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グッドナイト・マミー

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(原題:Ich seh, ich seh 2014年/オーストリア 99分)
監督・脚本/ベロニカ・フランツ、セベリン・フィアラ 製作/ウルリッヒ・ザイドル 撮影/マルティン・ゲシュラハト
出演/スザンネ・ベスト、エリアス・シュワルツ、ルーカス・シュワルツ、ハンス・エッシャー

概要とあらすじ
美容整形により人格まで豹変した母親の正体を疑う双子の少年が引き起こす惨劇を描いたオーストリア製サイコスリラー。2014年のシッチェス・カタロニア国際映画祭ほか、世界各地の映画祭で話題となり、米アカデミー外国語映画賞にエントリーするオーストリア代表作品にも選出された。森と畑に囲まれた田舎の一軒家で母親の帰りを待つ9歳の双子の兄弟。ところが、帰ってきた母親は顔の整形手術を受けており、頭部が包帯でぐるぐる巻きになっていた。さらに性格まで別人のように冷たくなってしまい、兄弟は本当に自分たちの母親なのか疑いを抱くように。そして正体を暴くべく彼女を試しはじめるが、その行為は次第にエスカレートしていく。「パラダイス」3部作などで知られる鬼才ウルリッヒ・ザイドル監督の妻で同シリーズの脚本にも参加したベロニカ・フランツと、彼女と2度目のタッグとなるセベリン・フィアラが共同監督を務めた。母親役に「ザ・ファイト 拳に込めたプライド」のスザンネ・ベスト。ヒューマントラストシネマ渋谷、シネ・リーブル梅田で開催の「未体験ゾーンの映画たち 2016」上映作品。(映画.comより



2回観ると、いろいろ合点

本篇の魅力を盛るために
内容とかけ離れたミスリードを行なって
かえって魅力を損なったり、
観客の反撥を喰らったりしてしまう予告編が
たまにありますが、
『グッドナイト・マミー』
ミスリードそのものが主題のひとつ。
いや、ミスリードというよりも
観客の誤解を誘発しているというべきか。

エリアスとルーカスの双子が暮らしている
モダンなデザインの豪邸に
どうやら入院していた母親が
頭を包帯でぐるぐる巻きにして帰ってきます。
でも、どうもママの様子がおかしい。
本当のママじゃないんじゃないの?……
てな感じで始まる本作。
僕もすっかりなりすましモノだと思って観ていました。
センスがいんだか、悪いんだか、
壁に貼られた巨大なピンぼけ写真
なおさら正体不明なママの存在を怪しく引き立てます。

ママは妙にツンケンしているのですが
とくにルーカスには強く当たります。
(の・ように見えるのじゃよ)
本作はあらかじめ設定の説明をせず、
物語が進むに従っていろんな背景を窺えるようになるのですが
映画でたまに見かける、おでこに単語を書いた紙を貼って
周りのひとに質問してその言葉を当てるゲーム

ママに対して双子に「MAMA」という問題を出させ、
質問とヒントのやりとりによって、
ママが有名なテレビの司会者だと説明するくだりは見事です。
しかもママがうまく答えられないもんだから
余計にママ偽物説を疑ってしまいます。

ママが正体不明の恐ろしい存在かのような演出が続きますが、
双子がゴキブリ(?)みたいな虫を飼っているあたりで
あら? こいつらもヤバいぞと感じ始めます。
子ども部屋の壁紙も虫柄だったし、
このコたちはそもそも虫好きなのかもしれませんが
ゴキブリ的虫は明らかに邪悪なものの象徴でしょう。

子供達に対する苛立ちをどんどん募らせるママは
電話で誰かに「これ以上、フリを続けられないわ!」と話したり、
エリアスを叱りつけ、
「もうフリをしないからね! 食事も服も1人分よ!」
などと言い始めた頃には
ルーカスは存在していないということがわかります。

すでに事故で亡くなっているルーカスは
エリアスが作り出したイマジナリー・フレンドであり、
ママやほかの人間にはルーカスの姿も見えず、声も聞こえません。
ママがルーカスに冷たい素振りだったのはそのためで、
ルーカスがママに話すときには
必ずエリアスに耳打ちして代弁させていたのです。
いつまでもルーカスがいると言い張るエリアスの奇行に
ママは苛立ちと深い悲しみを感じていたのでしょう。
家が売りに出されていたのは
顔に傷を負ったママがテレビの仕事ができなくなって
収入が減ったからでしょうか。

髪型を揃え、同じ服を着るエリアスとルーカス
どんどん一体化しようとします。
自分たちが正しいと信じて疑わないふたりは
教会へ行き、神父に助けを求めるものの、
神父にもルーカスの姿は見えないのですから
ママのもとへ送り返されます。
そしてふたりは凶行へ。

ベッドにママを縛り付けてからの終盤は
『ファニー・ゲーム』×『ザ・チャイルド』てな趣き。
唇を接着剤でくっつけたり、頬を虫眼鏡の光で火傷させたり、
地味に嫌な拷問を仕掛けてきます。
本物のママと瞳の色が違う! という証拠のために
ふたりが持ち出したのが
ママが出会い系のチャットで自己紹介する動画。
(父親とは離婚しているもよう)
瞳の色がどうとかいうより、動画そのものが恥ずかしいぞ。

ママは一度は逃げ出すものの、
ふたりが仕掛けたトラップにかかって再び捕らえられ、
拘束されたまま、家もろとも焼かれてしまいます。

ラスト。畑の中を進むエリアスとルーカス。
畑を抜けた先にある暗い森から現れたのはママ。
3人は仲良く肩を抱き合い、優しく笑っています。
ママは火事で死んでしまったはずですが
エリアスもやはり死んでしまったのかもしれません。
この世にいるママ、あの世にいるルーカス、
この世とあの世の中間にいるエリアスは
3人揃ってあの世に行くことで
やっと元の家族に戻れたのかもしれませんな。

非常に丹念に練られた面白い作品でしたが、
トーンとリズムが変化に乏しく、
単調に感じたのは残念なところ。
もうちょっと物語がグンと加速するような盛り上がりがあれば
大傑作になったような気がします。

2回観ると、いろいろ合点がいきますよ。





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