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ルーム

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(原題:Room 2015年/アイルランド・カナダ合作 118分)
監督/レニー・アブラハムソン 製作/エド・ギニー、デビッド・グロス 原作/エマ・ドナヒュー 脚本/エマ・ドナヒュー 撮影/ダニー・コーエン 美術/イーサン・トーマン 衣装/リー・カールソン 編集/ネイサン・ヌーゲント 音楽/スティーブン・レニックス
出演/ブリー・ラーソン、ジェイコブ・トレンブレイ、ジョアン・アレン、ショーン・ブリジャース、ウィリアム・H・メイシー、トム・マッカムスレオ

概要とあらすじ
アイルランド出身の作家エマ・ドナヒューのベストセラー小説「部屋」を映画化。監禁された女性と、そこで生まれ育った息子が、長らく断絶されていた外界へと脱出し、社会へ適応していく過程で生じる葛藤や苦悩を描いたドラマ。第88回アカデミー賞で作品賞ほか4部門にノミネートされ、息子とともに生きようとする母を熱演した「ショート・ターム」のブリー・ラーソンが、主演女優賞を初ノミネートで受賞した。監督は「FRANK フランク」のレニー・アブラハムソン。7年前から施錠された部屋に監禁されているジョイと、彼女がそこで出産し、外の世界を知らずに育った5歳の息子ジャック。部屋しか知らない息子に外の世界を教えるため、自らの奪われた人生を取り戻すため、ジョイは全てをかけて脱出するが……。(映画.comより



未知の世界と関わる勇気

狭い部屋に監禁されている親子が
脱出するまでとその後を描いた『ルーム』
原作そのものはフィクションですが、
フリッツル事件ジェイシー・リー・デュガード誘拐事件など、
実際に起きた事件をモデルにしているようです。
監督は『FRANK フランク』レニー・アブラハムソンですが、
『FRANK フランク』も被り物の中に閉じこもった男の物語でした。
もちろん、自ら閉じこもっているのと
閉じ込められているのとでは事情が違うのですが、
閉じ込められている自覚がない子どもの視点から考えると
なにかしら通底すものがあるような気がしないでもありません。

オールド・ニック(ショーン・ブリジャース)と呼ばれる男によって
17歳で誘拐・監禁されたジョイ(ブリー・ラーソン)
レイプされた挙げ句に妊娠し、
ジャック(ジェイコブ・トレンブレイ)を出産。
5歳になるジャックは一度も「部屋」から出たことがなく、
彼にとっての世界は「部屋」なのです。
本作はこのあたりの事情をひた隠しにし、
なんだか歪な親子の生活を映し出していますが
さすがに映画の設定くらいはわかってるので
なんなんだこの親子は? とか、果たして脱出できるのか?
みたいなことはどうでもよく、
重要なのは、密室での親子の暮らしぶりのディティールなのです。
ジャックは、テレビに映る人物は現実には存在しないと教えられているし、
栄養失調なうえ、医者にもかかれないジョイは
歯が抜けたりします。
「部屋」での生活がもたらす悪影響を自覚しているジョイは
ジャックに対して入念に歯みがきをさせます。

監禁を題材にした映画と言えば、
古くは『コレクター(1965)』とかがありましたが
拉致&監禁の恐怖を描くなら
当然、脱出がクライマックスになるところ、
本作では監禁状態からの脱出はあくまで物語のプロセスに過ぎません。
実施の監禁事件をモデルにしているとはいえ、
本作において監禁そのものは重要ではなく、
脱出後の世界との関わり方のほうに
重点が置かれていると感じました。
んなことをいいながら、
カーペットにくるまって死んだふりをしたジャックが
脱出するサスペンスには素直にハラハラドキドキしました。
もし仮に「部屋」を子宮に喩えるなら、
カーペットの産道をくぐり抜けたジャックが
トラックの荷台で空を見上げるときこそ、
この世に産み落とされた瞬間なのではないでしょうか。
(産声こそ上げないけれど)

ジャックに扮するジェイコブ・トレンブレイの演技力は
誰しも認めるところだと思いますがそれはさておき、
「部屋」以外の世界があることを初めて知ることになった
5歳児の頭の中はパニック状態でしょう。
それでもジャックは少しずつ新しい世界に馴染んでいきます。
むしろ、問題があったのは母親ジェイのほう
彼女の心は17歳で止まったまま。
にもかかわらず、ジャックを5歳まで育て上げたという
母親としての自負も同時にあるわけで、
監禁されていた7年間の間に生じた現実とのギャップを
埋められずに苦しむことに。

もう一度「部屋」を観てみたいと言いだしたジャックが
かつての「世界」だった「部屋」に入って
「縮んだ?」というのは象徴的で、
自分の身のまわりのことがすべてだと思い込まず、
広い視野を持たなければならないという
教訓をもたらしているように思いました。

重要なようなそうでもないような気がするのは
ジョイが誘拐されるきっかけ、
ジャックがトラックの荷台から飛び降りたとき、
またジャックが初めて「リアル」に遭遇するのは
共通してでしたね。
こういう被せ方も周到だと思いました。

繰り返しになるかもしれませんが
本作が描こうとしているのは監禁事件の悲惨さそのものではなく、
未知の世界と関わる勇気なのではないでしょうか。





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