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私はゾンビと歩いた!

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(原題:I WALKED WITH A ZOMBIE 1943年/アメリカ 68分)
監督/ジャック・ターナー 制作/ヴァル・リュートン 脚本/カート・シオドマク、アーデル・レイ 撮影/J・ロイ・ハント
出演/トム・コンウェイ、フランシス・ディー、ジェームズ・エリソン、エディス・バレット、クリスティン・ゴードン、テレサ・ハリス、ジェームズ・ベル

概要とあらすじ
邪教の呪いに生と死との間をさまようゾンビ女を看護した恐怖の告白!黒沢清氏(映画監督)推薦!! 私はゾンビの手を取って歩いた・・・・・・。美しい看護師は太陽が降りそそぐカリブ海の国ハイチの農園に招かれた。そこで体験した身の毛もよだつミステリアスな恐怖。農園主夫人は現地ブードゥー族に呪いをかけられたため、生きている死体ゾンビとなって俗界と死界の間をさまよっていた。看護師は白い死装束をまとう夫人の手を取って薄闇の海岸の草むらをそぞろ歩きして、ブードゥー教の儀式に参加する。妖しいリズムが胸をかきたてる。(Amazonより



私は私はゾンビと歩いた!を観た!

「黒沢清監督推薦!」と銘打った
一連のDVDシリーズがあって、
その中のひとつ『私はゾンビと歩いた!』を観てみました。
ロメロの『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド(1968)』から
さらに25年遡る1943年に公開された本作で
はっきりと「ゾンビ」という言葉が出てくるのは
ある種、驚きでもありますが、
もともと「ゾンビ」がブードゥー教に端を欲するのを考えれば
あたりまえっちゃ、あたりまえなのです。

看護婦ベッツィ(フランシス・ディー)の回想で語られる本作は
ゾンビとベッツィが波打ち際を歩くオープニングからわかるように
画面設計が非常に美しくスタイリッシュです。
また、ほとんどのシーンで
照明によって作られたブラインドや木の枝の陰が
登場人物たちを彩っています。
ハイチで砂糖農園を経営するホランド(トム・コンウェイ)
妻を看病する専属の看護婦として採用されたベッツィが
雪が舞うカナダから南国の楽園へと旅立つ設定が巧みです。
心も感覚も奪われているホランドの妻ジェシカ
夢遊病者のように徘徊する姿は
本末転倒だけど、黒沢清がいかにも好きそうなイメージ。

父違いのホランドの弟・ランド(ジェームズ・エリソン)
ベッツィがふたりでカフェにいると、
ストリート・ミュージシャンが歌う歌が聞こえてきます。
その歌詞というのが、ランドはジェシカを愛してしまったけど
それを知ったホランドはジェシカを塔の中に幽閉し、
ジェシカは気がふれてしまった
……という内容。
古くからある歌ということになっていますが、
ほぼ数年前の話でしかも実名入り。
まあとにかく、ホランドとランド兄弟の
どろどろとした愛情のもつれが露見します。
そもそも、この島の黒人たちは
ホランド家が連れてきた奴隷の末裔たち
なので
彼らが心に秘めた呪いのようなものの根深さが窺えます。
妹の出産を悲しむメイドのように
彼ら黒人奴隷たちにとって生きることは苦痛でしかないのです。

「死ぬかもしれないけれど、治る可能性もある」という
結構乱暴なショック療法をジェシカに施すものの効果なく、
ベッツィはブードゥー教に頼ることを決意し、
フンフォートというブードゥー教の寺院に
夜な夜なジェシカを連れ出します。
そこで現れるのが、なんとも言えないギョロ目の門番。
基本的に突っ立ってるだけですが、
話が通じなさそうな威圧感を放っています。

フンフォートに到着して、司祭に病を打ち明けようとすると
そこにいたのは、なんとホランドの母。
ホランドの母は診療所を営んでいましたが、
現代医学的な診療を信用しない島の黒人たちを従わせるために、
ブードゥーの神のお告げだと偽っていたのでした。
ま、嘘も方便ってやつです。
ところが、ホランドの母とベッツィが話している隙に
信者たちによって取り囲まれたジェシカが
腕にナイフを刺されると……血が出ない。
ジェシカはすでに死んでいる「ゾンビ」だったのです。

ブードゥー教の奇怪さとゾンビの恐怖とは別に、
本作にはメロドラマの要素が物語の多くを占めています。
理屈っぽくて嫌みったらしいホランドは
ベッツィにも無神経な態度で接しますが、
彼がピアノを弾いている姿をみたベッツィは
彼にゾッコン。これがギャップ萌えというやつか。
兄の妻ジェシカを奪おうとしたランドは
相思相愛だったにもかかわらず、願いは叶わず、
やさぐれて酒浸りになっています。

終盤、ホランドの母が衝撃の事実を。
あくまでブードゥー教に心酔しているフリをしていただけだった彼女は
一家の崩壊を嘲笑うジェシカに憤り、
ジェシカをゾンビにしてくれとブードゥーの神に祈ってしまい、
それが実現してしまった
のでした。

ジェシカは死んだほうがいいのではないかと
考えるようになったランドは
ブードゥーの呪いに導かれるがままにジェシカを連れ出し、
殺した彼女を抱きかかえたまま、海の波間に消えていきます。
少し前のシーン、ジェシカが邸宅から出ようとするのを
ベッツィが門扉を閉めて引き留めたとき、
遅れて現れたランドが門扉の外にいて、
門扉越しにベッツィやホランドと会話する
のが
彼の疎外感を端的に表現していて見事だなあと思いました。

じっくり味わえる作品です。





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