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レヴェナント 蘇えりし者

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(原題:The Revenant 2015年/アメリカ 157分)
監督/アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ 製作/アーノン・ミルチャン、スティーブ・ゴリン、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ、メアリー・ペアレント、ジェームズ・W・スコッチドープル、キース・レドモン 原作/マイケル・パンク 脚本/マーク・L・スミス、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
撮影/エマニュエル・ルベツキ 美術/ジャック・フィスク 衣装/ジャクリーン・ウェスト 編集/スティーブン・ミリオン 音楽/坂本龍一、アルバ・ノト、ブライス・デスナー
出演/レオナルド・ディカプリオ、トム・ハーディ、ドーナル・グリーソン、ウィル・ポールター、フォレスト・グッドラック、ポール・アンダーソン、クリストッフェル・ヨーネル、ジョシュア・バージ、ルーカス・ハース、ブレンダン・フレッチャー、デュアン・ハワード、アーサー・レッドクラウド、グレイス・ドーブ

概要とあらすじ
レオナルド・ディカプリオと「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」で第87回アカデミー賞を受賞したアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督が初タッグを組み、実話に基づくマイケル・パンクの小説を原作に、荒野にひとり取り残されたハンターの壮絶なサバイバルを描いたドラマ。主演のディカプリオとは「インセプション」でも共演したトム・ハーディが主人公の仇敵として出演し、音楽には坂本龍一も参加。撮影監督を「バードマン」に続きエマニュエル・ルベツキが務め、屋外の自然光のみでの撮影を敢行した。第88回アカデミー賞では作品賞、監督賞、主演男優賞など同年度最多の12部門にノミネートされ、ディカプリオが主演男優賞を受賞して自身初のオスカー像を手にしたほか、イニャリトゥ監督が前年の「バードマン」に続いて2年連続の監督賞を、撮影のルベツキも3年連続となる撮影賞を受賞した。狩猟中に熊に襲われ、瀕死の重傷を負ったハンターのヒュー・グラス。狩猟チームメンバーのジョン・フィッツジェラルドは、そんなグラスを足手まといだと置き去りにし、反抗したグラスの息子も殺してしまう。グラスは、フィッツジェラルドへの復讐心だけを糧に、厳しい大自然の中を生き延びていく。(映画.comより



「神」とは、自然そのものではないのか

アカデミー会員からやっと許してもらったデカプーが
初のアカデミー主演男優賞に輝いた
『レヴェナント 蘇えりし者』
作品賞も獲って、
2年連続の監督賞はアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
3年連続の撮影賞にはエマニュエル・ルベツキ
まあ、大作です。
劇場版の予告編では、すでにクレジットが出ているにもかかわらず、
改めて最後に「音楽 坂本龍一」とつけ加えるセンス
日本人として穴があったら入りたい気分だったさ。
ちなみに、原作があるものの
デカプーが演じるハンターは実在の人物だそうで
『荒野に生きる』というタイトルで
1971年に映画化されているんだとか。
さらにちなみに、「レヴェナント」とは
「黄泉の国から戻った者」という意味だそうな。

照明を使わずに自然光だけで撮影したとか、
マジック・アワー狙いで1日1時間くらいしか撮影できなかったとか、
極寒の撮影現場に音を上げたスタッフが辞めてったとか、
撮影の過酷さがいろいろと伝えられていて
その甲斐あってか、荘厳な自然を映し出したルベツキによる映像は
これ見よがしの長回しはないにせよ、
確かに息を呑む迫力でした。
被写体をぐるっと回り込んでみたり、
常に緩やかに動いているカメラは高度な計算と準備を
必要としたことでしょう。
ただ、そんな素晴らしい映像を台無しにするような
CGによるファンタジックな演出
がちらほらあったのは
いかがなもんでしょう。

先住民の土地を荒らして動物の毛皮を採集する
狩猟グループのガイド役を務める
グラス(レオナルド・ディカプリオ)
彼がなぜネイティブ・インディアンの女性と結ばれ、
ホーク(フォレスト・グッドラック)という息子をもうけたのか、
僕にはよくわかりませんでした。
白人たちはネイティブ・インディアンに対して
「野蛮人」「白人のものを盗むな」などと、
いや、それお前らのことだからと総突っ込みされるようなことを
平気で言うのが当たり前の時代に
ネイティブ・インディアンの女性と結婚したグラスは
そうとう特殊な存在だったのではないかと推測するのですが
ままあるケースだったのでしょうか。
(と、思って町山智浩氏の『映画その他ムダ話』を聞いたら、
 白人とネイティブ・インディアンが結婚することは
 あったそうですが、
 実在のグラスは生涯独身だったそうで、
 本作におけるグラスの設定は
 『大いなる勇者(1972)』という作品が
 色濃く反映されているとのこと)

おそらくネイティブ・インディアンとともに暮らしていたグラスは、
白人の軍隊の襲撃によって村を焼き尽くされ、
愛する妻を失い、生き残った息子ホークを守りつつ、
また、自身の生きがいにもしていたのでしょう。

ちょっと『プライベート・ライアン』を思い出させる
冒頭のインディアン襲撃シーンは迫力満点でしたが
その後、グラスがクマに襲われるシーンが見物。
クマはもちろんCGです。
本物のクマに襲われた経験がないので
あのクマがリアルなのかどうか判断ができませんが、
意外と致命傷を負わせないもんだななんて思いました。
とはいえ、デカプーは半殺しにされるわけですけど。

瀕死のグラスを連れて冬山を進むのは困難だとして、
グラスが死ぬのを見届けて埋葬するメンバーに選ばれたのが
息子のホークとブリジャー(ウィル・ポールター)
金目当てのフィッツジェラルド(トム・ハーディ)
そもそもフィッツジェラルドは
グラスとホークを目の仇にしていたんですから
こいつを残したヘンリー隊長(ドーナル・グリーソン)の判断は
完全に間違っていますが、
案の定、フィッツジェラルドはホークを殺し、
グラスを生き埋めにしてしまうのでした。
でも、生き埋めの仕方が甘かった。
どうせやるならグラスを殺してしまうか、
もっとしっかり埋めるべきだった。
このあたりの甘さに、フィッツジェラルドにも
わずかな良心が残っていたのかもしれません。
もがきながら、土の中から這い出すデカプーをみて
『ウルフ・オブ・ウォールストリート』
ラリってカウンタックに乗ろうとするシーンを思い出したのは
僕だけではないでしょう。

最愛の息子を目の前で殺された挙げ句に生き埋めにされたグラスは
当然、フィッツジェラルドの後を追います。
ここから、「ガンバルマン」ことグラスの
過酷なサバイバルが展開。
火のおこし方や魚の撮り方、
動物の骨の中にあるなんかを食べて空腹をしのいだりと、
サバイバル小ネタ描写が盛りだくさんです。
寒さを凌ぐために、
死んだ馬の内臓を取り出して体内に入り込む
のは
『馬々と人間たち』でも登場した
ポピュラーな暖のとり方です。
(どこでポピュラーなんだか)
徐々に傷が癒え、少しずつ体力が回復して安定し始めると、
新たな難問が次から次へとやってくるグラス。
襲いかかってくる立場の違う敵と大自然を相手に
サバイブしていくグラスが
ときおり過去をフラッシュバックさせるのはいいとしても、
死んだ妻が目の前に存在するかのように登場する
シュールな演出はちょっと興醒めします。
(これまた町山智浩氏『映画その他ムダ話』によれば、
 グラスが幻想でみる朽ち果てた教会や宙に浮いている妻などは
 タルコフスキーへのオマージュ
 死体の胸元から鳥が飛び立つシーンは
 『ホーリー・マウンテン』
だってことくらいは
 僕にもわかりましたけど)

グラスが生きていたことを知ったフィッツジェラルドは
すたこらさっさと逃亡しますが、
グラスが逃がすはずもありません。
先に殺された隊長の死体を使ったグラスのトリック
フィッツジェラルド以外の全員がすぐにピンと来たはずですが
それはともかく、
グラスとフィッツジェラルドのくんずほぐれつの肉弾戦
痛さを強調していて、素直に手に汗握りました。

最後の最後まで徹底してゲス野郎のフィッツジェラルドは
「俺を殺しても、お前の息子は生き返りゃしねーぜ」
憎まれ口を叩きますが
留まることを知らない復讐の連鎖の虚しさに気づいたのか
敵対する先住民アリカラ族の姿を川下にみたグラスは
「神に委ねる」というと、
フィッツジェラルドを川に流し、
流れていったフィッツジェラルドは、
アリカラ族の手によって殺されます。


……でも、どうでしょう。
行方不明の娘を捜していたアリカラ族の長と
最愛の息子を殺されたグラスの復讐心とが
無言のうちに共鳴したのかもしれませんが、
フィッツジェラルドがアリカラ族によって殺されるのは
「神に委ねた」ことになるのでしょうか。

みようによっては、グラスがアリカラ族に
責任転嫁したようにもみえかねません。
繰り返される「野蛮人」という言葉は
もっぱら白人に対して向けられていますが
ネイティブ・インディアンをも含めた人間全般に対して
向けられている言葉のはずです。

だとすれば、グラスがいう「神」とは
自然そのもの
であるはずで、
さらにだとすれば、
最後にフィッツジェラルドの息の根を止めるのは
グラスを襲ったクマが連れていた、
かつての子グマであるべきではないでしょうか。


フィッツジェラルドを押さえつけたグラスが
見上げた先にいたのがクマだったら……
もっと、たまらん気持ちになっていたような気がします。





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