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ザ・ギフト

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(原題:The Gift 2015年/アメリカ 108分)
監督/ジョエル・エドガートン 製作/ジェイソン・ブラム、レベッカ・イェルダム、ジョエル・エドガートン 脚本/ジョエル・エドガートン 撮影/エドゥアルド・グラウ 美術/リチャード・シャーマン 衣装/テリー・アンダーソン 編集/ルーク・ドゥーラン 音楽/ダニー・ベンジー、ソーンダー・ジュリアーンズ
出演/ジェイソン・ベイトマン、レベッカ・ホールロ、ジョエル・エドガートン

概要とあらすじ
「華麗なるギャツビー」「ブラック・スキャンダル」「ジェーン」などで活躍する俳優ジョエル・エドガートンの長編初監督作品で、「パラノーマル・アクティビティ」「インシディアス」といった人気ホラー作品を手がけるジェイソン・ブラム製作によるサイコスリラー。新たな転居先で幸せな生活を送る夫婦の前に、夫の同級生と名乗る男・ゴードが現れた。再会を喜んだゴードから、2人に1本のワインが「ギフト」として贈られる。しかし、徐々にゴードからのギフトはエスカレートしていき、度を越していく贈り物に2人が違和感を覚えはじめた頃、夫婦のまわりに異変が起き始める。エドガートンは監督、脚本、製作を務め、ゴード役で出演。ゴードに狙われる夫婦の夫役に「宇宙人ポール」のジェイソン・ベイトマン、妻役に「トランセンデンス」のレベッカ・ホール。(映画.comより



君が過去を忘れても、過去は君を忘れない

ジョエル・エドガートンが製作・監督・脚本・主演を務めた
『ザ・ギフト』です。
原題が『The Gift』で
邦題が『ギフト』なんていう映画もあるもんで
ややこしいことこの上ないのですが、
さまざまな作品で、どこか陰のある脇役を演じることの多い
ジョエル・エドガートンが
こんな才人だったとは知りませんでした。

シカゴからロスに引っ越してきた
セキュリティ会社に勤めるサイモン(ジェイソン・ベイトマン)
インテリア・デザイナーのロビン(レベッカ・ホール)夫婦。
サイモンがセキュリティ会社勤務だというのも
なにをかいわんやという感じですが、
ミッドセンチュリー様式のモダンな新居がガラス張りなのも
室内(=本性)が丸見えだぞという意味で暗喩的です。

偶然か必然か、突然サイモンの前に現れたのは
高校時代の同級生ゴード(ジョエル・エドガートン)
サイモンはゴードのことをよく覚えていないというものの、
ゴードはちょくちょくサイモン宅を訪れ、
ワインや鯉の「ギフト」を贈るようになるのでした。

このプロットだけをみても、ことさら新鮮さは感じません。
ゴードにはなにかしら思惑があるはずだし、
ゴード出現を機にサイモンとロビンの夫婦関係が
徐々に崩壊していくであろうことは容易に想像がつきます。
本作は「闖入者もの」とか「いじめられっ子復讐もの」とかいう
(そんなものがあったとして)
ジャンル映画といっていいでしょう。
概ね物語が進んでいく方向はわかっているので
その過程にどのようなアレンジを加え、
どのように演出するのかが肝になってくるでしょう。

不審極まりないゴードがサイモンとロビンを招待した自宅が
じつは別人のものだったとわかり、
いよいよもって、ゴードは信用できない人間だとなるわけですが、
ゴードが残した手紙にあった
「水に流すつもりだった」という一言によって
不審の対象がゴードからサイモンへと移行するのです。
いじめっ子サイモンといじめられっ子ゴードの関係は
非常にリアルで、
個人的な体験から言っても
「あの頃は悪いことしたなぁ。謝るよ」と言われれば
いまさらもういいよとなるものの、
むしろいじめられていたほうに
欠点があったんじゃないかと言いたそうに
あいかわらず高圧的な態度で接してくるバカも大勢います。

ゴードが
「君が過去を忘れても、過去は君を忘れない」というように、
いじめっ子というのは、いじめの対象だった相手のことも
場合によってはいじめの行為そのものを忘れてしまいます。
それには、都合の悪い過去を
積極的に忘れたいという心理もあるかと思われますが
いじめられたほうはいつまで経っても
過去を忘れることはありません。
それはいじめっ子に対してだけでなく、
いじめを傍観していたその他の人間も含みます。

しかし、サイモンがゴードに対して行なったことは
いじめという表現では物足りないほど悪質でした。
サイモンは、ゴードが少年性愛者にレイプされ、
ゴード自身もゲイだというデマ
を振りまき、
反論が意味を持たないような「不審」を周囲から浴びたゴードは
高校を中退し、父親から殺されかけたことまであったのでした。

面白半分で嘘をついたサイモンが、
予想外に反響が大きかったために
真相を打ち明けられなくなってしまったという可能性はありますが、
他人を陥れて自分を引き立たせる彼の手法は
出世のために社内のライバルを蹴落とすためにも
応用されている
ことがわかり、
サイモンが生粋のクズ野郎だと判明します。
しかも、サイモンのクズっぷりが判明するのが
ロビンが念願叶って妊娠したあとというのがなんともはや。

池の鯉が殺され、愛犬が行方不明になって、
ゴード! あのやろう! と思うと犬がしれっと戻ってきたり、
サイモン宅のガラスに石を投げられて派手に割れたとき
今度こそ、ゴード! あのやろう! と思わせて
じつはサイモンがハメた同僚が犯人だったりと
巧みなミスリードを積み重ねます。
ここまで、ゴードがサイモンに対して
表面的には明らかな攻撃をしていないのも見事です。

ロビンは無事に出産したものの、
サイモンに対する不審はいまや軽蔑へと変わり、
もはや二人が一緒に暮らすこともできないようす。
そこに、ゴードからサイモンへ最後の「ギフト」

『悪の法則(2013)』
「holla!(やあ!)」と書かれたCD-Rを彷彿とさせるギフトには
気を失ったロビンをレイプしたかのような映像が。
ロビンが生んだ子供が
サイモンの子供なのか、はたまたゴードの子供なのか、
はっきりさせない「不審」を与えたまま、ジ・エンド。
嫌な余韻を残して映画は終わります。

おそらく、
ロビンが生んだ子供が自分の子ではないかもしれないという
「不審」もしくは疑念を抱えながらサイモンが生きていくことが
ゴードにとっての復讐になるはずですが、
ちょいと難色を示すならば、
すでにサイモンを軽蔑しているロビンは、
今後サイモンと生活を共にしようとは考えていないはずで、
だとすれば、自分が生んだ子供が
軽蔑すべきサイモンの子供だったとしても
そんなことは関係なく
ロビンは自分の子供だとして育てるでしょうから、
サイモンとロビンが離婚するようなことになれば
むしろサイモンが抱える苦悩は
軽減してしまうのではないか
、とは思いました。
あいかわらず、サイモンとロビンはラブラブで
ロビンが「やっとあなたの子供を授かったわ♡」てな感じだとしたら
もっと嫌〜な感じになったんじゃないかな〜
なんてことを思いますが、
まあ、ないものねだりということで。





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