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ヴィクトリア

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(原題:Victoria 2015年/ドイツ 140分)
監督・製作/セバスチャン・シッパー 脚本/セバスチャン・シッパー、オリビア・ネールガード=ホルム、アイケ・フレデリーケ・シュルツ 撮影/シュトゥールラ・ブラント・グレーブレン 音楽/ニルス・フラーム
出演/ライア・コスタ、フレデリック・ラウ、フランツ・ロゴフスキ、ブラック・イーイット、マックス・マウフ

概要とあらすじ
ベルリンの街で出会ったスペイン人女性と4人の青年に降りかかる悪夢のような一夜を、全編140分ワンカットで描いた新感覚クライムサスペンス。わずか12ページの脚本をもとに俳優たちが即興でセリフを発し、撮影中に発生したハプニングもカメラに収めながら、ベルリンの街を疾走する登場人物たちの姿をリアルタイムで追う。3カ月前に母国スペインからドイツにやって来たビクトリアは、クラブで踊り疲れて帰宅する途中、地元の若者4人組に声をかけられる。まだドイツ語が喋れず寂しい思いをしていた彼女は4人と楽しい時間を過ごすが、実は彼らは裏社会の人物への借りを返すため、ある仕事を命じられていた。監督は「ギガンティック」のゼバスティアン・シッパー。2015年ベルリン国際映画祭で最優秀芸術貢献賞を受賞、ドイツ映画祭でも作品賞をはじめ6冠に輝いた。15年・第28回東京国際映画祭ワールド・フォーカス部門で上映。(映画.comより



「撮影してるの、だれ?」問題

とにかく「全編140分ワンカット」というのが
最大の売りである(と思われる)
『ヴィクトリア』です。

ワンシーン・ワンカットというものには
多くの作り手たちが魅了され、幾度となく使われてきました。
フィルム時代には物理的に不可能だった
長尺の長回しが出来るようになったのは
あきらかにデジタルの恩恵でしょう。

でも、そうはいってもですな、
エマニュエル・ルベツキが撮影監督を担当した
『ゼロ・グラビティ(2013)』『トゥモロー・ワールド(2006)』
『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)(2014)』など
長回しを擬似的に再現している作品がほとんど。
「全編140分ワンカット」だという本作も
ワンカットに見えるように作られているんだろうなと思っていたので、
カットの切れ目に注意していたのですが……ない。
カットの切れ目らしいところがないのです。
どうも本当に「全編140分ワンカット」らしいぞ、と。

この点においては、まったくアッパレ。
「わずか12ページの脚本」ということですが、
逆に決めごとを極力少なくしないと、こんな作品は作れないでしょう。
脚本は12ページあれば十分だし、編集はいらないし、
撮影時間は上映時間と一緒だし、
こんなにラクな撮影方法はありませんね♡
とはいえ、本作には
登場人物たちの微妙な心の揺れも十分に表現されているし、
俳優たちの演技力+腹の据わり具合は見事だと思いました。

ピアニストになる夢が破れたスペイン人の
ヴィクトリア(ライア・コスタ)
暮らし初めてまだ3ヶ月のベルリンで
ひとり寂しくクラブで踊っているところから始まります。
バーテンとのやりとりからも
彼女が気の合う友だちを求めているのがわかります。
そこへ現れたのが、ゾンネ(フレデリック・ラウ)たち
4人のチンピラ、というかガキ。
誘われるがままに4人について行くヴィクトリアの
警戒心のなさにひやひやしますが、
この4人組はいたって陽気なバカだったので
かろうじてセーフ。

ところが、4人組のうちのひとりがマフィアに義理があり、
突如、銀行強盗をするはめになって、
ヴィクトリアも運転手として加わることになってしまうのです。

4人組をすでに仲間だと感じていたのか、
ゾンネに対する愛情が芽生え始めていたのか、
ヴィクトリアが鬱屈した現状を打破したい気持ちが強すぎる気もしますが
とにかく、図らずも彼女は犯罪に手を染めることになるのでした。

話は「ワンカット」に戻りますが、
地下のクラブから地上、
地上からマンションの屋上へ上がったり、
車に乗り込んで移動し、やがて銃撃戦へと動きまくる
展開を
違和感なく(むしろこれ見よがしに)変位するカメラワークは
やはり見事としか言いようがありません。
物語も非常に魅力的なのでぐいぐいと引き込まれ、
まるで自分がその場にいるような臨場感を味わえます。

ところが、というか、だからこそ、
ハタと我に返った瞬間に持ち上がる
「ところで…撮影してるの、だれ?」という疑問。
この違和感は、
ホラー映画で用いられることの多いPOVを観ているときに
感じるものと同じですが、
「全編140分ワンカット」という手法のメリットが
最大限効果的に発揮され、
観客がリアルタイムの臨場感を感じれば感じるほど
POVおなじみの「撮影してるの、だれ?」問題が
浮上してくるのです。

本作はPOVではありませんが、
「全編140分ワンカット」を成功させた結果、
図らずも限りなくPOVに近づいてしまったのではないでしょうか。
無論、POVが悪いわけじゃないし、
なにより本作はとても面白かったのですが、
映画が追求するリアリティ、
もしくは観客が映画に求めるリアリティを表現するのは
非常に繊細で困難なことなんだなと思いましたとさ。





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