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わたしに会うまでの1600キロ

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(原題:Wild 2014年/アメリカ 118分)
監督/ジャン=マルク・バレ 製作/リース・ウィザースプーン、ブルーナ・パパンドレア 原作/シェリル・ストレイド 脚本/ニック・ホーンビィ 撮影/イブ・ベランジェ 美術/ジョン・ペイノ 編集/ジョン・マック・マクマーフィ、マーティン・ペンサ 音楽監修/スーザン・ジェイコブス
出演/リース・ウィザースプーン、ローラ・ダーン、トーマス・サドスキー、ミキール・ハースマン、ギャビー・ホフマン、キーン・マクレー、ケビン・ランキン、W・アール・ブラウン

概要とあらすじ
人生の再出発のため1600キロに及ぶパシフィッククレストレイルを踏破した実在の女性シェリル・ストレイドの自叙伝を、オスカー女優のリース・ウィザースプーンが製作・主演、「ダラス・バイヤーズクラブ」のジャン=マルク・バレ監督がメガホンをとって映画化したドラマ。脚本は「ハイ・フィデリティ」「アバウト・ア・ボーイ」のニック・ホーンビィ。母の死に耐え切れず、優しい夫を裏切り薬と男に溺れて結婚生活を破綻させたシェリルは、母が誇りに思ってくれていた自分を取り戻すため、人生を一からやり直すために1600キロ踏破の旅に出る。極寒の雪山や酷暑の砂漠に行く手を阻まれ、命の危険にさらされながらも、その過酷な道程の中でシェリルは自分と向き合っていく。第87回アカデミー賞でウィザースプーンが主演女優賞に、ローラ・ダーンが助演女優賞にノミネートされた。(映画.comより



自問するためのアメリカンお遍路

実話が原作とはつゆ知らなんだ
『わたしに会うまでの1600キロ』
監督は『ダラス・バイヤーズクラブ』ジャン=マルク・バレ

パシフィック・クレスト・トレイル(PTC)なるものに
挑戦した女性の物語ですが、
PTCとはなんぞやと思ったら、
アメリカの長距離自然歩道
毎年300人ほどのもの好き(失礼)が踏破に挑戦しているんだとか。
全長は4000kmとのことですから
1600kmを歩いたこの物語の主人公は途中からスタートしているようで
そういうのもありなんですな。

シェリル・ストレイド(リース・ウィザースプーン)
結婚しているにもかかわらず、男遊びを繰り返し、
ヘロイン漬けの自暴自棄な生活を続けていました。
あまりにも多くの男とやりまくっているので
ついに妊娠してしまったときも父親が誰かわからない始末。
愛し合っていたはずの夫との夫婦関係も限界を迎え、
ついに離婚。
一念発起したシェリルは
自分を見つめ直すためにPTCに挑戦するのでした。

……ていう、シェリルがPTC挑戦に到るまでの過去は
あらかじめ語られるわけではなく、
すでにPTCを始めているシェリルの記憶が
フラッシュバックするかたちで徐々にわかっていきます。
ちょっと説明が丁寧すぎるかな〜とも思いましたが、
断崖絶壁に腰掛けたシェリルが
傷だらけになった足を休めるために靴を脱いだあと、
うっかりその靴を谷底に落としてしまうオープニングで
「ファック・ユー・ビッチ!!!」と叫ぶのは
もちろん「チキショー!」てな意味なんですけど、
あきらかに「ビッチ」=シェリル自身なわけで
これから始まる物語がどんなものであるかを暗に宣言しているあたり、
とてもうまい入り方だと思いました。

自分探しの旅といってしまえばそれまでですが、
前人未踏の険しい場所を冒険しているわけではなく、
ところどころにコースを示すマークがあったり、
休憩所があったりする自然歩道なので
印象としてはお遍路さんのようです。
アメリカンお遍路です。
セリフにもありましたが、
このような挑戦は肉体的な過酷さよりも
旅の間にさまざまな考えが頭をよぎり、
自分と向き合わざるを得ない状況に自分を追い込むことに
本当に意味があるような気がします。

「モンスター」と揶揄される
シェリルが背負った荷物はなんと32kgもあったそう。
背負ったはいいものの重すぎて立ち上がれず、
床をのたうち回るモーテルのシーンはコミカルでしたが
その後休憩所のベテランに
必要ないものは捨て、読み終わった本は燃やせと
指南されるくだりから、シェリルは一皮むけたように。
本作において重要なアイテムである「モンスター」は
文字通り、ひとが生きるうえで背負っているもののメタファでしょう。

PTCに挑戦する前のシェリルが自暴自棄になっていたのは
母親のボビー(ローラ・ダーン)の死が発端でした。
夫のDVに苦しみながらもシェリルと弟を育て上げ、
歳を重ねてからもシェリルと同じ大学に通うようになる
ボビーのポジティブな姿勢が、シェリルにとっては目映く、
ボビーの死がもたらす喪失感が
反動として自暴自棄な生活へと陥らせたのかもしれません。
ボビーを演じるローラ・ダーンの
明るくやつれた感じが最高
でたまりません。
幼いころのシェリルを演じている少女が
原作者シェリル・ストレイドの娘だということをあとから知ると
愛すべき母親ボビーに孫を抱かせてやることができなかった
シェリル・ストレイドの願いが映画の中で実現したかのようで
これまた、たまりません。

シェリルに色目を使ったり、
あからさまにレイプを臭わせるような人物も登場して、
社会における女性の扱われ方に対するアンチテーゼも
内包されているような気がしました。

壮大な大自然をバックに
ヒロインが挫折から再生する姿を描いている本作は
まさに映画的な魅力に溢れているのではないでしょうか。





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