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カルテル・ランド

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(原題:Cartel Land 2015年/メキシコ・アメリカ合作 100分)
監督/マシュー・ハイネマン 製作/マシュー・ハイネマン、トム・イェーリン 製作総指揮/キャスリン・ビグロー、モリー・トンプソン、デビッド・マキロップ 撮影/マシュー・ハイネマン、マット・ポーウォール 音楽/H・スコット・サリナス、ジャクソン・グリーンバーグ

概要とあらすじ
「ハート・ロッカー」のキャスリン・ビグロー監督が製作総指揮を手がけ、2006年から続くメキシコ麻薬戦争の最前線をとらえたドキュメンタリー。メキシコ、ミチョアカン州の小さな町の内科医ホセ・ミレレスは、地域を苦しめる凶悪な麻薬カルテル「テンプル騎士団」に対抗するべく、市民たちと蜂起する。一方、コカイン通りとして知られるアリゾナ砂漠のオルター・バレーでは、アメリカの退役軍人ティム・フォーリーが、メキシコからの麻薬密輸を阻止する自警団「アリゾナ国境偵察隊」を結成。2つの組織は勢力を拡大していくが、やがて麻薬組織との癒着や賄賂が横行するようになってしまう。若き映画監督マシュー・ハイネマンが決死の覚悟で取材を敢行し、メキシコ社会の実態を明らかにしていく。2016年・第88回アカデミー長編ドキュメンタリー賞にノミネート。(映画.comより



やっぱり、正しさよりバランスなのか?

『ボーダーライン』が記憶に新しい
メキシコ麻薬戦争の実態を描いたドキュメンタリー、
『カルテル・ランド』

いきなり「テンプル騎士団」という麻薬カルテルの一行が
暗闇の中で麻薬精製するシーンから始まります。
麻薬が体に悪いことはわかっているけれど
生活のためには麻薬売買を辞めるわけにはいかないと話す彼ら。

麻薬カルテルが麻薬を製造・流通させているだけなら
まだいいものの、
(よくはないけどさ)
彼らカルテルは農園などを営む一般市民から
「税金」を強要し、
(かわりに守ってくれるわけではなさそうだから
 「みかじめ料」とは違うのかな)
「税金」の支払を拒んだものには
その家族丸ごと制裁を加えるのです。
その他の市民へのみせしめの意味も多く含む制裁は
残虐を極め、女性や子どもでも見境なく、
さんざん痛めつけた挙げ句に
首チョンパするのもあたりまえで、
場合によっては、わざと生き残らせて
酷い記憶とともに人生を送らせるという精神的拷問も。

それでも、警察や軍隊は
ちっとも自分たちを守ってはくれない。
ただ黙って搾取されつづけ、家族を殺されつづけるのか。
自分たちの生活は自分たちで守るしかない!
というわけで、市民たちは「自警団」を結成するのでした。

自警団はいくつかのグループに分かれていますが
ミレレスという町医者をリーダーとする自警団が
中心に描かれ、
つぎつぎとカルテルを駆逐していくようすは
まさに正義のヒーロー。
アメコミで描かれる世界そのまんまです。
自警団の存在が煙たくなってきたメキシコ政府は
彼らを取り締まろうとするものの、
街にやってきた軍隊は住人によって追い返されます。

で、街からカルテルがいなくなって
めでたしめでたしとはいかないから、ややこしいのです。
本作の公開直前、2016年4月28日に放送されたテレビ番組
『クレイジージャーニー』には
本作の宣伝にもかかわっているジャーナリストの
丸山ゴンザレス氏
現地の露店で働く女性にインタビューするシーンがありました。
丸山ゴンザレス氏に
「カルテルのことをどう思ってますか?」
と聞かれたその女性は、微笑みながら
「どっちのカルテル?」と答えるのです。

勢力を増した自警団は
カルテルのメンバー宅を襲撃して
金目の物を持ち帰ります。
「元々、これは俺たちのものだ」という理屈は
まあ、ギリギリ納得できますが
その後、一般市民からも略奪を行なうように。
または、自分たちに発砲したと思しき車を停めさせ、
家族が泣き叫ぶ中、疑わしいという理由で
ひとりの男性を連れ去ります。
車中で、頭から袋をかぶせられた男性に拳銃を突きつけ、
あきらかにいたぶるのを楽しんでいるようすの自警団は
アジトに連れ去った「疑わしき人物」を
カルテルのメンバーだと自白するまで拷問するのです。
……おまえら、カルテルと一緒じゃん!!

やがて政府は、自警団を
「地方防衛軍」という公的な組織として認めることに。
完全に丸め込もうとしているわけですが
堂々と活動できることになる自警団たちは
この提案にノリノリなのでした。
結局、メキシコ政府は
根本的な問題解決からさじを投げているのではないでしょうか。
『ボーダーライン』を観て感じたことですが、
彼らにとって重要なのは
正しさではなく、バランスなのでしょう。

事故なのかどうか判然としない飛行機事故によって
重賞を負ったミレレスが不在の間、
自警団の指揮を執っていたヒゲのおっさん
見事に求心力のない凡人で
自警団が「地方防衛軍」になるといそいそと従い、
うれしそうにサイズの合わない制服を着込むような
どうしようもないバカなのは
まるでフィクションの脚本に書かれているかのようです。

「地方防衛軍」に反対していたミレレスは孤立。
全方向から命を狙われることに。
ミレレスだけは清廉潔白な正義漢かと思っていたら
じつはどうしようもない女好きで
とうとう家族からも見放されることに。
挙げ句の果てに、ミレレスは逮捕され、
刑務所暮らしを余儀なくされます。
あれほどカリスマ的魅力で
リーダーシップをみせていたにもかかわらず。

これ、現在進行形の現実ですから
メキシコって、国家として成り立っていないんじゃないか
とさえ思います。
このわけのわからない覇権争いが
終わる日がくるんでしょうか。

ところで、メキシコ国内ではなく
アメリカ国内の国境付近で不法移民を取り締まり、
麻薬の流通を拒もうとする
「アリゾナ国境自警団」なるものが登場しますが、
ぶっちゃけ、こいつらがなにをしたいのかよくわからず、
実弾を使ってサバゲーをしている
頭の弱い人たちにしか見えなかったので
こいつらのエピソード、全部いらないと思いますけど。





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