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エヴォリューション

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(原題:Evolution 2015年/フランス 81分)
監督・脚本/ルシール・アザリロビック 製作/シルビー・ダントン 撮影/マニュ・ダコッセ 美術/ライラ・コレット 音楽/ザカリアス・M・デ・ラ・リバ
出演/マックス・ブラバン、ロクサーヌ・デュラン、ジュリー=マリー・パルマンティエ

概要とあらすじ
「エコール」で高く評価されたフランスの女性監督ルシール・アザリロビックが、女性と少年だけが暮らす謎めいた島で繰り広げられる美しくも恐ろしい「悪夢」を描いた異色ドラマ。少年と女性しか住んでいない島で母親と暮らす10歳の少年ニコラ。その島の少年たちは、全員が奇妙な医療行為の対象となっていた。そんな島の様子に違和感を覚えたニコラは、夜遅く外出する母親の後をつけてみることに。やがて海辺にたどり着いた彼は、母親がほかの女性たちと「ある行為」をしているのを目撃してしまう。本作が映画初出演のマックス・ブラバンが主人公ニコラを演じ、「エール!」のロクサーヌ・デュラン、「マリー・アントワネットに別れを告げて」のジュリー=マリー・パルマンティエが共演。2015年サン・セバスチャン国際映画祭で審査員特別賞と最優秀撮影賞を受賞した。(映画.comより



羊水からの「船出」

何を隠そう東京在住の僕は、
『エヴォリューション』を観るため、
公開2日目の21:00の回に新宿シネマカリテへ行って参りました。
公式サイトによると、レイトショーでは
『ネクター』という短編が併映されるとのことだったので、
まあそれなりに楽しみにしていたのですが、
予告編もなくすっと本編が始まり、
映画が終わるとすっと場内が明るくなって
『ネクター』の上映はありませんでした。
あれぇ? おれの勘違いかなあ?
それとも21:00はレイトショーじゃないのかなあ? などと思いつつ、
もやっとしたまま帰宅したところ、
しばらくして新宿シネマカリテの公式Twitterが……。
手違いで短編上映するの忘れましたとな!!
そ、そんなことあんのかよっ!
(半券を持っていれば、後日振り替えしてくれるそうだが……)

ルシール・アザリロビック監督
(ギャスパー・ノエ監督のパートナー)の前作、
『エコール』は未見ですが
深い森の中に集められた少女たちが、
男性のいない環境で成長する姿を描いているとのことで
本作は『エコール』の少年版ということになるのでしょうか。
監督自らリンチ、クローネンバーグ、アルジェントなどの影響を認め、
中川信夫『地獄(1960)若松孝二『犯された白衣(1967)』
本作の参考にしたそうで、
かなり暗黒面に偏ったシネフィルのごようす。

「私は、映画は言葉ではないと思っています。
 言葉ではないからメッセージも要らない。
 あくまでも感覚、そして感情的に何か伝わってくれればいいと
 思っています」
webDICEインタビューより)
という監督の言葉通り、
本作はつじつま合わせを拒否するかのように
粘着質なイメージに溢れています。
海中から水面を見上げるオープニングからして抽象画のよう。

海辺に建つ白壁の施設には思春期前の少年たちが集められ、
母親と称する女性たちと
なにやら少年たちに実験を施している看護婦たち。
海底で死体を見つけたというニコラ(マックス・ブラバン)
自分たちが置かれている状況の異常性に気づき始めています。

あんなにザッパンザッパン激しい波が押し寄せる岩場で
泳げるのかよというのはともかく、
母なる海の水は、生命の起源をも内包した
羊水を象徴している
のではないでしょうか。
ニコラが、母親と称する女性を偽物だというのも
出される食事がミミズのイカ墨煮みたいに不味そうなのも
(のようにニコラには見えている?)
すべては思春期目前の少年が抱く母親嫌悪のメタファだと思います。
それを決定づけるのが、
背中にタコの吸盤のような痕がある女性たちが
夜な夜な体をこすりつけ合いながらのたうち回っている
のを
目撃したこと。
なんて、いやらしいんだ! 不潔っ!
と思ったことでしょう、ニコラは。
そして、この母親嫌悪は
少年が自立するために必要なプロセスだと思います。
やがてニコラは
母親ではない女性ステラ(ロクサーヌ・デュラン)に惹かれるように。

看護婦たちが少年に施す手術とは
なんと、少年の腹部で胎児を育てること。
……なんでしょうねえ、これは。
女性だけが強いられる妊娠・出産を
男性でも可能にしようという試みでしょうか。
ただ、ニコラと心通わせるようになったステラが
おそらくその罰として水槽で拘束されていたことからすると、
この女性集団は男性との恋愛やセックス全般を
禁じているようにも思えます。


島を脱出し、文字通り「船出」したニコラとステラでしたが、
ステラは島へと戻ってしまいます。
ひとり残されたニコラが乗る船が進む先には
工場地帯のような、遊園地のような、
光り輝く建造物がひしめき合っているのでした。

てことで、どうでしょう。





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