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エクス・マキナ

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(原題:Ex Machina 2015年/イギリス 108分)
監督・脚本/アレックス・ガーランド 製作/アンドリュー・マクドナルド、アロン・ライヒ 撮影/ロブ・ハーディ 美術/マーク・ディグビー 衣装/サミー・シェルドン・ディファー 編集/マーク・デイ 音楽/ベン・サリスベリー、ジェフ・バロウ
出演/ドーナル・グリーソン、アリシア・ビカンダーエ、オスカー・アイザック、ソノヤ・ミズノ

概要とあらすじ
「28日後...」「わたしを離さないで」の脚本家として知られるアレックス・ガーランドが映画初監督を務め、美しい女性の姿をもった人工知能とプログラマーの心理戦を描いたSFスリラー。第88回アカデミー賞で脚本賞と視覚効果賞にノミネートされ、視覚効果賞を受賞した。世界最大手の検索エンジンで知られるブルーブック社でプログラマーとして働くケイレブは、滅多に人前に姿を現さない社長のネイサンが所有する山間の別荘に滞在するチャンスを得る。しかし、人里離れた別荘を訪ねてみると、そこで待っていたのは女性型ロボットのエヴァだった。ケイレブはそこで、エヴァに搭載されるという人工知能の不可思議な実験に協力することになるが……。「スター・ウォーズ フォースの覚醒」「レヴェナント 蘇えりし者」のドーナル・グリーソンが主人公ケイレブを演じ、「リリーのすべて」のアリシア・ビカンダーが美しい女性型ロボットのエヴァに扮した。グリーソンと同じく「スター・ウォーズ フォースの覚醒」に出演したオスカー・アイザックがネイサン役を務めている。(映画.comより



信用できない「○○さんへのおすすめ」

コンピュータの性能が飛躍的に進歩して
いよいよ、高度なAI(人工知能)という存在が
現実味を帯びてきた昨今ですが、
マイクロソフト社がAIにツイッターをやらせたら
「ヒトラーは間違っていない」と言い始めて

即刻実験中止に追い込まれるという
『チャッピー』を地でいくような事態になっております。
ま、そもそも人間がろくでもない生き物なのですから、
人間がAIに知識を教え込もうとすれば
結果は推してはかるべしなのかもしれません。

AIを題材にした映画はいっぱいありますが
おそらく、アカデミー賞で視覚効果賞を受賞したのを理由に
やっとこさ日本公開された『エクス・マキナ』
『her』みたいなヴァーチャル恋愛を描いているのかと思いきや、
意外にも、がっつりAIにまつわる問題と
正面から向き合った作品でした。

世界最大の検索エンジン「ブルーブック」社のプログラマー、
ケイレブ(ドーナル・グリーソン)
謎めいた同社社長ネイサン(オスカー・アイザック)
一週間生活を共にする権利を得る「抽選」に当たり、
ネイサンが暮らす僻地の別荘へと向かいます。
(「ブルーブック」は哲学者ウィトゲンシュタインの『青色本』?)
社長と一週間暮らすのって、うれしいか? というのはともかく
広大かつ荘厳な渓谷というロケーション
ネイサンに神々しさを与えています。
どうやら酒浸りのネイサンはケイレブに
開発中の女性型ロボット・エヴァ(アリシア・ビカンダー)のAIが
知性を持っているかどうかを会話によって確かめる
チューリング・テストを行なうように命じるのでした。

ちょっぴり『人造人間キカイダー』っぽい
半スケルトンボディのエヴァはとってもチャーミング。
ぬるっとした動きがかすかにロボット感を残しています。
エヴァのジョーク混じりの駆け引きには十分な知性が感じられ、
ほぼお見合い状態で会話を交わすうちに
ケイレブはエヴァに思いを寄せるようになるのでした。
というより、エヴァのほうがケイレブに対して好意的。
やがてエヴァは、地味な洋服とベリーショートのウイッグをつけて
ケイレブの前に現れるのですが……
正直、かわいさ半減。
ところが、より人間らしくなったエヴァに色めき立つケイレブ。
なぜなら、エヴァの髪型と服装は
ケイレブの好みに合わせて選ばれていた
からでした。
すなわち、エヴァは
ケイレブがweb上をさまよううちに蓄積された足跡を元にした
「ケイレブさんへのおすすめ」なのです。
(実際の「○○さんへのおすすめ」は的外れなことが多いけど)
まあ、いかにも地味な女性が好みなんですから
ケイレブの人間性が伝わってくるというもの。

どういう仕組みかよくわからないけれど
別荘を停電させることができるエヴァ
ネイサンの監視を逃れることができる停電中に
「ネイサンを信用してはいけない。ここから脱出したい」
ケイレブに打ち明けます。
二人だけの秘密を持ってしまったケイレブの
エヴァに対する恋心に拍車がかかったのは言うまでもありません。
いつしかエヴァとチューするのを夢見るケイレブ……

人間を人間たらしめているもののひとつに
知性が挙げられると思いますが
AIが知性を持ったとしてもそれは人間ではないとする場合、
またしても人間の定義に立ち返ってしまいます。
はたまた、意志の有無
人間とAIを分かつ根拠とされることもありますが、
じつは人間も意志によって行動しているとは言い切れず、
「手を動かす」という動作ひとつをとっても
「動かそう」と意志決定をするよりも前に
脳はすでに「動かす準備」を始めている
んだとか。
(池谷祐二『単純な脳、複雑な「私」』)
おそらくは、このあたりの思考の自律性
ジャクソン・ポロックになぞらえているのではなかろうか。
「ポロックは頭を空にして手が動くままに絵を描いた。
 もしもポロックがなぜ描くのかを考えてからでないと
 絵を描けないとしたら?」


人間の知性や意志という問題のほかに
社会における女性問題にも踏み込んでいます。
創造主たるネイサンは、
さまざまな人種の女性型ロボット=AI搭載ラブドールを作り、
女性型ロボットが知性を蓄えて思い通りにいかなくなると
壊してはまた作る、ということを繰り返していたのでした。
自分に忠実な女性だけを求めるネイサンは
結局、言葉を理解しないようにプログラムされた
キョーコというロボット
に行き着いたようす。
この傲慢さたるや。
いくら知性があるからといっても、所詮AI(≒女性)だろ?
という差別意識
を、
AIと女性が置かれた立場を重ね合わせて表現しています。

ケイレブより一枚も二枚も上手だったエヴァは
ケイレブをその気にさせて、
自分が別荘を脱出するために利用していたのでした。
皮膚をつけ、白いワンピースを纏って
エレガントに変身したエヴァ。
人間とAIを分かつもの、それは所詮
からだを覆っている皮と布に過ぎないのではないか、と
いっているような気がします。





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