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最後の追跡

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(原題:Hell or High Water 2016年/アメリカ 102分)
監督/デビッド・マッケンジー 製作/シドニー・キンメル、ピーター・バーグ、カーラ・ハッケン、ジュリー・ヨーン 脚本/テイラー・シェリダン 撮影/ジャイルズ・ナットジェンズ 美術/トム・ダフィールド 衣装/マウゴシャ・トゥルジャンスカ 編集/ジェイク・ロバーツ 音楽/ニック・ケイブ、ウォーレン・エリス
出演/ジェフ・ブリッジス、クリス・パイン、ベン・フォスター、ジル・バーミンガム、マリン・アイルランド、ケビン・ランキン、デイル・ディッキー、ウィリアム・スターチ

概要とあらすじ
家族の土地を守るため銀行強盗を繰り返す兄弟と、彼らを追う年老いたテキサス・レンジャーを描いたクライムドラマ。不況にあえぐテキサスの田舎町。タナーとトビーのハワード兄弟は、亡き両親が遺した牧場を差し押さえから守るため、連続銀行強盗に手を染める。慎重派のハワードが練った完璧な計画のおかげで兄弟は次々と襲撃を成功させていくが、刑務所から出所したばかりのタナーの無謀な行動のせいで次第に追い詰められていく。一方、定年を目前にしたテキサス・レンジャーのマーカスは、相棒のアルバートとともに事件の捜査に乗り出すが……。兄弟役を「インフェルノ」のベン・フォスターと「スター・トレック」シリーズのクリス・パイン、テキサス・レンジャーのマーカス役を「クレイジー・ハート」のジェフ・ブリッジスがそれぞれ演じた。「ボーダーライン」のテイラー・シェリダンが脚本を手がけ、「名もなき塀の中の王」のデビッド・マッケンジーがメガホンをとった。(映画.comより



繰り返される略奪の歴史

アカデミー賞にゴールデングローブ賞、
カンヌ映画祭にもノミネートされているのに
(受賞はしていないが)
日本では公開されていない『最後の追跡』
Netflix独占配信で観られるということで
観てやりましたよ、ええ。
監督は『名もなき塀の中の王(2013)』
デビッド・マッケンジー
脚本は『ボーダーライン(2015)』
テイラー・シェリダン

早速銀行強盗のシーンから始まる本作。
ゆっくりと回り込むように動くカメラワークに
魅せられます。
犯罪に手慣れているわけではなさそうなふたりの強盗が
トビー(クリス・パイン)と兄タナー(ベン・フォスター)
兄弟だということはすぐにわかりますが
銀行から金を奪って逃走する間のふたりのやりとりから
それぞれの性格がしっかりとわかるようになっているのが見事です。

荒くれ者の兄タナーは、
父親を銃で撃った罪で10年服役して出所したばかり。
その間、慎重な性格の弟トビーは
長患いの母親の世話をしていましたが、
その母もついに他界し、後に残されたのは
銀行による不当な融資によってふくらんだ莫大な借金。
担保にされている牧場から石油が出るとわかったのに
このままではすべてを銀行に奪われてしまう……。
なんとかして自分の子供たちに
この土地と財産を残してやりたい!!


というわけで、
母親に金を貸し付けたミッドランド銀行の支店のみを襲い、
奪った金をカジノでロンダリングしたうえで、
借金返済に充てるという計画を立てるのでした。
トビーの考えた計画は、
犯行に使った車はその都度土に埋めて隠すほど
彼の性格通りに慎重で念入り。
にもかかわらず、タナーが勝手なことばかりするもんで
トビーの気が休まる暇はありません。

かたや、銀行強盗を追うレンジャーの
マーカス(ジェフ・ブリッジス)
相棒のアルベルト(ジル・バーミンガム)
3週間後に定年を迎えるマーカスは
あきらかな人種差別に基づいた嫌みを繰り返し、
ネイティブ・インディアンとメキシコ人の血を引く
アルベルトのことを一日中ず〜っとからかっています。
最低の老害じじいなのですが、
辟易しながらもマーカスの世話をみるアルベルトのおかげで
さほど嫌悪感が湧いてきません。

言うまでもなく、
トビー&タナー兄弟と
マーカス&アルベルトのコンビは
その関係性も含めて対になっています。
トビーにとってのタナーと
アルベルトにとってのマーカスは
やっかいだけれど憎みきれない間柄なのでしょう。

ウエイトレスから弁護士まで
トビーとタナーに肩入れする人物が登場するのは
金持ちから金を奪い取る(奪い返す)痛快さがありますが、
アルベルトがこぼすように、
そもそもインディアンの土地を白人たちが奪い、
さらにそれを銀行(資産家)が奪い、
その銀行の金をトビーとタナーが奪う
……という
長年にわたって繰り返される略奪の歴史が
凝縮して語られています。
ラストシーンでマーカスが語る「一生ついて回る」という言葉は
この略奪の歴史は終わることがないということでしょうか。

タナーとマーカスの考えが離れた場所でシンクロし、
クライマックスへ。
激しい銃撃戦が突如訪れますが、
自警団とはいえ、一般市民が
普通に満ち歩いているライフルをがんがん撃ってくる
という
アメリカンな展開に唖然。
しかも追いかけてくる。
万事休すかと思いきや、
厄介者のタナーが意外な男気をみせ、
マシンガンで自警団たちを蹴散らしたあと、
トビーと別れて自分は追い迫る警察を引きつける役を
買って出るのです。
父親を殺し、母親からも憎まれていたタナーは
最後の最後で家族の役に立ちたいと思ったのでしょうか。

荒涼としたテキサスの風景をバックにした
(ロケ地はニューメキシコだそうですが)
痛快なクライム・アクションであり、
弱者の悲哀も漂う良作です。





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