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完全なるチェックメイト

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(原題:Pawn Sacrifice 2015年/アメリカ 115分)
監督/エドワード・ズウィック 製作/ゲイル・カッツ、トビー・マグワイア、エドワード・ズウィック 原案/スティーブン・J・リベル、クリストファー・ウィルキンソン、スティーブン・ナイト 脚本/スティーブン・ナイト 撮影/ブラッドフォード・ヤング 美術/イザベル・ゲイ 衣装/レネー・エイプリル 編集/スティーブン・ローゼンブラム 音楽/ジェームズ・ニュートン・ハワード
出演/トビー・マグワイア、リーブ・シュレイバー、ピーター・サースガード、マイケル・スタールバーグ、リリー・レーブ、ロビン・ワイガート、ソフィー・ネリッセ

概要とあらすじ
「ラスト サムライ」の名匠エドワード・ズウィックがトビー・マグワイアを主演に迎え、伝説の天才チェスプレイヤー、ボビー・フィッシャーの半生を映画化した伝記ドラマ。アメリカとソ連が冷戦下にあった1972年。15歳の時にチェスの最年少グランドマスターになった経歴を持つボビー・フィッシャーは、その突飛すぎる思考と予測不能な行動のせいで変人として知られていた。アイスランドで開催される世界王者決定戦に出場することになったフィッシャーは、チェス最強国ソ連が誇る王者ボリス・スパスキーと対局。両国の威信をかけた「世紀の対決」として世界中が勝負の行方を見守る中、一局目で完敗したフィッシャーは極限状態に追い込まれながらも、驚くべき戦略でスパスキーに立ち向かう。共演に「17歳の肖像」のピーター・サースガード、「ウルヴァリン:X-MEN ZERO」のリーブ・シュレイバー。「オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分」「イースタン・プロミス」のスティーブン・ナイトが脚本を手がけた。(映画.comより



国家も狂ってるね。

囲碁の勝負師を描いた韓国映画に
囲碁をするにはするけれど、
最終的には殴り合いで勝負をつける
『神の一手』というトホホな作品がありましたが、
茶巣の世界を描いた実話ベースの『完全なるチェックメイト』
正真正銘、チェスの戦いをスリリングに見せてくれます。

序盤はかなり早いテンポで進むので
人間関係や設定を見失いそうになりますが
それも徐々に馴染んでいきます。
子供の頃からチェスに魅入られていた
ボビー・フィッシャー(トビー・マグワイア)
めきめきと腕を上げ、天才の名を欲しいままにするようになります。
彼の前に立ちはだかる最大で唯一の敵は
ソ連のスパスキー(リーブ・シュレイバー)
ボビーはなんとしてでもスパスキーに勝利して
世界王者にならなければならないのですが、
徐々にボビーを様子がおかしくなってきます。

元来、引き分けも認めないほど負けず嫌いのボビーは
多少わがままで傲慢なところがあったとしても
勝負に対するストイックな姿勢は
周囲の人間を魅了するにあまりある天才なのです。
ローリング・ストーンズやモハメド・アリに例えられる彼の奇行は
それも含めたうえでの魅力の一部です。

で、手に負えない奴くらいのうちは良かったのですが
とくに聴覚を過敏にさせ、
ボビーは次第に被害妄想に囚われるようになり、
よりによってキリスト教福音派にも傾倒したことで、
自分の気に入らないことは
すべてソ連=共産主義とユダヤ人の策略だと考えるように。
共産党の活動家の彼の母親への反撥が
ボビーに反共産主義を植え付けたきっかけのようにも思えますが
ラストシーンで登場する、アメリカを追われた実物のボビーは
今度はアメリカに対して呪詛を吐くようになっていたので
一概に生い立ちがもたらしたトラウマともいえません。
それにしても、自らもユダヤ人でありながら
ユダヤ人を嫌悪するボビーの姿は
『ショック集団』における
自分をKKKの一員だと思い込んだ黒人を思い出させ、
彼の精神的錯乱の深刻さを感じさせます。
また、ボビーの疑心暗鬼が
何手も先を読むチェスの優秀なプレイヤーならではの副作用という仮説は
興味深いですね。

ボビーの誇大妄想を裏付けるかのように
ボビーとスパスキーの対決が
あたかも米ソの代理戦争と化しているのも
冷戦時代のにらみ合いを想像させ、
また、滑稽でもあります。
すごいとはいえ、たかがチェスというボードゲームに
国の威信をかけていることのアホらしさ。

ついにボビーvsスパスキーが実現。
あいかわらずボビーは、カメラの音がうるさいだのと
難癖をつけたり、ゲーム会場に来なかったりしていますが、
とにかく気を取り直してゲーム再開となってからの
緊張感が充満したシーンは見事だと思います。
囲碁もチェスもまったくわかっていませんし、
ときおり定石とおぼしき打ち方を示す言葉が登場したりしますが、
チェスのルールやなにがすごいのかがわからずとも、
いまこれはとても大事な勝負が行なわれていると
十分に感じさせてくれます。

面白いのが、
終始、余裕綽々でダンディーだったスパスキーが
ボビーとの対決で追い込まれるうちに
椅子から変な音が聞こえると言い始め、
椅子のレントゲンまで撮らせるくだり。
ボビーとスパスキーは同じ穴のムジナなのですが、
ふたりがみせる才気と狂気の移ろいに
自分は凡人で良かったのかもしれないと思ったりします。

ボビーは、92年当時
アメリカが経済制裁中のユーゴスラビアで試合をしたことで制裁を受け、
アメリカに帰れなくなったそうです。
(その間、4年間日本にもいたんだとか)

ボビーも狂ってたかもしれないけれど、
国家も狂ってるね。





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