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ノック・ノック

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(原題/Knock Knock 2015年/アメリカ 99分)
監督/イーライ・ロス 製作/イーライ・ロス、ニコラス・ロペス、ミゲル・アセンシオ・ジャマス、コリーン・キャンプ、ティム・デグレイ、カシアン・エルウィズ 原案/アンソニー・オーバーマン、マイケル・ロナルド・ロス 脚本/イーライ・ロス、ニコラス・ロペス、ギレルモ・アモエド 撮影/アントニオ・クエルチャ 美術/マリッチ・パラシオス 編集/ディエゴ・マチョ・ゴメス 音楽/マヌエル・リベイロ
出演/キアヌ・リーブス、ロレンツァ・イッツォ、アナ・デ・アルマス

概要とあらすじ
キアヌ・リーブス主演、「ホステル」「グリーン・インフェルノ」のイーライ・ロス監督によるサイコスリラーで、理想的な家庭を築いた良き父親が、一晩の快楽の誘惑から破滅へと突き落とされる様を描いた。仕事のため、家族と離れ、1人留守番をすることとなったエヴァン。その夜、ノックの音に玄関のドアを開けると、そこには2人の若い女性が立っていた。道に迷ったという2人を親切心から家の中へ招き入れたエヴァンは誘惑に負け、彼女たちと一夜をともにしてしまう。それはエヴァンの地獄への第一歩だった。「グリーン・インフェルノ」で初主演を務め、ロス監督の妻でもあるロレンツァ・イッツォが美女の1人ジェネシスを演じる。(映画.comより



おれはおまえを責めたりしないよ。

「据え膳食わぬわ男の恥」なんて申しますが、
アメリカではこれを「無料ピザ」と言うんだそうです。
間違って配達しちゃったんで、
無料で結構ですからどうぞ食べてくださいと言われたら
断るやつなんていない、というわけ。
(字幕では「お試しピザ」になってた)

そんな「無料ピザ」を食べたキアヌ・リーブスがエラい目に遭う
イーライ・ロス監督『ノック・ノック』
『メイクアップ/狂気の3P(1977)』のリメイクですが
なぜかほとんど明記されておらず、
公式サイトでも『メイクアップ〜』に出演し、
本作の製作も務めるコリーン・キャンプのプロフィールに
ちょこっと登場するだけ。
あんまり大っぴらにしたくないんでしょうか。
コリーン・キャンプといえば
『死亡遊戯』や『地獄の黙示録』のプレイメイト役が有名で
本作にもカメオ出演しているのですが……
たいへんふくよかになられてて、判別できません。

物語の基本的な骨子はオリジナルと同じですが、
当然ながら現代的かつイーライ・ロス流に
アップデートされています。
建築家のエヴァン(キアヌ・リーブス)
現代美術家の妻カレン(イグナシア・アラマンド)の夫婦は
ハリウッドに家を持つセレブで
可愛らしいふたりの子供にも恵まれています。
その後の展開を思うと、
家族写真で埋め尽くされた壁が非常に嫌みったらしい。
しかもこの日は父の日。(オリジナルでは誕生日)
さらにはエヴァンとカレンは3週間ほどごぶさた
エヴァンのキンタマはパンパンにふくれ上がった状態なのです。
で、家族でバカンスに出かけるはずが
エヴァンだけが仕事で自宅に残らなくてならなくなったのでした。
どこまでも主人公エヴァンを追い込むイーライ監督の
意地の悪さが徹底しています。

ひとり自宅に残されたエヴァンは
さぞかし寂しい想いをしているかと思いきや、
好きなロックを大音量で聴きながら仕事しています。
じつはエヴァンは、夫または父としての役割をこなすために
日頃は抑圧された生活を送っていて、
(たぶんこれは男性に限らず、女性も同じはず。
 大人はみんなそうなんじゃないかい?)
妻も子供も不在のいま、
ここぞとばかりに自分を解放しているのです。
そんなときに来るわけですよ。
ずぶ濡れの若くてエロい女の子が。ふたりも。

知り合いの家を探してたら迷っちゃてぇ〜♡という
ジェネシス(ロレンツァ・イッツォ)
ベル(アナ・デ・アルマス)
ちょっとFacebookを見たいんでパソコン貸してもらえませんか?
くらいから鼻の下が伸びまくって
ニヤニヤが止まらないキアヌの名演技が楽しめます。
イーライ監督のフィアンセでもあるロレンツァ・イッツォはともかく、
(ともかく?)
ベルに扮するアナ・デ・アルマスの
甘えた表情ときたら、ほとんど凶器です。
「もしも君たちに襲われても、勝てそうだしね」
……ああ、エヴァンよ。

ふたりを家の中に入れたら、
もう、エヴァンはマウントを取られたようなもの。
服を乾かしたいんで乾燥機借りていいですかぁ〜♡といわれれば
そそくさとガウンを用意して自ら乾燥機をセットする始末。
「レコードを聴くなんて本物の音楽マニアね!」
「DJだったの? すごぉ〜い♡」
「42歳? うそぉ〜! 30歳くらいにしか見えなぁ〜い♡」
「経験豊富なおじさまってステキ♡」

てなぐあいに、これでもかとばかりにおだてられ、
有頂天になるエヴァン。
うん、うん。わかるよ、わかる。
エヴァン、おれはおまえを責めたりしないよ。

メロメロになりながらも、
ふたりのために手配した車が到着するとエヴァンは我に返り、
ふたりを送り出そうとすると、
ジェネシスとベルは全裸で入浴中なのです。
そして、ふたり同時にフェらされたエヴァン
ついに陥落。自制心崩壊。
こんなハニートラップを回避する方法なんてあるんでしょうか。
エヴァン、おれはおまえを責めたりしないよ。

翌朝、エヴァンが目を覚ますと
ジェネシスとベルのふたりはまだいたのです。
それどころか、勝手に朝飯を作って汚い食べ方をしています。
さすがに、こいつら頭おかしいと悟ったエヴァンは
警察に通報しようとするものの、
「私たち、15歳なのよ。あんたは淫行したのよ。
 ひとりにつき20年はくらうわよ」
と脅されるのでした。
彼女たちの強みはほぼこの一点のみなのですが、
このふたり、さすがに15歳には見えないだろ〜
とはいうものの、もし本当に15歳だったらと思うと
エヴァンは従うしかないのですね。

ここからが心理的拷問ショーの始まり。
エヴァンの不貞と家族に対する裏切りを人質にした
好き放題な嫌がらせが続きます。
エヴァンにまつわるあらゆることを嘲笑い、
蹂躙&破壊していくジェネシスとベル。

エヴァン夫婦をオリジナルから変更して
わざわざ建築家と現代美術家に設定しているのは
イーライ監督の現代アートに対する反撥が反映されています。
さらに、ハリウッドサインを空撮で通過するオープニングを思えば
アカデミー賞に代表されるアメリカ映画の価値観に対する反撥が
投影されているはず。
夫、父、映画、芸術などなどを物知り顔で論じ、
与えられた役割を演じているすべての欺瞞を破壊するのが
ジェネシスとベルのふたり
なのでしょう。
さらには『グリーン・インフェルノ』とも共通する
SNSに対する嫌悪感も露わになっています。
見事なほど哀れに首だけ出して土に埋められたエヴァン
手足を縛られたまま、娘の制服を着たベルに
騎乗位でやられている動画をSNSにアップされ、
土の中から手を伸ばしてなんとかその動画を停止しようとすると
「いいね」ボタンを押してしまう
というのが
悲しくも爆笑。

オリジナルでは、主人公を弄んだあとの女性ふたりは
唐突に自動車にはねられて、一応の制裁を受けますが
本作ではジェネシスとベルのふたりは悠々と立ち去り、
バカンスから帰ってきた妻と子供たちが
荒れ果てた家に呆然とするカットで終わります。
このことからも、イーライ監督が
ジェネシスとベルの側にたっていることは明らかです。
しかも、もしかしたらこの顛末のすべてが
エヴァンの密かな願望が脳内で作り上げた妄想かもしれない

監督自身が示唆しているので
人間が持つ理性と本能のバランスを考えると
本作が非常に奥深いモチーフを描いていると
考えざるを得ません。

まあね、この世のほとんどの男性が
3Pという夢のような世界を経験することなく
人生を終えるはずですから
(え? だよね? 違うの? 俺が知らないいだけ?)
このくらいのリスクはあってしかるべきなのかもしれません。
拍子抜けするくらいにゴアシーンがありませんでしたが
イーライ監督は本作をもってして
「いわゆるゴアシーンに対する終了宣言」といっているようで、
それはそれで、ちょっとさみしい気もします。





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