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奪還者

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(原題:The Rover 2013年/オーストラリア・アメリカ合作 103分)
監督・脚本/デビッド・ミショッド 製作/リズ・ワッツ、デビッド・リンド、デビッド・ミショッド 原案/デビッド・ミショッド、ジョエル・エドガートン 撮影/ナターシャ・ブレイア 美術/ジョー・フォード 音楽/アントニー・パートス
出演/ガイ・ピアース、ロバート・パティンソン、スクート・マクネイリー、デビッド・フィールド、アンソニー・ヘイズ、ジリアン・ジョーンズ、スーザン・プライアー

概要とあらすじ
「アニマル・キングダム」のデビッド・ミショッド監督による世紀末アクション作品。世界経済の崩壊から10年、オーストラリアの地は鉱物資源を求める無法者たちが暴れ回っていた。すべてを失い、唯一の財産は命より大切な愛車だけというエリックだったが、その愛車がヘンリー率いる強盗団に奪われてしまう。あらゆる手段を使って車の奪還を試みるエリックが強盗団を執拗に追いかける。その追跡の途中、強盗中に撃たれ、瀕死の重傷の状態で現場に置き去りにされたヘンリーの弟レイと出会う。さらなる追跡を続けるエリックとレイの間に、いつしか奇妙な友情が芽生え始める。主人公エリックに「L.A.コンフィデンシャル」「メメント」のガイ・ピアース、ヘンリーの弟レイに「トワイライト・サーガ」「コズモポリス」のロバート・パティンソン。(映画.comより



小汚い弱者による渋〜いマッド・マックス

「世界が経済破綻した10年後のオーストラリア」
というコピーで始まる『奪還者』
そんなこと言われると、
どうしたって『マッド・マックス』を思い起こします。
本作もある意味、車が主役でもあるのでなおさらです。
でも本作には派手なファッションやイカれたリーダーは登場せず、
小汚い弱者たちが地味だけどヒリヒリする闘いをみせてくれます。

おなじみと言えばおなじみだけど、
どこまでも広がるオーストラリアの砂漠がことさら雄大で美しく、
人間たちの卑小さを際立たせます。
そんな砂漠にぽつんと建つ一軒のバーでは、
なんと中国語のポップス(?)が大音量で流れているという
なんとも不思議なミスマッチ。
もはや中国人は世界のどこにでもいるということなのでしょう。
中盤で登場する長〜い貨物列車には
中国企業のロゴ
と思しきマークが連なっていたので
中国経済が世界をひっくり返した近未来、
ということなのかもしれません。
で、その店で一息ついているのがエリック(ガイ・ピアース)

すると突然シーンが変わり、
強盗か何かをやらかして車で逃走中の3人組
「弟は生きてる! 引き返せ!」
「諦めろ! 見捨てるしかない!」と
揉めに揉めています。
一切説明をしないけど、ほぼほぼ状況がわかる
セリフのやり取り(罵り合い)が素晴らしい。
やがて罵り合いはエスカレートし、
ハンドルを切り損ねた車が横転! というところで
カメラはバーの店内に戻り、
窓の外を逆さになって走り抜ける車を映し出す……

ってもう、このへんまでの編集の巧みさにワクワクさせられます。

3人組が自分たちの車を乗り捨て、
エリックの車を奪って逃げたもんだから、さあ大変。
エリックは3人組が乗り捨てた車に乗って追いかけます。
ここは、え? その車動くのかよ? と思ったし、
エリックはともかく、自分たちの車が動くんなら
3人組はエリックの車にそんなに固執することもなかろうに
とは思いましたが、
エリックが3人組の車に乗っているということが
見捨てられた弟レイ(ロバート・パティンソン)と出会う
鍵になってくるので、大目に見ましょう。

少年専門の娼館、
そこを仕切るグランマ(ジリアン・ジョーンズ=鉄馬の女!)
銃を売る小人など、怪しいディティールもナイス。
そこへ「なんでお前がアニキたちの車に乗ってんだ?」
登場するのがレイ。
ちょっぴりオツムが弱いレイに扮する
ロバート・パティンソンの演技は素晴らしいんじゃないでしょうか。
詰め寄ってきたレイを逆に拘束し、
3人組の居所までナビゲートさせるエリック。
緊張感溢れる二人旅が始まります。

微妙な駆け引きを続けながら旅をするふたりは
やがて心を許しあう関係へと変化するのですが、
レイが軍用ジープを盗んで逃亡したために、
軍隊から追いかけられるという設定が面白い。
車を盗んだやつを追っかけていると、
別の車を盗まれたやつから追いかけられる
というわけ。
ま、若干軍隊が弱すぎるのは気になりましたが。

ついに3人組が住むアジトに到着したふたり。
レイには、自分を見捨てたアニキに対する復讐心がありますが、
自分の車を発見したエリックはすでに目的を果たしているはず。
一度は自分の車に乗り込んだエリックでしたが
わずかに逡巡したあと、レイの復讐に付き合おうと決断するまでの
無言の心理描写
が秀逸です。
アジトに潜入し、レイとアニキが対峙するまでの
緊張感にしびれます。

結局、エリックが自分の車に執着していた理由は
トランクにあった犬の死体でした。
軍隊に捕まったとき、
エリックは妻と浮気相手の男を殺して埋めたと打ち明けていますが
あれは本当なのではないでしょうか。
で、そのときに愛犬も殺してしまった……
のかどうかは、わかりません。
が、慈善家の女医の家で飼われていた犬に
エリックが強い関心を寄せていたのが伏線だった
のは
あとから気がつきました。

映像も素晴らしいですが、
ノイジーな独特の音楽も素晴らしい
ハードボイルドな傑作です。





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