" />

ローリング

ill637.jpg



(2015年/日本 93分)
監督・脚本/冨永昌敬 プロデューサー/木滝和幸、冨永昌敬 撮影/三村和弘 照明/中村晋平 美術/仲前智治 録音/高田伸也 整音効果/山本タカアキ 編集/田巻源太 仕上担当/田巻源太 音楽/渡邊琢磨 衣装/加藤將
出演/三浦貴大、柳英里紗、川瀬陽太、松浦祐也、礒部泰宏、橋野純平、森レイ子、井端珠里、杉山ひこひこ、西桐玉樹、深谷由梨香、星野かよ、高川裕也

概要とあらすじ
「パビリオン山椒魚」「乱暴と待機」の冨永昌敬監督が、盗撮事件で地元を追われた元教師が東京から女を連れて地元に帰ってきたことから巻き起こる人間模様を、全編水戸ロケを敢行し描いた作品。茨城県水戸のおしぼり業者で働く貫一は、盗撮事件を起こし行方をくらましていた元高校教師の権藤と再会する。かつての教え子たちにつかまり糾弾され面目を失う権藤。さらに、権藤が東京から連れて来ていたキャバクラ嬢のみはりに貫一が一目ぼれし、貫一は権藤から彼女を奪ってしまう。一方かつて権藤の盗撮した動画に録画されたある人物に目を付けた貫一の悪友たちによって、芸能事務所を巻き込んだ思わぬ騒動が巻き起こる。(映画.comより



教師が立派な人間とは限らない

ものすごーく公開規模が小さかったので
チェックしていたけど見逃した
『ローリング』のDVDが出たとういうことで
観てみましたのよ。

女子更衣室を盗撮していたことがバレて
教師をクビになった権藤(川瀬陽太)が巻き起こす珍騒動
というのが、本作のおおざっぱな設定。
でも、本作の主人公はどちらかというと権藤ではなく、
権藤のかつての教え子である貫一(三浦貴大)で、
同級生あるあるや、葬りたい学生時代の思い出などが
軽快さに包まれた嫌な感じとして漂っています。

そもそもね、中学にせよ高校にせよ、
人生のうちのたかだが3年間教師と生徒の関係だったからといって、
卒業後いつまでも先公づらされる筋合いはないのです。
かれらは職業として教師だったにすぎず、
僕らはたまたまその教師の担当に配属されただけなのであって
学校を卒業して、その強制的な契約関係が終わってしまえば
ただのひととひとなわけだし、
当然、教師がとりたてて立派な人間なわけもないのです。

ま、なかには本当に立派な教師もいるかもしれませんが
本作の元教師・権藤はどうかというと、
教師と生徒という主従関係を取っ払ったあとに
ひととひとの対等な関係になる……どころか、
どんな立場からみても徹底的にクズなのです。

本作の制作には茨城県水戸の関係者による
多くのバックアップがあったそうですが、
本作の設定において水戸という地方性は
重要なのではないかと思います。
水戸はド田舎というほど寂れた場所ではありませんが
それでも地方都市独特の閉塞感があるのではないでしょうか。
盗撮事件が明らかになって権藤が逃避行していた東京では
人波に紛れることができていたかも知れませんが
水戸に戻ってきたことで
「白い目」にさらされる
ことになるのです。

権藤がクズなのは確かだとして、
かつて権藤が撮り貯めた盗撮ビデオをみて、
これを売れば金になるぞと言い始めるゲスがいるわけです。
ビデオには、かつて学年のマドンナだった女子生徒が
レズ行為に及ぶ姿が映っていて
いまや彼女がタレントとして活躍しているというのは
下世話な好奇心を引き立てます。
とはいえ、田舎モンの他者に対する接し方とは
概ねこういう感じです。

もともと権藤の愛人だったみはり(柳英里紗)
貫一の恋人となって、
それが「教え子に女を寝取られた」という権藤のナレーションに
繫がるわけですが、
この、みはりの絶妙なエロさが素晴らしい。
決して頭がいいわけではなく、男になびきやすいみはりですが
それでも無性にムラッとくる色気があります。

盗撮ビデオをAVとして売る→太陽光発電のための土地を買う…
という流れは、正直よくわかりませんでしたが
とにかく、欲に駆られて
悪徳弁護士の口車に乗せられたということなのでしょう。

終盤は抹消したはずの盗撮ビデオが
マスコミに流出して
権藤たちは窮地に陥ることになるのですが
そこで、もっとも打撃を受けているはずの元マドンナが
同級生たちのだれも覚えていないレズ相手のことを慮って
芸能界を引退し、むしろ楽になったというのは
わりと本作のキモの部分のような気がします。
元マドンナ以外の同級生たちは
地元生活に「土着」し、
過去をいつまでもぐつぐつと煮込んでいたのに対し、
元マドンナはそのような土着的なれ合いから離脱する
覚悟を持っていたのではないでしょうか。

ワンシーンですが、権藤を追いかける
「立ち直れ、やっかいもの」というテレビドキュメンタリー
撮影する場面も皮肉がいっぱいでした。
たった一度の過ちで人生を棒に振った元教師という一面を
切る取るドキュメンタリーは
そもそも権藤が教師をやれるような人間じゃないということは
映さないのです。

ラストあたりで、
もう一発嫌な感じをもたらしてほしかったなとは思いますが
(残された白骨がみはりのものかもしれないという
 嫌な余韻は残っているけれど)
予算のない日本映画だって、
ちゃんと知恵を絞って、センスを生かせば
これくらい面白い映画は作れるんだぜ、という意味で
傑作です。





にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ 
↑お気に召したらクリックしていただけますと、もんどりうって喜びます。
関連記事
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

«  | ホーム |  »

プロフィール

のほうず
映画が好きで観るのはいいが、
かたっぱしから忘れていくので
オツムのリハビリ的ブログ。
******************
当ブログの文章・画像およびイラストの無断転載を禁じます。引用される場合は、出典の表記と当ブログへのリンクを設定してください。

FC2ブログランキング

FC2Blog Ranking

お気に召したら
クリックお願いします。
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ

スポンサードリンク

↓過去の記事はこちらから!↓

検索フォーム

QRコード

QR

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

カウンタ