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オカンの嫁入り

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(2010年/日本 110分)
監督・脚本/呉美保 原作/咲乃月音 撮影/谷川創平 音楽/田中拓人 美術/吉田孝 編集/高橋信之
出演/宮崎あおい、大竹しのぶ、桐谷健太、絵沢萠子、國村隼

概要とあらすじ
咲乃月音原作の小説「さくら色 オカンの嫁入り」(宝島社文庫)を、 宮崎あおい&大竹しのぶのダブル主演で映画化。陽子(大竹)と月子(宮崎)は母一人子一人で大阪の下町で暮らしていた。ある晩遅く、陽子は若い金髪の男を連れて帰宅し「この人と結婚することにしたから」と言い放つ。いきなりのことに困惑し、怒る月子は、隣に住む大家のところに居候することにするが、やがて陽子の事情を知り……。監督は「酒井家のしあわせ」の呉美保(オ・ミポ)。(映画.comより



ぐるっと一周まわって納得

『そこのみにて光輝く』に感銘を受けて
『きみはいい子』でその力量を確信した呉美保監督作品を
遡っての『オカンの嫁入り』です。
タイトルからして、いかにもクソハートウォーミングなわけで
普段なら決して観たいと思わないのですが
そこは信頼のおける呉美保監督。
なにかあるはずだと思ったのです。

物語は、もうほんとにハートウォーミングです。
宮崎あおい扮する月子の母親、陽子(大竹しのぶ)
一回り以上年下で30歳の研二(桐谷健太)
結婚すると突然言い始めたことから、
ドタバタな悲喜こもごもが繰り広げられるのは予想通りだし、
母・陽子がなにかしらの病を抱えていて死期が近いであろうことも、
わりと早い段階で察しがつきます。
そのような物語の基本的な部分に予想を上回る展開はありません。
そんなベタなお涙ちょうだいものを
呉美保監督がどのように料理したかが問題なのです。

当然のごとく(←開き直り)原作は読んでおりませんが
役名の陽子と月子はあからさまに陽と陰であり、
研二は沢田研二からの引用で、沢田研二の元妻(日出子≒陽子)である
ザ・ピーナッツの妹のほうの本名が月子だったりする
仕掛けは
ググって知りました。
そういえば、宮崎あおいは『舟を編む』というクソ映画でも
満月とともに登場する香具矢(カグヤ)という役名でしたが
そんなに陰鬱なイメージがあるんでしょうか。

最初に圧倒されたのは、室内の美術
ありとあらゆる小道具がいかにもそこで生活している感じを
見事に表現しています。
また、隣に住んでいる大家のサクちゃん(絵沢萠子)
新聞の折り込みチラシで小さい屑入れを作ってたりするのが細かい。
(なんで、ばばあってああいうの作るんだろ)
縁側がある家に住んでいたり、近所の人との密接な関係とかは
旧時代的で特殊なシチュエーションだとは感じましたが
徹底された細部の作り込みにはうならされます。

はっきりと根拠がわからないんだけれども、
明らかになんらかの意図が込められているに違いないと思ったのは
とくに序盤における「足」の強調です。
酔っぱらって帰ってきた陽子を迎えるために
寒そうに階段を降りてくる月子の足に始まり、
翌朝こたつで寝入っている陽子をまたいだあと、
月子はキッチンで牛乳を飲みながら飼い犬のハチを足でなで
その直後に月子が散歩に出かけるときには玄関の靴を蹴散らします。
終盤でも、陽子と月子が一緒に電車のホームに立つシーンで
ふたりの足下がクローズアップされますが
「足」を通じてなにかを表現しようとしているはずです。
それは、新たな一歩を踏み出す必要がある月子が置かれた状況を
示唆している……みたいなことでどうでしょう。

出演者たちの演技もそれぞれに素晴らしく、
とくに國村隼のたたずまいに魅了されますが
歯が浮くような説明台詞がないのも
本作を良作たらしめているもののひとつでしょう。
ストーカー被害にあったトラウマから
電車に乗って外の町に出られなくなった月子が
母・陽子の再婚話に過剰とも思える拒否反応を示すのは
陽子やサクちゃんの庇護のもとで
安心して依拠していられる安全地帯を侵されることに対する不安が
男性恐怖症をともなって露わになったのでしょう。

また、余命幾ばくもない病状であることを
ひた隠しにしていた陽子に対して
「わたしにも教えてほしかった。
 それならもっと早く受け入れられたのに」

と月子がいうと、
「死ぬから受け入れるん? そんなんいややわ」
と陽子が返すくだりには、はっとさせられる批評性があり、
凡百のいい話で終わってしまうのを回避しています。

物語のあらすじを思い返してみても
やっぱりどう考えてもハートウォーミングないい話なんですが、
ぐるっと一周まわって納得させるだけの確かな演出力が
本作を良作たらしめていると思いました。

あ、友近がコントそのままな感じで出演してましたが、
サクちゃんの部屋のラジオから聞こえてくるDJの声
友近がやってるような気がするんだけど。どやろ。





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