" />

キューティー&ボクサー

cutieandtheboxer.jpg



(原題:Cutie and the Boxer 2013年/アメリカ 82分)
監督/ザッカリー・ハインザーリング 製作/リディア・ディーン・ピルチャー、パトリック・バーンズ、シエラ・ペテンジル 製作総指揮/キキ三宅 編集/デビッド・ティーグ 音楽/清水靖晃
出演/篠原有司男、篠原乃り子

概要とあらすじ
米ニューヨーク在住で「ボクシング・ペインティング」で知られる現代芸術家・篠原有司男とその妻・篠原乃り子に4年にわたり密着したドキュメンタリー。1932年生まれの有司男は岡本太郎の言葉に感銘を受け、前衛芸術に傾倒。60年に結成された芸術集団「ネオダダイズム・オルガナイザーズ」の中心メンバーとして活躍するなどし、69年に渡米。ジャンクアートやパフォーマンス、そして「ボクシング・ペインティング」で名を広め、80歳を超えた今もなお、若き日の反骨精神もそのままに創作活動を続けている。美術学生時代に有司男と出会って結婚した妻・乃り子は、そんな有司男との混沌とした40年にわたる夫婦の歴史を、自らの分身として編み出したヒロイン「キューティー」に託してドローイングでつづっていく。夫婦に魅了された29歳の新鋭ザッカリー・ハインザーリング監督が、アートという永遠のテーマと戦い続ける2人の姿を追った。(映画.comより



芸術と恋愛の不可思議な相似

「ギューちゃん」こと篠原有司男
80歳の誕生日で幕を開ける『キューティー&ボクサー』
代名詞である「ボクシング・ペインティング」をする彼は
到底80歳とは思えない体つきと俊敏な動きで
意気軒昂なようすが窺えます。
そんなギューちゃんを支えるパートナーが
篠原乃り子
ギューちゃん40歳、乃り子19歳のときに出会った二人は
その後40年間ニューヨークで生活を共にし、
現在に至るのでした。

家賃の支払いにも窮するような極貧生活でありながら、
あいかわらず作品作りのことばかりが頭にある
ギューちゃんの姿は
なにやってんだよと思う反面、うらやましくもあります。
若い頃に「ゲイジュツだー!」と叫んだものの、
やがて生活苦から創作活動に挫折してしまう人がほとんどだろうし、
ある意味、その挫折はまっとうな判断とも思えるのですが、
たとえカツカツの生活だとは言え、
それなりに名前が知れて作品が売れることもあるギューちゃんは
まだ恵まれているほうだと言えるのかも知れません。
もちろんそれは、彼が決して諦めることなく、
創作活動を続けてきたからこそ。
継続は力なりってやつ。

しかし、ギューちゃんが生活を顧みず、
創作活動に没頭できるのは乃り子の存在あってこそ

というのは誰の目にも明らかでしょう。
ギューちゃんが、人生における嫌なことや面倒なことを
すべて乃り子に担わせてきたといっても過言ではないはず。
自由で破天荒な生活には少なからずリスクがあって、
本人がそれを受け止めようとしない場合には、
本人以外の誰かがそのリスクを肩代わりしているものです。
リアル『アキレスと亀』。

で、当然、鬱屈をためるのは乃り子のほう。
生活苦に加え、自信もアーティストである彼女は
ギューちゃんの世話ばかりで
自分の作品作りができないことにも不満がたまっています。
芸術家を目指して渡米した19歳の少女が
幸か不幸かエネルギッシュな中年男に魅了されて、
気がつけば40年……。
「あたしのこと無料のアシスタントで、
 無料の秘書で、無料の料理係とでも思ってんでしょ」

と、ギューちゃんに毒づく乃り子は
もっと違う人生があったはずだと、
何度も考えたことでしょう。

ところが、乃り子は
ギューちゃんとの生活で味わった苦労が今の自分を作り、
「もう一度最初からやれといわれたら、きっとやると思う」
と、いうのでした。
これが恋愛の不可思議なところ。
決して数字では計れない重要ななにかがあるのです。

それはギューちゃんの創作活動にも言えることで、
「岡本太郎の言葉に感銘を受けた」といわれる彼の作品は
正直、古くさいし、
魅力的かと言われれば首をかしげます。
ギューちゃん自身がかつてのステレオタイプな芸術家像に
取り憑かれているようにも見えます。
あまりにも無邪気な彼の振るまいをみていると
そもそも、芸術とはなぜ存在し、
いかなる価値があるのかという根源的な問いさえ浮かんできます。

すべてのドキュメンタリーがそうだとも言えますが
本作が、ギューちゃんと乃り子に対する
愛情たっぷりの主観によって作られていることを
差し引いたとしても、
芸術家夫婦が体現してみせる
芸術と恋愛の不可思議な相似は
しっとりと染み入るものを感じました。
ケ・セラ・セラ。





にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ 
↑お気に召したらクリックしていただけますと、もんどりうって喜びます。
関連記事
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

«  | ホーム |  »

プロフィール

のほうず

のほうず
映画が好きで観るのはいいが、
かたっぱしから忘れていくので
オツムのリハビリ的ブログ。
******************
当ブログの文章・画像およびイラストの無断転載を禁じます。引用される場合は、出典の表記と当ブログへのリンクを設定してください。

FC2ブログランキング

FC2Blog Ranking

お気に召したら
クリックお願いします。
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ

スポンサードリンク

↓過去の記事はこちらから!↓

検索フォーム

QRコード

QR

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

カウンタ