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マイマイ新子と千年の魔法

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(2009年/日本 93分)
監督・脚本/片渕須直 製作/千葉龍平、野田助嗣、丸田順悟、岩田幸雄 原作/高樹のぶ子 総作画監督/辻繁人 演出/香月邦夫、室井ふみえ 画面構成/浦谷千恵 美術監督/上原伸一 撮影監督/増元由紀大 編集/木村佳史子
声の出演/福田麻由子、水沢奈子、森迫永依、本上まなみ、松元環季、江上晶真、中嶋和也

概要とあらすじ
芥川賞作家・高樹のぶ子が自らが幼少時代を描いた自伝的小説を映画化。監督は「魔女の宅急便」(89)などで演出補を務めた片渕須直。昭和30年代、大自然に囲まれた山口県防府市にある旧家。おでこにマイマイ(つむじ)がある小学3年生の新子は、祖父から聞かされた千年前の町の姿やそこに生きた人々のことを空想することが趣味だった。ある日、なかなか田舎に馴染めない東京からの転校生・貴伊子と出会った新子は、次第に貴伊子と遊ぶようになり、心を通わせていく。(映画.comより



一生懸命、遊ぼうや!

『この世界の片隅に』という狂気の大傑作に打ちのめされ、
いまさらながら片渕須直監督の過去作を遡って
『マイマイ新子と千年の魔法』を観たという次第です。

どうしても『この世界の片隅に』と比べながら観てしまい、
正直、序盤は
動画と背景のあからさまな違和感に不安になりました。
あらためて『この世界の片隅に』の
クオリティの高さが尋常ではないことを再確認したのですが
徐々に違和感は薄れていきました。

主人公の新子は、夢見がちで活発な女の子。
おじいちゃんの話をもとに、
1000年前の暮らしを想像してワクワクするような子供です。
こんなところが『この世界の片隅に』のすずさんと共通しているし、
ひとつの土地に脈々と受け継がれてきた
ひとつながりの日常を描いている点で
片渕監督が思い描く世界観が一貫していることがわかります。
蝶々やトンボ、そしてサギ(!)などが
さりげなく登場するのも、
ウイスキーボンボンやポンポン菓子などのアイテムも
片淵印といったところか。

父親の都合で東京から引っ越してきた貴伊子
見知らぬ土地での生活になじめず孤立していましたが、
新子持ち前のおおらかさによって
ふたりは急速に仲良くなっていきます。
この「すぐに友だちになる」という子供らしさが
本作を貫く魅力であり、
いつのまにか失ってしまった無邪気さに対する
甘酸っぱい郷愁を呼び起こすのです。

本作では、大人たちの世界は多くは語られません。
あくまで新子を中心とした子供たちの世界が描かれますが、
もちろん、子供たちは大人たちと無関係ではなく、
大人たちの世界は、遠くに立ちこめる暗雲のように存在しています。
貴伊子の母親が若くして亡くなっていること、
学校の先生の恋人が妻子持ちだったとわかり、
別の男性と結婚すること、
そして、立派な警察官にみえていたタツヨシの父親が
博打と女に溺れた挙げ句、自殺してしまうこと。
子供たちが遠巻きに感じ取っている大人たちの世界は
憂鬱で陰惨な世界です。
新子が「ウチは思春期」と繰り返すのは
子供たちが、やがて子供ではなくなる日が
すぐそこまで近づいていることを示唆している
はずです。
貴伊子が死んだ母親の顔を忘れそうだというのも
同様ではないでしょうか。

新子とタツヨシが
タツヨシの父親が自殺する原因となった女のもとに
「殴り込み」に行くシーンあたりから
なんだか目から汗が流れて止まりませんでしたが
(飲み屋の店先で酔いつぶれて寝ている男が
 1000年前にも同じ体勢で寝ていたのは笑いどころ)
「遊ぶ」ということを大前提にした
子供たちのコミュニケーションの取り方

たまらなくいとおしく感じました。
ほんとに子供の頃って、ああだったんだけど、
「遊ぼ!」つって友だちと会うことなんて、
すっかりなくなりました……。
「遊ぼ!」という気持ちが、
1000年前の清少納言から綿々と受け継がれてきたと思うと
またしても目から汗が……。

なんと、最後は新子が引っ越していくという展開。
貴伊子もほかの仲のいい友だちも
わりとドライに、またね〜くらいの軽さで
若干拍子抜けしそうになりますが、
おそらく子供たちは離ればなれになることの意味を
あんまり深刻にとらえていないのではないでしょうか。

だって、ずっと友だちだし。だって、仲がいいし。
でもねぇ、離れるとねぇ、
そんなつもりはなくても疎遠になっちゃうんだよな……。
新しい友だちも出来るし。
子供たちの別れを惜しんでいないあっけらかんとした態度が
逆に切なく感じました。

新子が叫ぶ「一生懸命、遊ぼうや!」という台詞は
座右の銘にしたいくらいです。
いや、そうしよう。





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