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ムカデ人間 2

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(原題:The Human Centipede II (Full Sequence) 2010年/オランダ・イギリス合作 91分)
監督・脚本/トム・シックス
出演/アシュリン・イェニー、ローレンス・R・ハーベイ、マディ・ブラック、ドミニク・ボレリ

概要とあらすじ
狂気に満ちた医師が、複数の人間の口と肛門とをつなぎ合わせ“ムカデ人間”をつくろうとする姿を描いたカルトホラー「ムカデ人間」(2009)の続編。ロンドンの地下駐車場で夜間警備員として働く中年男のマーティンは、映画「ムカデ人間」のDVDを繰り返し見ては、自分も“ムカデ人間”をつくりたいという欲望にかきたてられる。マーティンは、駐車場で目をつけた男女を次々と拉致して倉庫に監禁。邪悪な計画を進めていく。過激で残酷な内容に世界各国で上映禁止になり、日本でも度重なる映倫審査の末、R18+指定での上映が決まった問題作。(映画.comより)



だから、カルトをなめんなってば!

前作『ムカデ人間』
スッカスカのペラッペラで
期待が高かっただけに、落胆と憤りははんぱなく
『ムカデ人間 2』なんぞ観てやるものかと思っていたのですが
今度はどんなふうに出来の悪い映画になっているのか、
確かめてみたいと思うのもこれまた人情。
チミがそんなにいうなら見せてみたまえ、とばかりに
流れるような手つきでディスクをセットしたのです。

前作の主人公のマッドサイエンティスト
見た目の気味悪さで押し切ってしまうキャラクターでしたが
今作の主人公マーティン(ローレンス・R・ハーベイ)
さらにいけてないさと非モテを加味し、
ハゲ・チビ・デブの三拍子が揃った体全体が
とても話しかけづらいフリークス感で満載です。
見ようによっては邪悪なドラえもんに見えなくもありません。

マーティンは仕事中でも『ムカデ人間』のDVDを
繰り返し観ているような熱狂的なファンなのですが
このような、自身の作品に熱狂的なファンがいるという設定に
照れのないずうずうしさを感じるのです。
ファンがファンを呼び、ぜひ続編を作ってほしいという声が
次から次へとわき起こり、
「そこまでいうならご期待にお応えしましょう」
続編に取りかかるのなら納得できるものの
自らカルトを標榜し、ファンをでっち上げてしまうところが
とにかく可愛げがない! わはは。
そんなわけで、どうも僕は
トム・シックスという監督を好きになれないのです。

それはともかく、前作『ムカデ人間』は
人間の口と肛門をつなげるという着想だけが際だち、
脚本の甘さ、ディティールのずさんさ、描写の不十分さから
愚作の烙印を(僕から)押されたのですが
『ムカデ人間 2』は続編とはいうものの
全編モノクロの映像で前作とは趣がまったく違います。
前作がサスペンス・ホラーの定石を踏み損ねた作品だったのに対し
『ムカデ人間 2』は、バックに低いノイズ音が流れ
不穏な異常さを携えたリンチ作品のような佇まい。
悪くないじゃないか、トム。

主人公マーティンのバックボーンも描かれ、
おそらくは幼少時代に父親から受けた性的虐待によって
広がってしまった肛門
のせいで
いつも寝ている間にうんこを洩らしてしまい、
神経を病んでいそうな母親から叱責され邪魔者扱いされています。
マーティン自身も当然のごとく、イカれており
紙ヤスリをつかってオナニーするのです。

『ムカデ人間』の熱狂的ファンであるマーティン
自分でムカデ人間を作らんとし、どういうわけか12人必要だと考えて
自分が勤務する地下駐車場で拉致・監禁に精を出すのです。
銃で膝を撃ち、頭をバールで殴りつける犯行が
リアリティーがあり、鈍い痛みを感じる描写です。
ただ、犯行の最中に目撃者が現れることもなく、
監視カメラの映像も記録されているだろうから
マーティンが悠々と犯行を重ねるのは
あまりに都合がよすぎないかと思いました。(←ラストで納得)

なーにしろ『ムカデ人間』の熱狂的ファンであるマーティンは
前作でムカデにされた俳優たちをメンバーに加えたいと企み、
タランティーノの新作オーディションだと偽って
芸能事務所にアポをとっているのですが
いつ電話しても留守電になって応答しないマーティンを
芸能事務所は疑う様子もなく、
前作メンバーのひとり、アシュリン・イェニー
マネージャーも連れずにひとりでノコノコやってくるのです。

とーにかく『ムカデ人間』の熱狂的ファンであるマーティンは
うるさい母親の頭をぐちゃぐちゃに叩き潰して殺し、
ついにムカデ要員を12人集めるのです。
(結果的には10人になるけど)
ムカデ要員たちは手脚をしばられたまま、
そこそこの長時間倉庫にとじこめられているのですが、
そのわりには元気です。
騒ぐと、マーティンにバールで頭を殴られるのですが
頭蓋骨損傷や出血多量でほとんど死んでいても
おかしくない状況なんすケド。

ここからは、まさに地獄絵図というべき光景が続きます。
前作のなかでさえ、いいかげんだった接合手術を
医療の経験などあるはずもないマーティンが
前作の見よう見まねで、これまた超いいかげんに施していきます。
膝の靱帯をハサミで切り、麻酔無しで歯を引っこ抜き、
ホチキスで尻と顔をとめていくのです。
おまけに、自分のちんこに針金を巻きつけて
最後尾の女をレイプします。

そして、僕が前作でもっとも気に入らなかった
うんこの弱々しすぎる描写が今作では炸裂!
前作に対する僕の声がトムに届いたのか
適当につながれた肛門と口の隙間から
うんこが漏れ溢れでてるのです。そうそう、そうこなくっちゃ!
やればできるじゃないか、トム! トム…… トム?
わかった、わかったから、一回落ち着こ! というほど
前作の鬱憤を脱糞するかのごとく(ウマイコトイウ!)
こちらの期待以上にまき散らすのです。
しかも、うんこだけはカラーなのです。
これはクロサワへのオマージュか……ふむ。
んなアホな! 叱られるわ!

最大の見どころは
一度は死んだかに見えた妊婦のムカデ要員が目を覚まし、
マーティンの隙を見て逃げだし、
真っ裸ででかい腹を突き出し、股間から羊水を流しながら
雨の中をがに股で走り、車に駆け込むシーンです。
こんなものを最大の見どころだなどと言っている僕も
どうかしていると思いますが
裸で走る妊婦というのは初めて見る映像で
悲惨さと滑稽さが入り交じり、惹きつけられました。
直後に運転席で子どもを産み落とした妊婦は
絶叫しながらアクセルを踏み込み、
生まれたばかりの赤ん坊は、頭を母親に踏みつぶされます。

案の定、マーティンのムカデ計画は破綻し、
やけになったマーティンはムカデ要員たちを殺してしまいます。
自らもじょうろで肛門から愛玩するムカデを挿入されるのですが
その後のラストシーンで、マーティンはいつものように
地下駐車場の管理室で『ムカデ人間』のDVDを見ているのです。
……まさかの夢オチ? 妄想オチ?
マーティンの妄想なら、いままでの都合のいい展開も
うなづけるというものですが、
それにしても観客をバカにしているとしか思えません。
つまり、前作の『ムカデ人間』は
マーティンの妄想を裏付けるための
フリでしかなかった
ということです。
そのフリでしかない作品を、独立した作品として公開し
通常の料金を観客からせしめるやりかたには憤りを憶えます。
カルトカルトと言われたいのなら
今作を『ムカデ人間』として公開し、
劇中劇として主人公が観ていたあの映画はなんなんだ?
あの映画を観てみたい! と思わせるほうが
効果的だし、真っ当でしょう。

ところで、邪悪なドラえもんこと
主演のローレンス・R・ハーベイ

普段は子ども番組に出演するパフォーマーだそうです。
(ほらみろ! やっぱドラえもんだ!)
大の親日家で、日本語も勉強中。
70年代のピンク映画で活躍した谷ナオミのファンだとか。
喜んでいいものやら……

すでに、『ムカデ人間 3』を制作中という
トム・シックス監督。
……もう、勝手にしろ!





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