ガール・ライク・ハー

agirllikeher.jpg


(原題:A Girl Like Her 2015年/アメリカ 91分)
監督/エイミー・S・ウェバー
出演/レクシー・エインズワース、ハンター・キング、ジミー・ベテット

概要とあらすじ
突然いじめの標的にされ、絶望の日々を過ごす女子校。だが、校内で執拗に繰り返される陰湿な嫌がらせの一部始終を密かに撮影したことで、状況は変わり始める。(NETFLIXより



ひとつの理想的モデルケース

2016年12月24日の「タマフル放課後CLOUD」
三宅隆太監督が年間ベストの5位に挙げられていた
日本未公開作品『ガール・ライク・ハー』
NETFLIXにあったのでちょっくら観てみました。
いじめを描いた多くの作品がいじめの被害者の視点に限られ、
またはいじめる側に復讐する内容が多いのに対し、
フェイク・ドキュメンタリーの本作は
アクロバティックなPOVを用いて
いじめる側の人間が抱えている心理に迫ろうとする意欲作です。

とある田舎の公立高校が
高校教育の国家委員会から表彰
され、
全国10位になった快挙に湧いているという状況から始まる設定が
学校教育に対する皮肉がたっぷりと込められています。
(なにを表彰されたのか、いまいちよくわからなかったけど
 健全な優良校みたいなことでしょうか)

そんなさなかに、いじめに苦しんでいた
ジェシカ・バーンス(レクシー・エインズワース)
服毒自殺を図る事件が発生します。
全国10位に表彰された公立高校を取材に来ていた
ドキュメンタリーの撮影隊は
急遽、ジェシカが自殺を図った原因を探るべく、
いじめの実態に迫ろうと企画を方向転換する……という設定が、
POVものにつきまとう「なんで撮影してるの?」問題を
さくっと解消しています。

さらには、ジェシカの唯一の友人(恋人?)で
映像ギークのブライアン(ジミー・ベテット)
ジェシカにプレゼントした
トンボの形をしたブローチ型隠しカメラによって
ジェシカがいじめを受けている実態が録画される
という、
離れ業をやってのけます。
いわば、学校生活のドライブ・レコーダーです。
かなり強引ではあるけれど
ほかにやりようがないこれらの手法によって
本作は成り立っていると言っても過言ではありません。

メールや日記など記録に残るものを除いて、
通常、いじめがどのように行なわれていたかの検証には
証言に頼るところが多いと思われますが、
印象や虚偽の証言に左右されない映像という証拠を用意するあたり、
現代的だなとも思うし、
いじめ問題解決のもどかしさを解消したい
エイミー・S・ウェバー監督の意図も感じます。

クラスメイトたちの証言から
ジェシカを執拗にいじめていたのは
エイブリー(ハンター・キング)という
「自称人気者」集団のリーダー的存在でした。
エイブリーの振る舞いは見事なほど胸くそ悪く、
どこの国でもいじめをするやつの幼稚さは同じだなあと
変な感心をしてしまいます。
さらには、ドキュメンタリーの監督(おそらくエイミー・S・ウェバー)は
エイブリーにもカメラを持たせて撮影させ、
エイブリーの家族関係にも立ち入ります。

いじめる側の子供が抱える問題として
見栄っ張りで口うるさい母親や
態度がはっきりしない失業中の父親が登場し、
エイブリーの高圧的かつ傲慢な態度が
息が詰まる家庭環境によるもの
として提示されるのは
ちょっと短絡的帰結のような気がしないわけではありません。
「からかってただけだ」と主張していたエイブリーは
ジェシカのブローチ型隠しカメラによって録画された映像をみると
自分の非を認め、泣き崩れます。
病院のベッドで死の淵を彷徨っていたジェシカは
エイブリーの謝罪を受け入れたかのように
意識を取り戻す
のでした。

自分の行為を映像で見せつけられたエイブリーは
これはひどい行ないだと理解できるくらいの
客観的判断力を持っていたということになります。
また、自分の非を認めるだけの勇気を持ち合わせていたとも
いえるでしょう。
その意味で、本作はエイブリーに対して非常に同情的で
今後に希望を託したハッピーエンドだと思います。

しかし敢えていえば、
現実には、映像で動かぬ証拠を突きつけられたとしても
これはジョークのつもりだったとか、
いじめが自殺の原因だとは限らないだとか、
いじめられる側の精神的弱さに問題があるとか、
あくまで自分の非を認めないやつはいるでしょう。

また、エイブリーがとても理想的な改心をみせたとしても
エイブリーを厄介払いした人気者グループの連中や
いじめの事実を知っているのに無関係を装っていた
消極的共犯者とでもいうべきその他のクラスメイトたちの問題には
多くは触れられず、
いじめっ子個人の資質によっていじめが起こるのではなく、
歪んだ集団心理に起因するのではないかという問題

解決されないままです。

まあ、いじめに関わるすべての問題が
一挙に解決する方法があったら
とっくにいじめなんてなくなっているでしょうから
(なんならこの世界から差別が消えてなくなるでしょうから)
本作は、いじめ解消のための
ひとつの理想的モデルケースを提示したと
いえるのかもしれません。

エンドロールに
「彼らのその後が知りたい方はこちらまで」として
後日談を撮影した映像のURLがありました。
(http://agirllikehermovie.com/aftermath)
ご参考まで。(英語です)





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2017.01.30 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 映画

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