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COP CAR コップ・カー

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(原題:Cop Car 2015年/アメリカ 88分)
監督/ジョン・ワッツ 製作/コディ・ライダー、アリシア・バン・クーバリング、サム・ビスビー、アンドリュー・コートシャック、ジョン・ワッツ 脚本/ジョン・ワッツ、クリストファー・フォード 撮影/マシュー・J・ロイド 美術/マイケル・パウスナー 衣装/ルビー・カティリアス 編集/メーガン・ブルックス、アンドリュー・ハッセ 音楽/フィル・モスマン
出演/ケビン・ベーコン、ジェームズ・フリードソン=ジャクソン、ヘイズ・ウェルフォード、カムリン・マンハイム、シェー・ウィガム

概要とあらすじ
ケビン・ベーコンが主演・製作総指揮を務め、イタズラで警察車両を盗んだ少年が、恐ろしい悪徳保安官から執拗な追撃を受ける様を描いた。家出中の少年2人が荒野で1台のパトカーを偶然見つける。ゲームで覚えた運転知識で本物のパトカーを無邪気に乗り回す2人だったが、そこへ車を盗まれたことに気付いた持ち主の保安官から無線が入る。やがて少年たちは、車のトランクにあってはならないものがあることを知る。監督は、イーライ・ロスに才能を見い出されてホラー映画「クラウン」で長編監督デビューし、続く本作がサンダンス映画祭で注目を浴びたことから、2017年製作の「スパイダーマン」監督に抜てきされたジョン・ワッツ。(映画.comより



大人のハイウェイはお先真っ暗

『クラウン』、観てないんだよな……の
ジョン・ワッツ監督『COP CAR コップ・カー』です。
最近、2時間越えの映画はザラにあって、
まあそんな大作も悪くはないけれど、
88分という本作のように、
面白さがギュッと詰まったコンパクトな作品て
やっぱりいいっすねぇ。

「チンコ」で始まる本作。
どうやら家出しようとしている少年ふたり、
トラビス(ジェームズ・フリードソン=ジャクソン)
ハリソン(ヘイズ・ウェルフォード)
なにもないコロラドの砂漠を
「汚い言葉ごっこ」とでもいうべき、
子どもらしくてくだらない遊びをしながら歩く姿は
やっぱりかつてのスピルバーグを思い起こさずにはいられません。
当然、『激突!(1971)』は入っていますが
『ジョーズ(1975)』の雰囲気も。

乗り捨てられた(かのようにみえる)一台のパトカーを発見した
トラビスとハリソンは、
無邪気に興奮しつつパトカーに乗り込んで、
「おれたちのパトカーだ!」と叫びながら砂漠を走り回り、
カットが変わって元の場所に戻ってきたのかと思いきや、
パトカーから降りてきたのは
数分前のミッチ保安官(ケビン・ベーコン)……という
編集の妙ににやっとします。

ミッチ保安官が手足を縛った男をトランクから引きずり出し、
(死体かどうかは微妙)
穴の中に隠すまでは、もう、ベーコン劇場。
ひとりで転んだり、イライラしたり、
男の靴が脱げているのに気づいて拾いに行ったり、
ミッチ保安官という男が悪徳警官なのは間違いないけれど
完全無欠のワルではないところが強調されます。
とっさに嘘を思いつくのはなんらかの才能かもしれませんが
計算高いようにはとてもみえません。
パトカーないじゃん! と気づいてから、
慌てて砂漠を奔走するベーコンの走り方
やりすぎじゃないかと思うほど滑稽。

おそらく、裏でこそこそと悪さをしていたミッチ保安官は、
麻薬の売人との取引の最中に逆上し、
(もしくはいつもより多めにガメようとし)トラブル発生。
売人を縛り上げてトランクに詰め、
ついでにコカインをかっぱらった……のであろうことは
なんとなく想像がつくものの、
本作はそのような人間関係や状況を一切説明しません。
家出したふたりの少年の家庭環境も臭わせるだけに留めています。
だからといって、物語を進めるうえで
不可解なところがまったくないのが素晴らしい。

そのくせ、ディティールは細かく描写するのが
おもしろいのです。
ベーコンが靴紐の先を輪っかにして
車のロックを外そうとするシーン
の丁寧さときたら!
はたまた、無線の故障を偽って事態をごまかそうとするのも
パトカーを盗まれた保安官のとる行動として、至極納得。

伏線というほどでもないけれど、
無数のフリを回収していく律儀さは
あざとさギリギリだとは思いましたが、
いきがっているトラビスと用心深くて気弱なハリソンという
対照的な性格のふたりがとる行動が
終盤で逆転するのは見事だと思いました。

もちろん、本作はふたりの少年の成長譚ですが
大人の世界と子どもの世界の対比
重要な要素のような気がします。
冒頭の「汚い言葉ごっこ」は
少年たちが大人に憧れを抱いていることの表れだし、
家出という行為そのものが家族の庇護からの脱出を
意味しているのかもしれません。
ところが、トランクに詰め込まれていたもうひとりの男が登場し、
ミッチ保安官を待ち伏せするために隠れ場所を探して
右往左往する姿のマヌケさ、
そこに現れた死亡フラグ立ちまくりのおばちゃん
そして銃撃戦へと到るシーンは
大人たちのなにやってんだ感が半端なく、
パトカーの後部座席に閉じ込められた少年たちに
大人なんて決して憧れるようなシロモノじゃないことを
見せつけます。

ラストシーンで、ヘッドライトを点けずに
ハイウェイを失踪するパトカーは
文字通り、お先真っ暗。

後部座席には、大人にならずに死にかけているトラビス
大人に対する絶望と大人になることへの覚悟が
ハンドルを握るハリソンに
否応なくアクセルを踏み込ませていた
のではないでしょうか。
……ていうのは、かっこつけすぎか。

急いで『クラウン』観ようっと。





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