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ムーンライト

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(原題:Moonlight 2016年/アメリカ 111分)
監督/バリー・ジェンキンス 製作/アデル・ロマンスキー、デデ・ガードナー、ジェレミー・クライナー 原案/タレル・アルビン・マクレイニー 脚本/バリー・ジェンキンス 撮影/ジェームズ・ラクストン 美術/ハンナ・ビークラー 衣装/キャロライン・エスリン=シェイファー 編集/ナット・サンダース、ジョイ・マクミロン 音楽/ニコラス・ブリテル
出演/トレバンテ・ローズ、アンドレ・ホランド、ジャネール・モネイ、アシュトン・サンダース、ジャハール・ジェローム、アレックス・ヒバート、マハーシャラ・アリ、ナオミ・ハリス

概要とあらすじ
マイアミを舞台に自分の居場所とアイデンティティを模索する少年の成長を、少年期、ティーンエイジャー期、成人期の3つの時代構成で描き、第89回アカデミー賞で作品賞ほか、脚色賞、助演男優賞の3部門を受賞したヒューマンドラマ。マイアミの貧困地域で暮らす内気な少年シャロンは、学校では「チビ」と呼ばれていじめられ、家庭では麻薬常習者の母親ポーラから育児放棄されていた。そんなシャロンに優しく接してくれるのは、近所に住む麻薬ディーラーのフアン夫妻と、唯一の男友達であるケヴィンだけ。やがてシャロンは、ケヴィンに対して友情以上の思いを抱くようになるが、自分が暮らすコミュニティではこの感情が決して受け入れてもらえないことに気づき、誰にも思いを打ち明けられずにいた。そんな中、ある事件が起こり……。母親ポーラ役に「007」シリーズのナオミ・ハリス、麻薬ディーラーのフアン役にテレビドラマ「ハウス・オブ・カード 野望の階段」のマハーシャラ・アリ。プロデューサーとしてアカデミー賞受賞作「それでも夜は明ける」も手がけたブラッド・ピットが製作総指揮。本作が長編2作目となるバリー・ジェンキンスがメガホンをとった。(映画.comより



正直、もう一山欲しかった

アカデミー賞授賞式における前代未聞のトラブルによって
『ラ・ラ・ランド』から作品賞をかっさらった
『ムーンライト』
いざ観てみると非常に地味な映画で、
単館系のミニシアターでかかるような作品でした。
もちろん、それ自体が作品の価値を左右するものではありませんが、
登場人物が全員黒人、かつLGBTを主題にした映画
アカデミー賞の作品賞を取るのはいずれも初めてのことで、
本作がアカデミー作品賞を受賞した背景には
トランプ政権の排外主義に対するアンチテーゼとしての意味合いも
少なからずあるように思います。

「リトル」「シャロン」「ブラック」という
3部構成の本作は
リトル=シャロンという1人の少年が
やがて成長しブラックと呼ばれるようになるまでの成長譚であり、
恋愛映画です。
繊細にカラーコーディネイトされた映像は美しく、
引き込まれるだけの強度を持っています。

クラスメイトからのいじめと
ジャンキーの母親(ナオミ・ハリス)の荒んだ姿に
鬱々とした日々を送っていたリトルは
売人の元締めフアン(マハーシャラ・アリ)と偶然出会い、
フアンの恋人テレサ(ジャネール・モネイ)とともに
可愛がられるようになって
少しずつ心を開くようになります。
リトルにとってフアンはよき父親代理でした。
しかし同時にリトルは、自分がゲイなのではないかと思い始めます。
唯一の親友であるケヴィン(ジャハール・ジェローム)に対して
自分が友情以上の感情を持っていることにも気づき始めています。

やがてあだ名で呼ばれなくなったリトル=シャロンは
あいかわらずめんどくさいいじめっ子たちにからかわれていますが、
ケヴィンとの関係は良好で、
夜の砂浜で話し込んでいたシャロンとケヴィンは
どちらからともなくキスを交わし、
シャロンはケヴィンの手の中で果てるのでした。


ここにきて、シャロンは自分のジェンダーを確信し、
ケヴィンと心通じ合えたことに安堵の表情を見せますが、
いじめっ子たちの圧力に負けたケヴィンは
シャロンを殴り、結果的にいじめに加担してしまいます。
すべてに絶望したシャロンはブチギレて
いじめっ子に報復したことで少年院送りに。

そして時が経ち、ブラックと呼ばれるようになったシャロン。
フアンの跡を引き継ぐかのように売人になったシャロンは
ムッキムキのマッチョになっています。
彼が筋肉で武装するのは、内面の弱さの裏返しでしょう。
そんなある日、シャロンの携帯電話に
久しぶりにケヴィンから電話がかかってきて……。

まるで『キャロル』をゲイに置き換えたような
非常にやきもきするラブストーリー。
子供の頃から居場所がないシャロンを通して
アイデンティティの不確実さをしっとりと描いています。
ケヴィンがゲイではなく、バイであることが
シャロンの苦悩をより複雑なものにしていると思います。
シャロンが感じている孤独や疎外感が
荒んだ家庭環境、黒人であること、ゲイであることにかかわらず、
普遍的なテーマであることに異論はありません。

その証拠に、ずっとスクリーンを食い入るように見つめていたのですが
映画が終わってエンドロールが流れ始めた瞬間、
え? これで終わり? と思ったのが正直なところ。
もう一山欲しかったなあという感じです。
年を重ねていることを表現するナオミ・ハリスの変貌ぶりは
見事でした。







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