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へんげ

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(2011年/日本 54分)
監督・脚本・編集/大畑創 撮影/四宮秀俊 音楽/長嶌寛幸 特技監督/田口清隆
出演/森田亜紀、相澤一成、信國輝彦

概要とあらすじ
「大拳銃」(2008)でゆうばり国際ファンタスティック映画祭、ぴあフィルムフェスティバルの双方で審査員特別賞を受賞した新人・大畑創監督が描く不条理ドラマ。静かな住宅街に暮らす若い夫婦は、夫を襲う奇妙な発作に悩まされていた。体を弓なりにしならせ、野獣のような咆哮(ほうこう)をあげる夫を不安に思いながらも介護する妻だったが、謎の症状は次第に悪化していき、ついに夫の体が不気味に変態を始める。(映画.comより



行けーーー!!!

低予算で作られたチープな日本のホラー映画でしょ?
くらいの感じで観るとどぎついしっぺ返しをくらう
『へんげ』
いままで観ていなかったことを後悔するくらいの
大傑作でした。
完全に余談ですが、本作のタイトルを
どうしても「レンゲ」のイントネーションで言ってしまうのですが
まあどう考えても「変化」ですよね。

妻・恵子(森田亜紀)の自慰で始まる本作。
原因不明の奇病を患い、激しく呻き叫ぶ発作を繰り返す
外科医の夫・吉明(相澤一成)の世話をしている恵子は
心身共に疲弊し、欲求不満にも陥っています。
吉明の発作は徐々にエスカレートし、
手足が木の根っこみたいにクリーチャー化し始めます。
これは自分の手に負えないと感じた恵子は
しぶしぶ吉明を入院させるのですが、
理不尽な検査に苦しんだ吉明は病院を脱走し、
街に出て人を襲うように。
家に戻ってきた吉明を霊能者にみせるものの、
恐れをなした霊能者は退散した挙げ句、
吉明の手によって殺されてしまいます。

吉明が霊能者の体をバラバラに食いちぎるのを
目の当たりにした恵子は絶叫する……かと思いきや、
唖然とはするものの、何かを悟ったようなようすで
自宅の一室に吉明を閉じ込めて、
なんとか彼をコントロールしようと試みるものの、
やがて、出会い系の逆ナンを装って
吉明のために「獲物」を捕獲するように。

(てことは、人肉は吉明の食料なのか?)

というわけで本作は、
重い病を患った夫を妻が献身的に看病する
「病気もの」でもあります。
この夫婦の愛情がどれほど深いのかを
計り知る表現がなかったのは残念ではありますが、
とにかく、この夫婦はふたりしか知り得ない
強い愛情によって結ばれているのです。
ああ、なんてうらやましい!!

そして、ここからラストまでの展開が
本作が傑作たる所以。

街をさまよう恵子と
完全にクリーチャー化した吉明を発見した警察は
ためらうことなく集中発砲!
するとなんと、吉明は巨大化!!
怪獣が都会のビル群をなぎ倒す特撮映画へと
「へんげ」するのです。

観る人によってはこの特撮をチープに感じるかもしれませんが、
人間たちがビルからぱらぱらと落下する地獄絵図が
素晴らしいのです。
定番通りに電車も破壊します。

あっけにとられていると、
いつのまにか自衛隊の戦車が登場し、巨大吉明を攻撃。
するとなんとなんと、さらに巨大化する吉明ーー!!!
なんだこれはーー!!!


発作を起こした吉明が口走る言葉は
最後までなにを言っているのか聞き取れませんでしたが、
原始人が動物と会話するための言語だそうで
「自分は世界の総意である」という意味とのこと。
攻撃されればされるほど巨大化する吉明は
社会的抑圧や、理不尽な倫理や道徳観によって鬱屈し、
蝕まれた自由な精神の発露なのかもしれません。
巨大化した吉明を見上げる恵子の
「行けーーー!!!」という絶叫に
感動せずにおれようか。
「ふたりしか知り得ない愛情」で結ばれていた
吉明と恵子の夫婦愛が
いつのまにか「世界の総意」へと「へんげ」したのです。

主役ふたりを除いた、脇を務める俳優たちの演技が
揃いもそろってアレなのは気にしないとして、
本作を作り上げた大畑創監督の心意気に胸が熱くなり、
なんともすがすがしい気持ちに満たされて、
まるで自分が巨大化したような元気をもらえる傑作です。





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