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宇宙人ポール

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(原題:Paul 2011年/アメリカ・フランス・イギリス合作 104分)
監督/グレッグ・モットーラ 脚本/ニック・フロスト、サイモン・ペッグ
出演/サイモン・ペッグ、ニック・フロスト、ジェイソン・ベイトマン、クリステン・ウィグ、ビル・ヘイダー

概要とあらすじ
「ショーン・オブ・ザ・デッド」「ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!」のサイモン・ペッグとニック・フロストが主演・脚本を務め、「未知との遭遇」「E.T.」など名作SFへのオマージュを散りばめながら、陽気な宇宙人のポールと冴えない青年コンビの珍道中を描くコメディ。SFオタクのイギリス人青年クライブとグレアムは、全米最大のコミックイベント、コミコンと米中西部のUFOスポットをめぐる旅を楽しんでいた。その途中、ネバダ州のエリア51を通りかかった2人は、ポールと名乗る本物の宇宙人と遭遇。ポールを故郷に帰すため奮闘することになる。(映画.comより)



イングリッシュマン・イン・ネバダ

I’m an alien, I’m a legal alien
僕はエイリアン 法に触れないエイリアン

I’m an Englishman in New York
僕はニューヨークにいるイギリス人

というのは、
スティングの『Englishman in New York』のサビの歌詞。
『宇宙人ポール』のイギリス人ふたりがたどり着いたのは
ニューヨークではなく、ネバダ州ですが
すぐにこの歌が頭に浮かびました。

『宇宙人ポール』が、SFオタクによる
SFパロディ映画であるのは間違いないのですが
イギリス人のグレアム(サイモン・ペッグ)
クライヴ(ニック・フロスト)のふたりが
アメリカから見てエイリアン(=外国人)であることも重要で
男二人組を見ると必ずゲイだと思われるなど
アメリカとイギリスの文化的な違いに戸惑うさまが
「エイリアン」の本来の意味を際だたせています。
念願叶って憧れのアメリカへとやってきた二人が飲むのは
コーヒーではなく、やっぱりティーなのです。

とはいえ、余計なことは考えずに
ストーリーに身を任せて楽しめばそれで十分です。
SFマニアの心をくすぐるネタは随所に出てきますが
それに気づかないとストーリー展開に支障を来すわけではなく、
(数箇所を除けば)笑い損ねる心配もないでしょう。
友情、ロマンス、カーチェイス……と
エンターテイメントの王道をしっかりふまえた脚本が
今まで見たことがないような新鮮さよりも
安心感を満たしてくれますが
王道を踏まえた上で観客を楽しませるというのは
簡単なことではありませんよね。

SF映画に対して、さほどマニアックではない僕ですが
乳房が3つある宇宙人のイラストが『トータルリコール』だとか、
スタートレックのトホホな格闘シーンはわかりました。
あと、ラスト近くの『未知との遭遇』とかね。
二人を追跡するゾイル捜査官(ジェイソン・ベイトマン)の名前が
『メン・イン・ブラック』からの引用だとしても
(このゾイル捜査官の後半でのドンデン返しは痛快!)
彼のフルネームが「ロレンツォ・ゾイル」だと聞いて
驚くふたりのわけがわからず、ググってみると
『ロレンツォズ・オイル(原題)』という映画のタイトルに
聞こえるというダジャレおちでした。
ほかにも、空手の胴衣を着た少年の名前が
「キース・ナッシュ」というのは
イギリスの子供向けサッカー小説の主人公で急所蹴りが得意とのこと。
『ロレンツォズ・オイル』は難病ものだし、
引用元がSFではないものも含まれているのは
あまり一貫性を感じられません。

そして、ラストは「あの人」登場。
本人が楽しんでやってるんなら構いませんが
いろんなところで随分と便利に使われてるなーという
感じは否めません。

それにしても、このところ
大人になりきれない大人(=オタク)が主人公で
過去の名作からの引用を売りにした作品が実に多く、
近いところでは『SUPER 8』『テッド』『キャビン』などなど
枚挙にいとまがないのですが
これはもう、旧来の「大人らしい大人」がいなくなったうえに
新しい物語を作ることが困難になっているんじゃないか、
と考えるのは僕だけでしょうか。
(タランティーノの引用はちょっと趣が違うと思うけど)
『宇宙人ポール』は楽しい作品でしたが
マニアたちが自分の趣味を愛でていじくりまわし、
わかる人だけがわかってニヤニヤする閉鎖的な作品が
あまり多くなるのもいかがなものかと思うのです。
新たな驚きを提示することが難しくなってきているとはいえ、
だからって開き直られたんじゃ、未来がないよ。と思うのです。

Blu-rayに収められていたCGスタッフたちのインタビュー
興味深いものでした。
プログラマーからアニメーターまで100人以上のスタッフが
(スタッフたちも正確には人数を把握していない)
ポールを活き活きと動かすための努力をしています。
面白かったのは、イタリア人のスタッフが
ポールに動きをつけたら、やたらと手の動きが多く
(イタリア人特有の、ほら、あの、なんていうか
 いちごを一房ずつ両手に持って差し出すようなポーズとか)
NGがでたという話。
それほど、ポールを動かす作業に
気持ちを入れていたということでしょう。

映画のネタをポールから指南されるスピルバーグ
声で出演しているのもお楽しみ。

サッカー日本代表の遠藤保仁選手が引退して
すんごい太ったらニック・フロストになるぞ、という想いが
頭から離れなかった、そんな作品でした。





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コメント

遠藤選手!

はじめまして、ブログ村からきました。

アメリカにいるイギリス人=エイリアンですか~。おもしろいですね。花火付きパフェなんかのシーンは単にヤンキーに絡まれるオタクの構図だと思ってました(笑)

それに言われてみたらたしかに遠藤選手が似てておもわず書き込みしてしまいました~;

サイモン&ニックのコンビはパロディ・ベタ展開をうまく凝縮するのに長けていますが、このコンビが本気でオリジナルをつくったら・・・と思うと期待せずにいられません!

2013/05/15 (水) 14:44:06 | URL | トニー #- [ 編集 ]

Re: 遠藤選手!

>トニーさん
コメントありがとうございます! 遠藤、似てますよねww
恥ずかしながら、サイモン&ニックの他の作品はまだ観ていないのですが
これから観てみようと思いました。
またお暇なときにお立ち寄りください。よろしくお願いいたします。

2013/05/15 (水) 15:01:04 | URL | のほうず #- [ 編集 ]

ポールに出逢いたい(U´Д`)

2013/05/15 (水) 15:09:32 | URL | kawakita #- [ 編集 ]

おタッキー か? トレツキー か?

題名の「宇宙人ポール」 が、3流映画の良い感じを出してると、…

スタートレックは、アメリカ人で嫌いな人がいますが、ファンだと言うと、軽いオタクだと思われるのかも。
酒場で、スターウオーズでお馴染みの曲流れたのは、心くすぐられます。
プロットも伏線が満載でどれをいつ使うのかって、楽しみながら、観ることができました。

気になったのは、崖から落ちた捜査官のその後。焼けた奴は、ファン集会に来てたけど。コメディでは、誰も死なない。…よね!

しかし、シガニーウィバーは、強い!彼女は、どうなった?

2016/01/17 (日) 13:50:06 | URL | ミドルネームはチベリウス #- [ 編集 ]

Re: おタッキー か? トレツキー か?

> ミドルネームはチベリウスさん
コメントありがとうございます。楽しい映画ですよね。

2016/01/17 (日) 21:08:53 | URL | のほうず #- [ 編集 ]

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