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ディクテーター 身元不明でニューヨーク

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(原題:The Dictator 2012年/アメリカ 83分)
監督/ラリー・チャールズ 製作/サシャ・バロン・コーエン、アレック・バーグ、ジェフ・シェイファー、デビッド・マンデル、アンソニー・ハインズ、スコット・ルーディン 脚本/サシャ・バロン・コーエン、アレック・バーグ、ジェフ・シェイファー、デビッド・マンデル 撮影/ローレンス・シャー 美術/ビクター・ケンプスター 編集/グレッグ・ヘイデン、エリック・キサック 衣装/ジェフリー・カーランド 音楽/エラン・バロン・コーエン
出演/サシャ・バロン・コーエン、アンナ・ファリス、ベン・キングズレー、ジェイソン・マンツォー、ジョン・C・ライリー、ミーガン・フォックス

概要とあらすじ
「ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習」「ブルーノ」のサシャ・バロン・コーエンが、今度は世界一危険な独裁者アラジーンに扮する。ニューヨークで身元不明人になってしまったアラジーンが巻き起こす騒動を描くコメディ。国連サミットに出席するためニューヨークを訪れたワディア共和国のアラジーン将軍は、何者かに拉致され、トレードマークの髭を剃られてしまう。スーパーの店員となって潜伏し、反撃の機会を待つアラジーンだったが、国連サミットに偽者が出席し、ワディヤを自由の国にすると宣言する。アラジーンは自らの独裁者生活を守るため立ち上がるが……。監督は「ボラット」「ブルーノ」に続きラリー・チャールズ。(映画.comより



独裁国家で何が悪い!

面白い面白いと評判なのは知っていたけれど
なかなか見る気になれなかったサシャ・バロン・コーエン
『ディクテーター 身元不明でニューヨーク』を観てみたら、
クッソ面白かったのです。
とっとと観ればよかったよ。

なかなか観る気になれなかったのは、
政治ネタにしろ、ゴシップネタにしろ、
わかる人だけがニヤッとできるコメディなんじゃないかと
思っていたからで、
ま、そういう面がないわけじゃないけれど
表面的にはいたってストレートなコメディ
むしろ巧みだなあと感じました。

「金正日をしのんで」というテロップで始まる本作。
ワディヤ共和国で生まれたばかりの
アラジーン(サシャ・バロン・コーエン)
髭も陰毛も毛むくじゃらだったり、
母親は出産直後に殺されたり、
小ネタが大量に放出されますが、
どれも見ればすぐに理解出来るギャグばかりだし、
無粋な説明などひとつもなく、
観客が突っ込んで笑うタイプの面白さなのが
非常に好感が持てます。
挨拶するときにワキの臭いを嗅がせたり、
気に入らない部下の首を簡単にはねたりして、
独裁国家の異常性を観客に植え付けます。

とにかく、国連サミットに出席するために
アメリカにやってきたアラジーンは
相変わらず陽気で傲慢なのですが、
参謀のタミール(ベン・キングズレー)の策略によって
ジョン・C・ライリーに殺されそうになり、
タミールによって将軍に祭り上げられた影武者が
ワディヤ共和国の民主化を宣言する事態に陥ったのでした。
命は助かったけれど大事な髭を剃られたアラジーン
ニューヨークの街を彷徨うことに。

大量に散りばめられたギャグを
いちいち拾っていくわけにもいかないのですが、
社会運動家のゾーイ(アンナ・ファリス)が経営する
自然食品の店で働くようになったアラジーンが
相変わらず将軍様の価値観&道徳観で立ち振る舞う姿は
慇懃無礼でありながら、
クソガキを蹴飛ばしたりするのが痛快だったりして、
観客が隠し持っている本音の感情をくすぐります。
ヘリコプターの中で
「ポルシェ911」と「9.11」を勘違いするくだりなんて、
かなりきわどいギャグ。
最高にくだらなくて楽しいのは、出産シーンですね♡
間違えてアナルに腕を突っ込むわ、
産道に携帯を入れるわ、
挙げ句の果てには、産道の中でゾーイと手をつないで
いい感じになるわ……
下品極まりないけど、なぜか楽しい。

で、白眉は
将軍の座を奪い返したアラジーンが
演説を振るシーン。
「独裁国家で何が悪い!」と言い始めたアラジーンは
「もしアメリカが独裁国家だったら?
 国民の1%の人間が富を独占できるぞ!
 国民の健康や教育なんて無視すればいい!
 言論の自由の陰でメディアも牛耳れる!
 金持ちがバクチで失敗しても保証してもらえるぞ!
 特定の人種を刑務所に入れられるようになるぞ!
 こじつけた理由で戦争だってできるんだ!」


……全部、今までアメリカがやってきたことですね。
アメリカは独裁国家を目の敵にするけれど、
アメリカのやっていることは独裁国家と同じじゃないか、
というわけ。痛快ですねぇ。

そのうえで、愛するゾーイの姿を認めたアラジーンは
「民主主義には欠点がある。完璧じゃない。」としたうえで、
「でも、愛している」
というのです。
これはアラジーンとゾーイのラブストーリーを装ってはいるものの、
ゾーイこそが民主主義のモデルなのです。
ちっとも色気がなくて、わき毛を生やしてて
(個人的にはわき毛を生やした女性は好きなんだけども)
スタイルがいいわけでもないゾーイ。
それでも、というか、そういう欠点も含めて
愛してるんだと言い放つアラジーン。
軽快に本質をつくサシャ・バロン・コーエンの
達観した知性が感じられます。

その後、ワディヤ共和国では
初となる選挙が行なわれますが
戦車を使って投票を弾圧する始末。
でも、ラストシーンで
こっそり製造させている核兵器を視察に来たアラジーンが
「ゾーイの目を盗んでやってきた」というあたりに
為政者とそれを監視する国民の関係が
軽やかに象徴されているようにも感じ、
とても緻密に考えられた風刺だなあと思いましたさ。





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