バトル・ロワイアルII 鎮魂歌(レクイエム)

br2.jpg


(2003年/日本 133分)
監督/深作欣二、深作健太 原作/高見広春 脚本/深作健太、木田紀生 撮影/藤澤順一 美術/磯見俊裕 編集/阿部亙英 音楽/天野正道
出演/藤原竜也、前田愛、忍成修吾、酒井彩名、ビートたけし、末永遥、加藤夏希、前田亜季、竹内力

概要とあらすじ
前作の監督、深作欣二の撮影中の死により、息子・深作健太が監督を引継いで完成させた続編。前作で描かれたドラマの3年後、首都はBR法に反対する者たちにより爆破されて崩壊、その1年後、前作で島を脱出した七原は、反BR法組織<ワイルドセブン>のリーダーとなり大人に宣戦布告。彼らを抹殺するための新世紀テロ対策特別法「BRII」が施行され、鹿之砦中学校3年B組の生徒42人はテロリストとの闘いの最前線に送り出される。(映画.comより



「大人」の発想とは思えない

巷の酷評に感化されていたわけではなく、
なんとな〜く食指が動かなかった
『バトル・ロワイアルII 鎮魂歌(レクイエム)』
久方ぶりに『バトル・ロワイアル』を見返したついでに
とうとう観てしまいました。

名匠・深作欣二の実質的遺作となってしまった
『バトル・ロワイアル』は
藤原竜也の相変わらずなオーバー・アクト
山本太郎の拭いきれない陳腐さなど、
目をつぶらなくてはならない箇所も多くあるけれど、
突如制定された「BR法」そのものが
大人の理不尽さを象徴しているし、
殺し合いを命じられた中学生たちが本音をむき出しにし、
表面的な「友情」が崩壊していくさまが白眉でした。
ビートたけし映画としての一面や、
栗山千明の発見などもありましたが、
なによりもエンターテイメントとして見どころが満載でした。

撮影が開始されてすぐに深作欣二監督が逝去されたため、
息子の深作健太が後を引き継いだ本作は
深作欣二監督への追悼の意が多分に含まれるのは致し方ないところ。
だからこその「鎮魂歌」なのでしょう。
偉大な父親が死んだ悲しみに浸る暇もなく、
父親の引き継ぎを任された深作健太監督の心中や、
察するにあまりあります。

で、本作『BR II』。
戦争アクションとしての演出は悪くないと思いました。
あからさまに『プライベート・ライアン』を想起させるシーンや
火薬たっぷりな爆破シーンは
十分な迫力があったように思います。
やっぱり本作の問題点は設定の不可思議さ
破綻しまくった脚本にあるのではないでしょうか。
もしも、最後まで深作欣二監督が演出していたとしても
この脚本そのままではどうしようもなかったんじゃないか……。

第一作で生き延びて指名手配となった
七原秋也(藤原竜也)中川典子(前田亜季)
七原は「ワイルドセブン」と称する反BR法組織を結成し、
都心の高層ビルを破壊するなどしていますが、
都市を破壊することがどのような理屈で
反BR法につながるのか不明で、
単なる過激派テロリスト集団でしかありません。
で、「ワイルドセブン」に対抗するために
政府が施行したのが新世紀テロ対策特別法「BRII」で
選抜された中学生を七原秋也暗殺のために派遣するというもの。
……もうこの基本的な設定からして意味がわからない。

先生役で竹内力をキャスティングしている時点で
B級コメディと割り切るしかないのかもしれないけれど、
無理矢理連れてこられた中学生たちは
いまさらながら「勝ち組」と「負け組」の選択を迫られます。
「BR II」に同意しない「負け組」の中学生は殺されるので
そもそも選択させる意味がまったくありません。
このまったく意味のないやりとりを長々と続け、
これでもかとばかりに「仲間」の絆を強調するので
かなりの苦痛を強いられます。

出席番号が同じ男女は紐付けされ、
片方が死ねば自動的に片方も死んでしまう
設定が
なんのために存在するのか理解できませんし、
「ワイルドセブン」のアジトがある島の浜辺に到着した時点で
多くが無駄死にしてしまうので、
「BR II」のために設定されたルールが
「ワイルドセブン」の殲滅と七原秋也暗殺という
そもそもの目的の障害にしかなっていないのは、
どういうことか。
「ワイルドセブン」のアジトが判明しているなら、
とっととそこを攻撃すればいいのは誰でもわかるはずで、
その通りに結局は「大人たち」の軍隊がアジトに突入するし、
それどころか爆弾を落としまくるので
映画内で映画の基本設定を否定するという、
とんでもない自己矛盾になっています。
「ワイルドセブン」のほうも、
本来敵ではない、それどころか守るべき存在の
上陸してくる中学生たちを
ためらいもなく殺しまくるのは一体なぜなんでしょう。

でもやっぱり、もっとも白けるのは
「悪」=「大人たち」=「アメリカ」という
非常に短絡的で幼稚な左翼的思想でしょう。
なんだか大風呂敷を広げた割には、
結局はアメリカを「あの国」とごまかしてしまう
腰の引け具合に唖然とします。
挙げ句の果てに、テロリズムを容認するかのような決着。
これはいくらなんでも子供じみていて
とても「大人」の発想とは思えません。

前作から3年後という設定は
実際の映画公開の時間経過にそっているわけですが
15歳だった七原秋也は18歳になっているというわけで、
この中途半端さが諸々の失敗を招いた起因かもしれません。
もし、本作が前作から5年後の物語で
七原秋也が20歳=大人になっていたとしたら
描かれる世界も少しは違っていたような気がしますが
気のせいかもしれません。





にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ 
↑お気に召したらクリックしていただけますと、もんどりうって喜びます。
関連記事
スポンサーサイト

2017.01.29 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 映画

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

«  | ホーム |  »

プロフィール

のほうず
映画が好きで観るのはいいが、
かたっぱしから忘れていくので
オツムのリハビリ的ブログ。
******************
当ブログの文章・画像およびイラストの無断転載を禁じます。引用される場合は、出典の表記と当ブログへのリンクを設定してください。

FC2ブログランキング

FC2Blog Ranking

お気に召したら
クリックお願いします。
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ

スポンサードリンク

↓過去の記事はこちらから!↓

検索フォーム

QRコード

QR

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

カウンタ