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リアル鬼ごっこ

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(2015年/日本 85分)
監督・脚本/園子温 原作/山田悠介 撮影/伊藤麻樹 照明/松隈信一 録音/小宮元 美術/松塚隆史 アクション監督/匠馬敏郎 特殊造型プロデューサー/西村喜廣 編集/伊藤潤一
出演/トリンドル玲奈、篠田麻里子、真野恵里菜、桜井ユキ、高橋メアリージュン、磯山さやか、斎藤工

概要とあらすじ
2001年に発売されて中高生を中心に人気を博し、映画やドラマなどでもヒットした山田悠介の同名ベストセラー小説が、「ヒミズ」「愛のむきだし」の園子温監督により、新たな切り口で再映画化。全国の「佐藤さん」が鬼に殺されるという原作が、園監督のオリジナル脚本により大幅に設定を変更。さまざまな鬼たちが、「佐藤さん」ではなく全国の女子高生たちの命を狙う。鬼と女子高生の壮絶な戦いが、全て女性のみの出演者で描かれる。ヒロインとなる3人の女子高生役でトリンドル玲奈、篠田麻里子、真野恵里菜が主演。(映画.comより



もうそろそろ、がつんと響く作品を

ずいぶん人気のあるシリーズのようで
すでに5作も映画化されている『リアル鬼ごっこ』
園子温版リブート的な本作。
なにしろこれまでの『リアル鬼ごっこ』を
一度も観たことがないので比較ができませんが
基本的な設定以外は好きなようにやっていいという
約束をとりつけたうえでの本作ということですから
まあ、園子温印の映画になることは避けられません。

ヒロインの名前からしていつもの園子温なんですが
修学旅行のバスの中で
ミツコ(トリンドル玲奈)がひとりポエムを書いていること自体、
現実にはありえない園子温印なのです。
オープニングから、盛大なバスごと切り株シーンが登場し、
鼻息の荒さが伝わってきますが
それよりも、多用されるドローンと
アメリカ映画的劇判
のほうが気になりました。
演出的には、至極王道のサスペンスを
作ろうとしているように思えます。
さりとて、編集のタイミングやCGのクオリティーは
お世辞にも高いとはいえず、
先行きに暗雲がたちこめます。

パンチラもそうですが、
とにかく役者を走らせるのも園子温印。
最初こそ「風」から逃げるために走るという根拠がありましたが、
園子温にとって走るという行為そのものが表現なので
徐々に走ることが心象表現へとかわり、
最終的にはマラソンランナーという
走るのがあたりまえな状況
に追いやられます。
ま、このへんのルサンチマンに溢れる青臭さは
園子温作品を鑑賞するうえで
必ずや乗り越えなければならない壁であって
その壁を乗り越えた先に、
とてつもない快感がもたらされることもあれば
ただ痛々しい気持ちになることもある、というのが
園子温作品を観るときのギャンブルなのですよ。

「シュールに負けるな。人生はいつだってシュールだ」
というセリフにしても、熱いですな。
でも、この青臭い熱さが胸を突くときがあるから
園子温作品は油断ならないのですが
空振りすると、それはそれは寒々しいのです。
本作前半のセリフの数々は、
それはそれは背筋が凍ります。

とにかく本作は、終盤に到るまで
登場人物はJKにとどまらず、
バスの運転手から教師まで、全員女性です。

この女性しか存在しない世界は
処女の閉鎖的な感情を象徴しているのかもしれません。
ミツコが唐突に変身するケイコ(篠田麻里子)
いきなりウェディングドレスを着て結婚式に臨むのも
恋愛やセックスという現実的な交渉をすっとばした
乙女チックな妄想なのでしょうか。
(それにしても、
 篠田麻里子の映画的な魅力のなさは凄まじい…。)

で、それは最終的に
ミツコが男の世界にたどり着くことで証明されます。
本作の物語的には、
ゲームの世界がなんとかかんとか、
メタな構造になっておりますが、
内的自己を見つめた先に外的自己実現を希求する
園子温監督ですから
本作を浅く軽やかに評するとすれば、
居心地のいい百合的世界に留まらず、
または記号化された自分に甘んじることなく、
理解不能で「シュール」な現実に果敢に挑み、
真っ当に他者(異性)と干渉して
本来の自分を獲得しろ、と。
そのためには今の自分を一旦殺せ、と。
そんな感じではないでしょうか。

もうそろそろ、がつんと響く作品を
撮ってほしいものです。





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