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死の恋人ニーナ

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(原題:Nina Forever 2015年/イギリス 98分)
監督・脚本/ベン・ブライン、クリス・ブライン 撮影/オリバー・ラッセル 音楽/ダニエル・ティーパー
出演/アビゲイル・ハーディンガム、フィオナ・オシャーグネッシー、シアン・ベリー

概要とあらすじ
事故死した元恋人に悩まされるカップルの恋の行方を描いた、イギリス発の独創的なホラーラブストーリー。寂れたスーパーマーケットで働くホリーは、同僚の青年ロブに恋心を抱く。ロブは恋人ニーナを交通事故で亡くして以来ふさぎ込む毎日を送っていたが、ホリーの優しさに次第に惹かれるようになり、やがて2人はついに結ばれる。ところが、突如として2人のベッドが大量の血で染まり、死んだはずのニーナが出現。自分が死んだことに気づいていないニーナは、新しい恋人を作ったロブに怒り狂う。信じられない状況にその場を逃げ出すホリーだったが、どうしてもロブのことが忘れられず、数日後に再び彼のもとを訪れる。そして、またしてもベッドに現われたニーナに、ホリーはある取引を持ちかける。出演は「レンブラントの夜警」のフィオナ・オシャーグネッシー、「スパイダー・キングダム」のシアン・ベリー。ヒューマントラストシネマ渋谷、シネ・リーブル梅田で開催の「未体験ゾーンの映画たち 2016」上映作品。(映画.comより



B級ゾンビ・パロディかと思いきや……うなる

死んだ元カノが生き返って……という映画は
ジョー・ダンテ監督『ゾンビ・ガール(2014年)』とかが
ありましたが(観てないけど)
『ライフ・アフター・ベス(2014)』があまりにも素晴らしかったので
これを超えるこの設定の作品はなかなかないだろうと
思っておりました。
『死の恋人ニーナ』も、ああ、またあのかんじか、と。
軽いB級ゾンビ・パロディかと、完全にナメてかかっていて
なんか馬鹿馬鹿しいやつが観たいな♡と軽い気持ちだったのですが
いやはや、予想外にいいんです、本作。

暗転のなか、バイクが転倒する音だけを聞かせた後、
道路に横たわったバイクとひとりのドライバーを映し出す
オープニングのフィックスされた構図がかっこよく、
すでにB級ホラーのテイストと一線を画しているのですが、
まだこのあたりでは、
おお、なかなかいいじゃんくらいの余裕をかましていました。
その後、徐々にちょっと一筋縄ではいかない作品だと
感じ始めました。

冒頭のシーンでバイクで転倒し、
道路に横たわっていたロブ(シアン・ベリー)
恋人ニーナ(フィオナ・オッシャーグネッシー)を交通事故で亡くしたショックで
自殺願望にとりつかれていたのでした。
ロブが務めるスーパーの同僚で
19歳のホリー(アビゲイル・ハーディンガム)
「彼氏が自分のあとを追って自殺なんて憧れるわ。
 そんな情熱的な男とヤリたい」

偏った発想でロブにホの字なのです。
いつもホリーを冷やかしている同僚ふたり組の扱い方も面白い。

ホリーの計算ずくのアプローチが成功して
ホリーとロブはめでたく結ばれてベッドイン。
ふたりがお互いを求め合っていると、出てくるわけです。
ベッドの中から。ニーナが。血だらけで。
そして「誰よ? このオンナ」となるわけです。

ニーナは気が済むと消えていなくなるのですが、
なぜかニーナがまき散らした血はそのまま残っていて
ニーナが現れるたびに部屋を掃除したり、
シーツを取り替えないといけないのがなんとも面白いのです。

そんなことがあったもんだから、
一度はロブとの連絡を絶つホリーでしたが
(本作はメール画面の表現も効果的)
なんと、幽霊ニーナの存在を受け入れて
ロブとよりを戻すという、まさかの決断に。

しかも、ロブの背中と同じ「Nina Forever」というタトゥーまで
彫ってしまいます。
シーツの予備もしっかり用意してロブの部屋でエッチしていると、
当然登場するニーナ。不思議な3Pが始まり、
ニーナに手マンしてやるホリー!!

なんと本作、死んで蘇った元カノ・ニーナが主人公ではなく、
ホリーの物語なのです。
ホリーがニーナとの対決姿勢を露わにする後半になると
画面には赤が強調され始めます。
ニーナは現れては部屋を血だらけにして帰って行きますが、
とくに攻撃してくるわけではありません。
嫌みを言って愚弄したりするだけですが、
彼女はあきらかに未練や後悔のメタファー。
互いに愛し合うロブとホリーのふたりは
ニーナとの決別を試みますがことごとくニーナのほうが上手で、
とうとうホリーはロブのもとを去ってしまい、
とくに好きでもない同僚とエッチにいたりますが、
そこにもニーナは現れるのです。
「こんなの、望んでない!」とホリーがいうと
「あたしだって」とニーナは返します。

ロブと別れたあとも、ホリーのベッドにはニーナが現れているようで
シーツは血だらけ。
それを見たロブにホリーは
「あなたじゃない。はじめから」といい、
黒いシーツでベッドを整えた後、
自分の傍らに「誰か」のスペースを空けて横たわります。

なんでしょう、これは。
ホリーがベッドを整えるとき、
元彼から別れを告げられたときにもらったぬいぐるみ
カメラが一瞬とらえましたが
ニーナの存在はホリーの元彼に対する未練だったのでしょうか。

また、ホリーが救命救急士を目指していることが重要だとすると、
ニーナが体現する「未練」は恋愛に留まらず、
生そのものに対する未練=死の恐怖とも考えられるし、
ロブがじつは数学者なのに、スーパーでバイトしているのも
不本意なこと(「こんなの、望んでない!」)であって、
ある種の未練や執着を表しているようにも感じます。
また、ニーナがデザイナーか絵描きで
活版印刷に興味があったのにもわけがありそうです。
それらが絡み合った挙げ句に跳躍&逸脱があると思われ、
安易な解釈を避けている点も後を引く作品でした。





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