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俺たちの血が許さない

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(日本/1964年 97分)
監督/鈴木清順 脚色/竹森竜馬、細見捷弘、伊藤美千子 撮影/峰重義
出演/小林旭、高橋英樹、緑川宏、細川ちか子、長谷百合、高品格、松原智恵子、小沢栄太郎

概要とあらすじ
松浦健郎の原作を竹森竜馬、細見捷弘、伊藤美千子が脚色「肉体の門(1964)」の鈴木清順が監督したアクションもの。撮影もコンビの峰重義。浅利源治は、ヤクザの縄張り争いがもとで凶刃に倒れると「子供だけは真面目に育ててくれるよう」言い残して息をひきとった。それから十八年、二人の兄弟は女手一つで立派に育てられていた。兄の良太は一度はヤクザの道に入ったものの、今はキャバレーの支配人をする親孝行な青年であった。弟の慎次はサラリーマンで明るい青年で、会社の同僚片貝ミエとのデイトにうつつをぬかしたり、ヤクザに憧れをもつ青年だった。夏祭りの夜、浅利家を一人の男が訪れた。飛田丑五郎と名乗るこの男は、十八年前、兄弟の父源治を刺したのだ……(映画.comより)



そこがいいんじゃない!

鈴木清順『殺しの烙印』で日活をクビになる3年前、
『肉体の門』と同じ年に作られたのが
この『俺たちの血が許さない』です。

前半は、お調子者のサラリーマン慎次(高橋英樹)
中心にしたコメディで、
真司の兄・良太(小林旭)が物語に加わることによって
徐々にフィルム・ノワールの様相を呈してきます。
1960年代の日本は高度成長期真っ只中で
イケイケドンドンだったわけですが
父を亡くした二人の息子たちが次世代を担うべく
新たな道を切り開かんとする世相を表現している……なーんつって
尤もらしいことを無理矢理言ってみても
恥をかくだけのように思います。

母と息子の関係や、嫁と姑の関係など
意識的にしろ無意識的にしろ
時代を反映しているものがありそうな気がしているのですが
単純にフィルム・ノワールのかっこよさに加えて、
クレイジー・キャッツ
『スーダラ節 わかっちゃいるけどやめられねえ』
1962年ということですから
そういうお気楽サラリーマン路線も取り込んでの作品づくりだと
考えるに留めるほかありません。僕には。
少なくとも、コメディとノワールという作品の二極化
慎次と良太の人間性をそのまま表現しているのですから
必然であったと考えてもいいのではないでしょうか。

「休日の旅行は熱海温泉
 ホテル熱海園に決まりました 幹事」


という文字だけが画面一杯に映し出されるカットは
ゴダールを思い起こさせますが
やはり時代的に考えてゴダールの引用とも言い切れず
ともかく、こういうシーンのジャンプの仕方が
「清純美学」と呼ばれるものであり、
問答無用にかっこいいのです。

それにしても、高橋の恋人役の長谷百合のキュートなこと。
今で言うと、満島ひかりあたりの可愛さなのです。
当然、60年代当時のファッションも功を奏しているのですが
頭がよく、自分のスタイルを貫く奔放な役柄がピッタリでした。
対照的に、小林旭の恋人役の松原智恵子は妖艶で
実は小林を監視するスパイであることから
最初、背中からのシルエットでしか登場しなかった松原は
もともとの華奢な体型も相まって
美しいが陰のある、いかにも薄幸そうな美人でした。

基本的に昔の女優さんは
「近所にいそうな女の子」ではなく「スタア」なので
その美しさも半端ないのですが
男にしろ女にしろ当時はまだ大人が憧れられる存在だったわけで
女優にとっては大人の色気というものが
重要だったのではないでしょうか。

最も鈴木清順らしい奇抜なシーンは
慎次と良太が乗った、雨の中を走る車のバックが
荒れ狂う波の映像と合成されたシーン
です。
二人の困難な行く末を暗示する演出だと言ってしまっても
大外れはしなさそうですが
あまりに抽象化された映像はど迫力で
表現の脈略を探るよりも、ただ口を開けて
「かっこいいい」というほかないのです。
では、なぜ「かっこいいい」と感じるのか?
……知らんわ。それは、知らんわ。
「かっこいいい」と感じる原因を探るのは
まったくもって有意義なことで、
知らんわで片付けてしまっていいわけはないのですが
安易に「かっこいいい」の根拠を求めると
自分の好みを正当化するための自己弁護に
終始する場合が往々にしてあるので
アホ面さげて「かっこいいい」とだけ言っておくことにします。

親分の難波田(小沢栄太郎)
逃亡する良太を各地で隠し撮りしたとおぼしき映像を見ているシーンも
隠し撮りというより、どう考えても待ち構えて撮影した感があり、
あげくは良太の恋人ヤス子を
車でひき殺すシーンまで映されているとなると
単なるご都合主義などではなく、確信犯的なおふざけです。
ヒッチコックのシルエットを真似たと思われるカットもありました。

高品格がちょっとだけ参加するラストの銃撃戦は
長距離横移動などを駆使したシーンで楽しめます。
どうやら昼間に撮影された映像にフィルタをかけて
夜の暗さにしているらしいのですが、空があきらかに昼のもの
それがまたシュールな感覚にさせてくれるのです。

奇抜な映像表現だけでなく、わかりやすい物語もあって
当時の生活や風俗も楽しめる、おすすめの作品です。
(Youtubeにはまったく動画がなかったよ……DVDも出てないよ……)





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