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混血児リカ

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(1972年/日本 90分)
監督/中平康 脚本/新藤兼人 原作/凡天太郎 製作/安西一人、高島道吉 撮影/杉田安久利 美術/大谷和正 音楽/竹村次郎 録音/星一郎 照明/岡本健一 編集/近藤光雄
出演/青木リカ、長本和子、佐藤文紀、津嘉山正種、今井和子、森塚敏、中台祥浩、荒川保男、宗田政美、野々深知、大友純、内田良平、若松雅、東恵美子、坂上和子、大塚国夫、平田守、坂本ヒトミ、初井言栄、田中筆子

概要とあらすじ
ハーフの不良少女が、敢然と悪徳商人に挑み、絶滅させるまでを、不良少女同志の対立、友情を挿入しながら描く。原作は“週刊明星”に連載中の凡天太郎の同名劇画。青木リカ、十八歳、ハーフである。リカの母親加代は高校生の時、白人と黒人の米兵に強姦されリカを生んだのである。やがて加代はキャバレーで男の餌食になり、金融業者の広瀬の囲い者になっていた。そんなある日、リカは母の留守中に広瀬に処女を奪われ、それ以来、グレ出し不良少女の仲間へと入っていった(映画.comより抜粋



がんばれ、リカ!

監督・中平康、脚本・新藤兼人……と
名だたるスタッフが集結している伝説の作品、
『混血児リカ』を初めて見ることができました。(Amazonで)
日本人少女に対する駐留している米兵によるレイプによって
生まれた少女
が主人公ということで
古くて新しい社会問題を扱った作品……には違いないのですが
これ、東宝じゃなくて東映じゃないの?
鈴木則文監督じゃないの? と思うような
ちょいエロ・アクション・ムービーです。

冒頭、砂浜でのたうち回る女性。
いきなりおっぱいです。
そこへ現れた青木リカ(青木リカ)
どうやら砂浜の女性はヤクザに孕まされて死のうとしていたのですが
リカは死んでしまった胎児をバスケットに入れて
父親であるヤクザのもとへ届けます。

驚く父親ヤクザでしたが、子供の葬式をあげ、
後日、リカたち不良女子のたまり場に現れると
なぜかリカとのタイマン勝負に挑みます。
めっぽうケンカが強いリカはヤクザの両目をつぶした挙げ句に
殺してしまいます
が、
そこに警察が登場してリカは逮捕されます。

そして、リカの過去がフラッシュバック。
リカの母親は少女時代にふたりの米兵によって
レイプされたのでした。
「朝鮮戦争が始まっていた」
「戦争にかりたてられる兵隊は飢えていた」
というテロップ。
直後、幸せそうな米兵家族を苦々しい表情で見つめるリカの母親。
おばあさんの家に身を寄せ、
大きくなっていくお腹に心が張り裂けそうになるリカの母親……
なんですが、時間経過の表現がうまくいっているとは言えず、
ちょっと混乱します。
母親は生まれた子供=リカを土に生き埋めにしようとするものの、
おばあさんに止められるのですが、
次のシーンでおばあさんはいきなり土色の顔をして死んでしまいます。
体調が悪そうな描写はちっともなかったのに……。
やがてリカは成長して、という具合に
リカの生い立ちを説明する序盤の展開はかなり強引。
年頃に成長したリカは母親の愛人・広瀬(森塚敏)
レイプされ、家を飛び出してしまいます。

とまあ、かなり痛ましくも深刻な背景がありながら
全体的にはいたってライトなエンターテイメント。
隙あらばおっぱいを見せ、
口が裂けてもうまいとは言えない青木リカの演技が
映画に深みをもたらすのをよりいっそう拒絶します。
とにかくケリをつかたがる牢名主・夜桜の令子(長本和子)
しつこくリカにケンカを挑み、
劣勢に陥って取り出したナイフをリカに投げつけると
そのナイフは廊下まで飛んでいって、看守の女性の首にグサリ。
リカを殺しに来たチンピラの腕をドスでザクリ。
偶然再会した、浮浪者相手の売春婦でシャブ中で梅毒のリカの母親は
広瀬の心臓をブスリ。

ここぞというゴアシーンでは、大量の血がスプラッタします。

「メリケン波止場のリカ」という異名を持つほどになったリカは
ヤクザの親分にも一目置かれる存在になり、
堂々と出向いては交渉を持ちかけるのですが
恩義を感じている鉄(佐藤文紀)という男をかばうために
キャバレーでダンサーとして踊ったりします。
その姿がそれなりに楽しそうなので
こちとら、わけがわからなくなります。

ことごとく、レイプの対象で
捕まれば娼婦として売り飛ばされる存在という
圧倒的弱者としての女性を代表する
リベンジ・ヒロインたるリカが
アメリカにレイプされた挙げ句に生まれたかのような現在の日本のありかたをも
象徴しているといえなくもないような気がしないでもありませんが
そのような意味ありげな解釈を
まったく受け付けないようなお気楽さがある
なんともおかしな作品です。

リカがホの字だった、ものわかりのいい鑑別所のイケメン医者、
沼田先生(津嘉山正種)
フィアンセと結婚式を挙げていると
突如現れたリカが爆竹をばらまいて嫌がらせをするのですが……
それはひどいだろ。
沼田先生、なんにも悪くないだろ。

ハーレーにまたがって疾走するリカ。
「リカ、何処へ?」「がんばれ、リカ!」というテロップ。
いろんな意味で、現代では絶対にあり得ない映画のつくり。
必見です。





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コメント

いま現在、こういう映画は存在してはいけないし、こんな映画をヘラヘラしながら観てもいけないと思います。

もちろん、人権思想をかんがみてという意味ではありません。

「米兵問題」なのに、「おばあさんはいきなり土色の顔をして死」とか「キャバレーダンサーでそれなりに楽しそう」とか、フィクションという保護幕を切り裂いてしまうリアリティがヤバいから。

2016/08/31 (水) 04:09:14 | URL | 朕です #- [ 編集 ]

Re: タイトルなし

朕さん、ありがとうございます。
> フィクションという保護幕を切り裂いてしまうリアリティがヤバいから。
確かに。現実こそがフィクションですね。

2016/08/31 (水) 10:25:51 | URL | のほうず #- [ 編集 ]

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