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パージ

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(原題:The Purge 2013年/アメリカ 85分)
監督・脚本/ジェームズ・デモナコ 製作/ジェイソン・ブラム、マイケル・ベイ、セマスチャン・ルメルシエ、アンドリュー・フォーム、ブラッドリー・フラー 撮影/ジャック・ジョフレ 美術/ブラッド・リッカー 編集/ピーター・グボズタス 音楽/ネイサン・ホワイトヘッド
出演/イーサン・ホーク、レナ・ヘディ、アデレイド・ケイン、マックス・バークホルダー、エドウィン・ホッジ、トニー・オーラー、リース・ウェイクフィールド

概要とあらすじ
「パラノーマル・アクティビティ」シリーズの製作ジェイソン・ブラムと「トランスフォーマー」シリーズのマイケル・ベイの共同プロデュースで、製作費300万ドルという低予算ながら世界興行収入が8000万ドルを超えるヒットを記録したスリラー作品。人々の生活を裕福にするため、安全を維持するために政府が定めた「1年に一晩(12時間)だけ殺人を含む全ての犯罪が合法になる」という法律「パージ」。この夜は、警察や消防といった救急サービスの機能はすべて停止なり、街は完全に無法地帯と化す。妻と2人の子どもと暮らすジェームズ・サンディンは、家族とともに「パージ」の夜を完璧なセキュリティの家で平穏に過ごすはずだった。しかし、「パージ」開始直後にターゲットとなった1人の男を家にかくまってしまったことで、暴徒と化した市民から一家全員の命が狙われることとなる。一家の主ジェームズ役にイーサン・ホーク。監督は「ニューヨーク、狼たちの野望」でもホークと組んだジェームズ・デモナコ。(映画.comより



あつらえられたディストピア

2022年のアメリカで
「1年に一晩(12時間)だけ殺人を含む全ての犯罪が合法になる」
という「パージ」なる日が制定されたという設定の
『パージ』

我々現代人は、法律やら道徳やら倫理やら嫁さんやらに
がんじがらめになって生きているけれども、
本質的には粗野で暴力的なクソなので
年に一回くらい無礼講の「ハレ」の日を作って
ガス抜きしましょうよ
、と。
毎日暴れたい人もその日までは我慢してくださいね、と。
「パージ=浄化」の対象となるのは
たいがいの場合、貧乏人などの弱者ですから
これは健全な社会を保つための
大掃除にもなりますよ、と。

現代の格差社会によって増幅された特権意識と
優性思想なども織り交ぜた排他主義をデフォルメ
して
荒唐無稽な世界観を創造するのはよくあることです。
それ自体は構わないし、
現実的な問題がデフォルメされることで
ああ、これはまさに今起きていることじゃないかと
ハッとさせられることもあります。

でもときおり、本作のように
自らの主張を表現するために荒唐無稽な世界をあつらえていることが
ままあるのです。
本作は、人間はどうしようもない生きものだし、
暴力的なのは確かだけれど、それだけじゃないよね♡、
ということの証明を目的として
反論しやすい荒唐無稽な世界が設定されているので
物語が帰結する先はおのずから明らかで、
白ける要素が満載です。

イーサン・ホーク扮するジェームズ
ホーム・セキュリティーのセールスマンで、
高所得者の彼の家にも当然最先端のセキュリティー・システムが
完備されてはいるのですが
先述した本作の前提があるため、
その最先端のセキュリティーは破られるために存在しているので
びっくりするほど脆い
のです。

まだ「パージ」の時間になっていなかったにせよ、
娘のバカ彼はいつのまにか家に入ってるし、
引きこもり気味の息子はセキュリティーの暗証番号を知ってるし、
簡単に電源を落とされるし、簡単に侵入されるし、
もうガバガバなのです。ヤリマンみたいな家なのです。

普通に順を追って考えれば、
「パージ」なんていう日があるんなら
戸締まりを強固にするのは当然として
家の外を攻撃できる(侵入者を撃退する)設備が
あって然るべきではないでしょうか。

それがないのは、「パージ」という日が設定されたら
ひとはどうするかと考えるのではなく、
侵入されることを前提にしているから、
こんなユルガバな話になってしまっているとしか思えません。

それにしても、ジェームスのふたりの子どもは
ふたりともヘドが出るようなバカガキ

ことごとく災難の原因になっています。
家がエラいことになっているときでも姿をくらます娘は
ほんと、どうでもいいですが、
息子がホームレスの黒人を助けてしまう動機が
単に人道的なだけ

彼のパーソナリティに起因すると思わせるだけの描写が
まったくないので
ただの軽率なバカガキにしかみえません。
彼が操る半分壊れたキューピーみたいなラジコンが
室内の監視カメラになる
のはすぐに察しが付きました。
しばらく姿を消していた人物が
ここぞというタイミングで助けに現れるのもバレバレで
むしろ早く出て来いよと待っていたくらいです。

そもそも「パージ」の日に暴力を振るうのは合法なので
ジェームスの家を襲う輩のリーダーだけが顔をさらしていて、
ほかがお面をかぶっているのも不可解だったけれど
それはともかく、本作は
ジェームスのように豊かな生活を営む人間にも
隠された暴力性がある、というところを
描きたかったんじゃないか
と邪推しますが
輩に押し入られてジェームスが反撃するのは
至極当然だし、
『わらの犬』のダスティン・ホフマンのように
ジェームスが日頃から非暴力を唱え、攻撃的でない人間なら
その反撃するさまに矛盾や葛藤を感じるかもしれませんが
そうでもないので、
暴力の正当性や理想と現実のギャップに頭を抱えて
鑑賞後に居心地の悪さが残ることはありません。

あんまり感心しない出来のライトなスリラーです。





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