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ドリーム ホーム 99%を操る男たち

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(原題:99 Homes 2014年/アメリカ 112分)
監督/ラミン・バーラニ 製作/アショク・アムリトラジ、ラミン・バーラニ、ケビン・チューレン、ジャスティン・ナッピ 脚本/ラミン・バーラニ、アミール・ナデリ 撮影/ボビー・ブコウスキー 美術/アレックス・ディジェルランド 衣装/メーガン・カスパーリク 音楽/アンソニー・パートス、マッテオ・ジンガレス
出演/アンドリュー・ガーフィールド、マイケル・シャノン、ローラ・ダーン、ノア・ロマックス、アルバート・ベイツ、ティム・ギニー、J・D・エバーモア、アン・マホーニー、クランシー・ブラウン

概要とあらすじ
「アメイジング・スパイダーマン」シリーズのアンドリュー・ガーフィールド主演による社会派サスペンス。リーマン・ショック後のアメリカで住宅ローンの返済不能により自宅を差し押さえられた人々の実話をもとに、家族や復讐のために道を踏みはずしていく男たちの運命をスリリングに描き出した。シングルファザーで無職のナッシュは、ある日突然、不動産ブローカーのカーバーによって自宅を差し押さえられ、強制退去させられてしまう。長年暮らし続けてきた家を取り戻したいナッシュは、カーバーが持ちかけてきた儲け話に乗ることに。それは法の穴をすり抜け、自分と同じような境遇の人々の家を差し押さえて大儲けするというものだった。家族に真実を言いだせないまま、大金を稼いでいくナッシュだったが……。(映画.comより



1%の勝ち組って…楽しい?

いままで何度も引越してきましたが(賃貸ね)
不動産屋でロクな人間に会ったことがありません。
ま、不動産屋に限らず、
なにも産み出さず、モノを右から左に動かすだけで
金儲けしようとするやつは信用に値しませんが、
不動産屋の連中が
生活の場がないと困る客の足下を見て商売しているのは
間違いありません。

「世界中の富の1/4をたった1%の最富裕層が所有しており、
 残りの99%は貧困である」
という
経済学者ジョセフ・E・スティグリッツの言葉に由来するという
『ドリーム ホーム 99%を操る男たち(原題『99 Homes』)』
賃貸契約のいざこざどころの話じゃありません。
返済能力の低い人たちに住宅を担保として高利で貸し付ける
サブプライムローンは、
はじめから顧客が返済不能に陥ることを予想して、
担保にとった住宅を転売することで
債権を回収するつもりだったというタチの悪い代物で
どう転んでも銀行が損をしない仕組みになっていたのですな。
さらに最初の数年間の金利を低く設定することで
本来なら融資を受けられないような低所得者たちも
これなら自分たちも家をもてるぞとばかりに飛びついたのですが
そもそもが支払能力を越えたローンだったうえ、
リーマン・ショックが発生。一気に滞納者が続出し……

ていう、本作の前提となる社会問題を
わかったようなフリして説明しましたが、
ついさっき調べたところです。うん。

一人息子と母親(ローラ・ダーン)と暮らす
デニス(アンドリュー・ガーフィールド)の家族も
返済不能のため差し押さえられ、強制退去させられます。
警察を従えるかのように悠然と現れたのは
不動産ブローカーのリック(マイケル・シャノン)
冷徹で落ち着き払ったリックは
タバコの火まで蒼く光ってます。

デニスは弁護士を探すなど努力はしていましたが
突然の強制退去命令。
ついさっきまで自分の家だったものが
「もうお前の家じゃないから、不法侵入になる。
 2分で荷造りして出てけ。」
と言われます。
これはキツいですねぇ。
しかも「2分というのは温情だ」だと
いわれる屈辱感たるや。

モーテル暮らしを余儀なくされるデニス一家。
強制退去の時に工具を盗まれたと文句を言いに行った先で
デニスはリックと再会します。
そこでなぜかリックはデニスを仕事に誘い、
職がないデニスは仕方なくリックに従います。
デニスの仕事ぶりをみたリックは
自分の右腕としてデニスを雇うようになる
のでした。

強制退去を命じられるほかの登場人物たちと違って
デニスは自分の家を奪い取ったリックに対して
逆上したりすることがありませんでした。
デニスはこの不動産屋を罵っても仕方のないことだと
自分の置かれた状況を客観的に理解していたのかもしれません。
そこにリックがぴんときたのではないでしょうか。

持ち前の職人気質と頭の良さで
メキメキと不動産屋として成長していくデニス。
家を奪われた側から家を奪う側に移ったというわけですが
デニスにしてみれば、家族を守るため、
そして家を取り戻すためにとった行動であって
ましてやデニスが家を奪っているわけでもないので
悪魔に魂を売ったような描かれ方にはちょっと違和感を感じました。
デニスがリックのもとで
強制退去の仕事をしていると知った母親と息子が
ものすごい拒否反応を示し、出て行ってしまう
のには
そりゃあんまりだろうと思いましたよ。

かたやリックはいかにも悪者のようにみえますが
「アメリカは負け犬に手を差し伸べない。
 この欺瞞の国は、勝者の勝者による勝者のために国だ」

というように、
この経済システムが欺瞞に満ちていることを自覚したうえで、
それでも生き延びるためには勝ち続けるしかないと
毒を食らわば皿まで精神で生きているのではないでしょうか。

エアコンの室外機を取り外して銀行に補填させるというのは
まあ、なんとなくわかりましたが、
報酬を渡すかわりに賃貸契約を交わして……という
「鍵が現金」のくだり
どういうことなのかよくわかりませんでした。
こんな経済オンチな僕がいうのもなんですが、
たとえ銀行側の説明が不十分だったとしても
自分の支払能力をこえたローンを組んでしまった人たちが
あまりにも不勉強にみえて
完全に被害者といえるのかちょっと疑問です。
もちろん、自戒の念を込めてですけど。
モーテルでデニスに噛み付いたり、
家に立てこもってライフルをぶっ放したりする人々には
気持ちは痛いほどわかるけれど
やっぱ、そういうことじゃない感が溢れ出ています。

最終的に、公文書偽造という犯罪を犯して
わかりやすい悪役を印象づけられますが
本作で描こうとする社会問題の本当の「悪」は
もっと巨大かつメタな存在のはず

強制退去の現場にはいないのではないでしょうか。
本当の悪人は、どっかのリゾート地の別荘かなんかで
のんびりしてるんじゃないでしょうか。

当然、本作で描かれることは他人事ではありません。
格差社会のなにが嫌ってね、僕が思うに
生き方が単純化されることです。
デニスやリックのように
憎まれようがなにしようが、
生きるために金儲けに邁進するか、
それともホームレスになって残飯を漁るかに
人生が二極化してしまい、
質素でもご飯が食べられて、
あとは自分が好きなことを楽しめればそれで十分、という
中くらいの生き方が選択できなくなることではないでしょうか。

家を追い出される人たちが可哀想なのは確かにそうなんだけど
表面的かつ情緒的な面が強すぎる気がして
モヤっとしてしまいました。
とはいえ、99%の人間が貧困って、
1%の連中の業の深さといったら
やっぱりキチガイじみてますよ。
ざまあみろ! 俺は1%の勝ち組だぜ〜!……って
楽しいかな?






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