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アンダーグラウンド

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(原題:Underground 1995年/フランス・ドイツ・ハンガリー合作 171分)
監督/エミール・クストリッツァ 脚本/エミール・クストリッツァ、デュシャン・コバチェビッチ 撮影/ヴィルコ・フィラチ 美術/ミリェン・クチャコヴィチ・クレカ 音楽/ゴラン・ブレゴヴィチ
出演/ミキ・マイノロヴィチ、ラザル・リフトフスキー、ミリャナ・ヤコヴィチ、スラヴコ・スティマッチ

概要とあらすじ
1995年・第45回カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞したエミール・クストリッツァの代表作。1941年、ナチスドイツがユーゴスラビアに侵攻。ベオグラードに住む武器商人のマルコは祖父の屋敷の地下に避難民たちを匿い、そこで武器を作らせて生活する。やがて戦争は終結するがマルコは避難民たちにそのことを知らせず、人々の地下生活は50年もの間続いていく。1996年日本初公開。2011年、デジタルリマスター版でリバイバル公開される。(映画.comより)



ユーゴスラビアン絵巻!

ユーゴスラビアの映画監督と言って
真っ先に思いつくのは
僕の大好きなデュシャン・マカヴェイエフなのですが
マカヴェイエフ作品はVHSが廃盤となった後、
なかなかDVD化されません。
マカヴェイエフは斬新かつ奇天烈な作風ですが
ユーゴスラビアにはそんなアヴァンギャルドな精神を育む土壌が
あるのでしょうか。
政治と民族紛争に明け暮れていたユーゴスラビアは
いまとなっては既に存在しない国なのですが
『アンダーグラウンド』50年にわたる
ボスニア・ヘルツェコヴィナ(旧ユーゴスラビア)の激動の歴史

アヴァンギャルドに、そしてコミカルに描いています。

大雑把な知識こそあれど、
ボスニアの歴史に照らし合わせながら
『アンダーグラウンド』を語るほどの知識は
残念ながら持ち合わせておりません。無念。
しかも、その複雑な歴史を荒唐無稽な空想のもとに
史実とフィクションを織り交ぜながら綴るこの作品

表面的な軽快さに隠された切実な想いを
含み持っているのは想像に難くなく
生半可な歴史認識では到底太刀打ちできそうにもありません。
ということで、
ボスニア・ヘルツェコヴィナの歴史に不用意に踏み込むことは避け、
映画作品としての魅力について考えよう。そうしよう。

オープニングから乱痴気騒ぎです。
酔っぱらって銃を撃ちながら進むマルコ(ミキ・マイノロヴィチ)
クロ(ラザル・リフトフスキー)の後ろを
走りながらついてくるブラスバンド。
その激しいビートが、もう、カッコイイ!!
もう一回言っておこう。もう、カッコイイ!!

このシーンだけでも十分にこの映画は当たりだと思わせてくれるのです。

第二次世界大戦が幕を開け、
マルコの弟イヴァン(スラヴコ・スティマツ)
飼育係を務める動物園も空爆にみまわれ、
ほとんどの動物たちも死んでしまいます。
それでもマルコとクロは呑気なもの。
娼婦を抱いたり、しっかり朝飯を食ったりしています。
壊滅状態の街でナチスから逃れるため、
クロの仲間たちは地下室へと逃げ込みますが
その直後、クロの妻はクロの息子ヨヴァンを産み落として
死んでしまいます。
しかし、クロには妻とは別に
思いを寄せる女優ナタリア(ミリャナ・ヤコヴィッチ)がいて
舞台の上演中にナタリアを奪還。
船上で結婚式を挙げることとなるのですが
恋敵のドイツ兵フランツの襲撃に遭い、ナタリアを再び奪われ
クロ自身も囚われて拷問に合うのです。
そこに助けに来たマルコはフランツを殺害し、クロを救出するのですが
クロは手榴弾で大怪我(ふつう死ぬけど)。
地下室での生活を余儀なくされるのです……

などと、あらすじを追ったりしてしまいましたが
ここから物語は意外な方向へと急展開。
かねてからナタリアに思いを寄せていたマルコは
ナタリアを自分のものとし、
「まだナチとの戦争は続いている」から外は危険だと嘘をついて
クロたちを地下室に閉じ込めてしまう
のです。

なぜか政界でどんどん力をつけていくマルコ。
当時のニュース映像がふんだんに使われ、
そこにマルコの姿が合成されていくのです。
そう、まさにボスニア版『フォレスト・ガンプ』のようです。
マルコがユーゴ共産党政府の重要人物となる間も
いまだに第二次世界大戦が続いていると思い込んでいるクロたちは
地下室で武器を作り続けています。20年間も!

やがて、息子のヨヴァンといっしょに遂に地上へ出たクロ。
そこで遭遇したのは、いまや英雄となったマルコを讃えるために
作られているプロパガンダ映画の撮影現場
そこにいる俳優たちはみなマルコやクロたちに瓜二つ。
映画の撮影だと知らないクロの浦島太郎感が面白いのです。

20年ぶりに地上へ戻ったクロは
ナチスとの戦いが続いていたのは嘘だったと知るのですが
戦争がなくなったわけではなく、
そこでは新たに内戦が繰り広げられているのです。
何も変わっていない、それどころか身内同士で殺し合う
もっと最悪な状況
になっているのが皮肉です。
皮肉ですが、史実なのでさらに残酷です。

マルコの弟イヴァンは逃亡の身となったマルコが
武器商人となって取引しているところを目撃、兄の姿に幻滅し
車椅子に乗ったマルコを撲殺します。
マルコは「ひどい戦争だ。弟が兄を殺すとは」
言い残して死んでいきます。

ラストの幻想的なシーンで、死んだ者たちが集まり
かつてのように宴を楽しんでいます。
すると地面が割れ、宴を楽しむ人たちを乗せて流れていきます。
あの小さな離れ小島は「国」を表しているのでしょうか。
「苦痛と悲しみと喜びなしでは、子供たちにこう伝えられない。
 『むかし、あるところに国があった』、と」


171分と長尺なので、つい身構えてしまいますが
基本的にハイテンションなドタバタ・コメディー。
ダレることなく楽しめるでしょう。
これを機に、ややこしそうなユーゴの歴史を勉強しているのも
映画を観た後の楽しみ方かも。





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