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人魚伝説

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(1984年/日本 110分)
監督/池田敏春 脚本/西岡琢也 原作/宮谷一彦 企画/多賀祥介 製作/佐々木史朗、宮坂進 プロデューサー/根岸吉太郎、山本勉 撮影/前田米造 水中撮影/中村征夫 美術/小川富美夫 音楽/本多俊之 録音/小野寺修 照明/井上幸男 編集/川島章正
出演/白都真理、江藤潤、清水健太郎、神田隆、関弘子、江見俊太郎、榎木兵衛、灰地順、水村泰三、小林文隆、清水宏、柳有、矢野隆、鈴木大輔、野口義広、田中新二、志摩晶、青木義朗、宮下順子、宮口精二

概要とあらすじ
夫を殺された新妻が一人で復讐のために権力に立ち向かっていく姿を描く。宮谷一彦原作の同名劇画の映画化で、脚本は「春画」の西岡琢也。監督は「天使のはらわた 赤い淫画」の池田敏春、撮影は「女猫」の前田米造がそれぞれ担当。佐伯啓介は、網番に出ていて一人の釣人が殺されるのを偶然目撃した。彼は妻・みぎわにそれを打ち明けた。啓介とみぎわは、入江でアワビを採って暮らす新婚夫婦である。町の実力者である宮本輝正は、海岸一帯にレジャーランドを作って儲けようと企てていたが、その用地が密かに原子力発電所建設の候補地として上っていた……。(映画.comより抜粋



次から次からもっと悪いやつが出てくる

すっかりカルト映画化している
ディレクターズ・カンパニーの第1弾、
『人魚伝説』です。
本作の舞台である伊勢志摩で「サミット」なるものが
開催されたりするのを聞くと
複雑な気持ちになります。

啓介(江藤潤)みぎわ(白都真理)の夫婦は
喧嘩しながらも仲むつまじくアワビ漁を営んでいましたが
彼らが暮らす漁村に再開発計画が持ち上がり、
当初はレジャーランドだと言われていたはずが、
いつしか地元の土建屋と電力会社が結託し、
原発を建設する計画にすり替わっていたのでした。
とはいえ、池田敏春監督
ことさら原発に反対するつもりがあったわけではなく、
敵となるものならなんでもよかった
インタビューで語っているようですが、
東日本大震災後を生きる僕たちにとって、
原発は特別な意味を持つはずです。

おそらく酔っぱらって船で寝ていた啓介は
夜釣りをしていた男の船が爆破されるのを目撃するものの、
誰からもまともに取り合ってもらえません。
啓介の証言を証明するべく、
みぎわが船の残骸を求めて海に潜っていると
自分を引き揚げてくれるはずの啓介が
何者かによって戦場で殺され、海に沈んできます。
驚くみぎわ目がけて、放たれる銛。
姿が見えない相手から攻撃されるシーンが怖い。
ましてやこちらは海中。

命からがら波打ち際に辿り着いたみぎわでしたが、
最初に遭遇した警察官に助けを求めると
「じっくり話は聞かせてもらうよ。この夫殺しめ!」……
はぁ?? はあぁ???
みぎわは、あっという間に啓介を殺した犯人に
仕立て上げられていたのでした。
当然、悪〜いやつらの策略ですが、
それにしても噂を鵜呑みにする警察、頭悪すぎ。
とにかく、信用できる人間はいないので
みぎわは不本意な逃亡生活を余儀なくされるのでした。

白都真理の、なんというか、
カリっとした骨格の顔立ちが美しい。
撮影は過酷を極め、ほぼ軟禁状態で
髪を切るシーンでは地毛を切らされたそうですが
池田敏春監督の無茶な追い込みのかいあってか、
みぎわが怒りをため込む過程を見事に演じています。

みぎわが唯一信頼できると思っていた祥平(清水健太郎)
土建屋のボンボンで徹底的に優柔不断。
裕福な親のおかげで遊びながらカメラマンをやっているものの、
確たる遺志はなく、
行く当てのないみぎわをかくまったかと思えば、
平気で見限ったりします。
さすが、シミケン。クズをやらせたら天下一品です。

祥平の裏切りによって
ほぼレイプされたあとで殺されそうになるみぎわでしたが
当然、反撃にでます。
過剰に吹き出す血。何度も執拗にドスを振り下ろすみぎわ。
そして、全裸で血まみれのみぎわ。


祥平の父親をプールで溺死させたあと、
(海女さんらしくて、とてもいい殺し方)
夫・啓介の葬儀中にトラックで突っ込んでくる祥平。
クズにも程がある振る舞いで、
これは、あからさまに警察沙汰になってもおかしくないはずですが
やっぱり警察は無能。
そして、みぎわを断崖絶壁から海へ投げ捨てる……というね。
ところが、ずっと海底を漂っていた啓介の遺体によって
みぎわは一命を取り留めるのです。


そして、クライマックスの大殺戮。
復習の鬼と化したみぎわは、原発建設のパーティーに乗り込み、
自ら研いだ銛一本で乗り込むのです。
あまりにも、みぎわが強すぎると思わないでもないけれど、
とにかく向かってくるものは、見境なしに全員刺し殺すみぎわ。
おおよそ十数人を殺したみぎわは
「何人殺しても、次から次から
 もっと悪いやつが出てくる」
とつぶやきます。
この徒労感は、大殺戮シーンがあってこそ
リアリティを持つのではないでしょうか。

2010年12月、池田敏春監督は
本作が撮影された波切漁港の堤防で水死体となって発見されたとのこと。
自殺だそうですが、だとすれば
死に場所に選ぶほどに本作に込めた想いは
強かったのかもしれません。





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