" />

たどんとちくわ

ill634.jpg



(1998年/日本 102分)
監督/市川準 脚色/市川準、佐藤信介、NAKA雅MURA 原作/椎名誠 製作/山地浩 撮影/小林達比古 美術/間野重雄 音楽/板倉文 録音/橋本泰夫 効果/伊藤進一 照明/中須岳仕 編集/三條知生
出演/役所広司、根津甚八、安部聡子、桃井かおり、山内健司、滝本ゆた、土橋未弥、正木優太、真田広之、田口トモロヲ、小鹿番、弘中麻紀

概要とあらすじ
タクシー運転手と売れない小説家、鬱積していたフラストレーションを爆発させたふたりの中年男が巻き起こす騒動を二部構成で描いたブラック・コメディ。監督は「東京夜曲」の市川準。椎名誠の短篇小説を基に、市川監督と「たどん」部を「恋、した。」の佐藤信介、「ちくわ」部を「大怪獣東京に現わる」のNAKA雅MURAが共同脚色。撮影を「東京夜曲」の小林達比古が担当している。主演は「大往生」の役所広司と「D坂の殺人事件」の真田広之。R指定。(映画.comより



イライラはため込むなかれ

随分前に観てとても印象に残っているのに
細かいことなーんにも覚えていない
『たどんとちくわ』を。
市川準監督作品の中では、
珍しくバイオレントな一作ではないでしょうか。
原作は「たどん」と「ちくわ」という
椎名誠によるふたつの小説です。
というわけで本作は
「たどん」パートと「ちくわ」パートによる
2部構成になっています。

タクシー運転手の木田(役所広司)
仕事に嫌気が差しているのか、
あきらかに不機嫌でいらついています。
一日中流しているタクシーの車窓に映る
90年代後半の東京都内の街並みも楽しめますが
そんなことより、木田のイライラは徐々にエスカレートし始め、
客に向かって小声で(うるせえんだよ……)なんて
漏らしたりします。
この、小声で漏らすというのがリアルなうえに
ため込んでいる怒りの大きさを感じさせます。

桃井かおりや爆笑問題が客としてカメオ出演したあと、
木田のタクシーに乗ってきたのが安西(根津甚八)
安西は離婚調停中なのか、
子どもを連れた本妻にビンタされたあと、
愛人(安部聡子)が待つホテルへ向かおうとしていたのでした。

長距離ということもあってか、
木田はやたらと安西に話しかけますが
多くのタクシー客と同様に
安西は生返事を繰り返していましたが、
木田の「お仕事は?」という質問に
「ああ……たどん屋だよ……手作りの」なんつって
適当な嘘をつきます。
それを聞いた木田は突然ブチぎれ……るのではなく、
ふたりで酒屋に寄ったり、そば喰ったりするのです。

いつのまにかふたりは心が打ち解けたのかと思いきや、
じつは木田は目的地へと向かおうとはせず、
「好きなように走っているだけ」なのでした。
ついにブチぎれた木田は車を停め、トランクから拳銃を取りだし、
「本当にたどん屋なら、たどん作ってみろ!」と
安西を脅すのでした。

かたや、売れない小説家の浅見(真田広之)
うじうじ悶々としています。
ふらっと立ち寄った屋台のおでん屋で
浅見が「ちくわをくれ」というと
「ちくわはないが、ちくわぶでどうだ?」と返す親父(小鹿番)。
この親父もまたいらついていて
やっぱり小声で言い返したりするのですが
「ここにちくわがあるじゃないか!」と叫んだ浅見は
屋台に乗り上がり、おでんに向かって放尿するのです。

田口トモロヲが店主を務める
なじみの居酒屋に向かった浅見。
新装開店して景気の良さそうな居酒屋や
ほかの客たちの会話の全てが浅見にとって
自分を見下しているように思えたのではないでしょうか。
耳がぐにょっと取れる。トイレに行けばチンポがない。
つまみがうにょうにょと動き始める……


ブチぎれる、というより勝手に自滅して暴走する浅見は
包丁を振り回して客と店員をメッタ刺し。
グリーンやピンクの色とりどりな血しぶきが宙を舞います。

チンポをなくした浅見が股間にあてがう
「ちくわ」が象徴するものは、もうそのまんま。
浅見の虚栄心や自尊心でしょう。
では「たどん」のほうはというと、
(そういえば実物のたどんを見たことがないかもしれない)
団子状の燃料のたどんは、
火力は強くはないが、種火の状態で長く燃焼し続けるそうですから
木田が長年にわたって抱える
不満と怒りの炎
ということになるのかもしれません。
やっぱり、イライラはため込まずに
小出しに発散したほうがよさそうですね。

それぞれに苛立っていた登場人物たちはラストで邂逅。
全てをぶちまけた彼らの表情は
一様に晴れやかなのでした。

(Youtubeには予告編が存在せず。こちらを)




にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ 
↑お気に召したらクリックしていただけますと、もんどりうって喜びます。
関連記事
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

«  | ホーム |  »

プロフィール

のほうず
映画が好きで観るのはいいが、
かたっぱしから忘れていくので
オツムのリハビリ的ブログ。
******************
当ブログの文章・画像およびイラストの無断転載を禁じます。引用される場合は、出典の表記と当ブログへのリンクを設定してください。

FC2ブログランキング

FC2Blog Ranking

お気に召したら
クリックお願いします。
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ

スポンサードリンク

↓過去の記事はこちらから!↓

検索フォーム

QRコード

QR

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

カウンタ