています。
トビーが撮影を続けるうちに
この家族の歪みがみえてくるわけですが、
小生意気で憎たらしいスクービーの弟によって
催眠術(!)にかけられた父親は
理由なく貧しい黒人家政婦をクビにしてしまいます。
収入を失って追い詰められた家政婦は
夜な夜な家族の屋敷に忍び込んでガス栓を開き、
外出していたスクービーを除く一家を皆殺しにする
のでした。
ひとり生き残ったスクービーは
トビーに向かって一言。
「映画は当たるよ」

スクービーを巡る「ノンフィクション」な生活は
最後に一家殺害という映画的なカタルシスを迎え、
「フィクション」としての満足感を観客に与えるでしょう。

真実を撮影しているはずのドキュメンタリーが
編集によっていかようにも印象を誘導できるように
「ストーリーテリング」によって
「フィクション」と「ノンフィクション」は
混ざり合ったり、入れ替わったりするのでした……という本作は
トッド・ソロンズらしく意地悪で辛辣、
かつ自らの「ストーリーテリング」の手腕を
見せつけるような作品です。





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