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イット・フォローズ

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(原題:It Follows 2014年/アメリカ 100分)
監督・脚本・製作/デビッド・ロバート・ミッチェル 撮影/マイケル・ジオラキス 美術/マイケル・T・ペリー 編集/フリオ・C・ペレス4世 音楽/リチャード・ブリーランド
出演/マイカ・モンロー、キーア・ギルクリスト、ダニエル・ゾバット、ジェイク・ウィアリー、オリビア・ルッカルディ、リリー・セーペ

概要とあらすじ
捕まった者に死が訪れる謎の存在=「それ」に付け狙われた女性の恐怖を描いたホラー。低予算ながら斬新なアイデアでクエンティン・タランティーノから称賛され、全米で話題を呼んだ。ある男と一夜を共にした19歳の女子大生ジェイ。しかしその男が豹変し、ジェイは椅子に縛り付けられてしまう。男はジェイに「それ」をうつしたこと、そして「それ」に捕まったら必ず死ぬことを彼女に告げる。「それ」は人にうつすことができるが、うつした相手が死んだら自分に戻ってくるという。ジェイは刻一刻と迫ってくる「それ」から逃げ延びようとするが……。本作が長編2作目となる新鋭デビッド・ロバート・ミッチェルが監督・脚本を手がけ、「ザ・ゲスト」のマイカ・モンローが主演を務めた。(映画.comより



必ずやってくるのに、いつ訪れるかわからない「それ」

アメリカでは評判が口コミで広がって
大ヒットしたという『イット・フォローズ』
そんな話題性のせいかどうか知りませんが、
普通なら、東京だと新宿武蔵野館かヒュートラ渋谷で
やりそうな低予算のホラーが
TOHOシネマズでチケット完売が連続しているもよう。

イケメンのヒュー(ジェイク・ウィアリー)
ジェイ(マイカ・モンロー)
つきあい始めたばかりで、エッチはまだ。
ジェイがもうそろそろいいかな♡ってんで
めでたく車中で結ばれたふたりでしたが、ヒューが豹変。
ジェイが眼を覚ましたときには車イスに拘束されています。
ヒューがいうには、
自分は「それ」に追われていて、
誰かとエッチして「それ」をうつさないといけないから
ジェイとエッチした、と。
すまん、と。申し訳ない、と。
せやから、今度はジェイが「それ」から追われるようになるけど
ジェイが「それ」に殺されてしもたら
遡って自分が追われることになんねん、と。
だから頑張れ、と。

頑張れといわれてもふざけんなよテメェって話なんですが
なんでヒューはジェイを一旦車イスに拘束したのか、
理由がよくわかりません。
まあ、それは細かいことかもしれないから置いておくとして
最後まで疑問だったのは
ヒューが「それ」の仕組みを知っていたのはなぜかということ。
ヒューは自分が「それ」をうつされた相手を
たぶんあんときの……くらいの記憶しかないため、
その相手から伝え聞いたとは考えにくい。
「それ」がゆっくり歩いてくるということは
経験から学んだとしても、
「それ」が近づいてくる目的が自分を殺すことだということ、
そして、自分がターゲットにされたのはエッチが原因で、
ほかの誰かとエッチすればターゲットが「うつる」ということを
なぜヒューは知っているのでしょうか。


まあ、「それ」はそれなりに怖く、何度かビクつきました。
とくにビクついたのは、家の中に現れるデカいやつ
基本的に、来るかもしんねえぞ〜という脅しの恐怖が多いです。
露出度高めのことが多い「それ」の姿が見えるのは
狙われている、もしくは狙われていたことのある人間だけですが
「それ」は壁をすり抜けたり空を飛んだりするわけではなく、
普通の人間と同じ行動しかとれないので、
もう部屋の中に引きこもってればいいんじゃないの?と思いましたが
登場人物たちはあっちこっち逃げ回るのです。

ところで、ふと思いつきましたが
「それ」がうつるエッチとはどういう状態をいうのでしょうかね。
挿入したらエッチ完了? それとも男が射精した瞬間?
エッチしている最中に現れた「それ」は、どうするんでしょうね。
え? いまどっち? どっちを狙えばいいの??
なんつって、キョロキョロするんでしょうか。

疑問点はほかにもあって、
ひとり浜辺に出たジェイが、
ヨットではしゃぐ3人のバカ男たちを発見し、
下着姿になって海に入るシーンがありましたが、
あれはあいつらとジェイがエッチしたということでしょうか。
でも、「それ」の追跡がそれで終わったわけでもないし……

てな具合に、意図しているのかいないのか
(その両方だと邪推しますが)
とくに事実関係において判然としない部分が多く、
本国アメリカでもさまざまな議論がなされているようです。
多くは「それ」が性病のメタファー
奔放な性の代償は必ずや支払うときが来るとでもいうような
モラルを問いただす教訓めいた解釈のようですが、
ジェイは特別に脳天気なヤリマンというわけでもないので
「それ」を性病とする解釈はやはり短絡的な気がします。
T・S・エリオットの詩やドストエフスキー『白痴』
引用したりするもんだからなおさら思わせぶりですが、
タランティーノの「女性嫌悪」という解釈に対しても
デビッド・ロバート・ミッチェル監督は否定し、
「生と死と愛の物語」だと説明しているそうです。
それはいくらなんでも風呂敷を広げすぎだろと思いますが
自覚的にしろ無自覚的にしろ、
ただ怖がらせるだけのホラーではないんじゃないでしょうか。

特徴的なのは、親の不在
ジェイの家には母親がいますが、ほとんどまともに映りません。
母親は同じ部屋にいてもひとりうつむいて酒を飲んでいるし、
ジェイの父親はおそらくすでに亡くなっているのでしょう。
そのことで母親はアル中になり、
子どもの世話をすることもなく、
子どもからもアテにされていないようす。
ジェイの家に入り浸っている友達も
親の存在を想像させません。

また、ジェイが「それ」をうつした近所のイケメンを襲う
「それ」はイケメンの母親の姿をしていて
近親相姦的な最後を迎えるし、
プールで「それ」をおびき寄せようとしていた
ジェイたちの前に現れたのは
ジェイの父親の姿をした「それ」でした。
すくなくとも親子関係の崩壊というものが
モチーフの一つになっているのではないでしょうか。
もしかしたら、自動車産業が衰退して
廃墟だらけになったデトロイトがロケ地なのも
過去から引き継いだ負の遺産を象徴しているのかもしれません。

「それ」にもっともイメージが近いのは
「死」ではないでしょうか。
必ずやってくるのに、いつ訪れるかわからない「死」は
生きている人間にとって、ずっとつきまとう恐怖です。

最終的に、ジェイは幼なじみのボンクラと結ばれて
ハッピーエンドのようにも思えますが
手をつないで歩くふたりの後ろには
ぼんやりと歩く人影が。

ただの通行人かもしれないし、「それ」かもしれません。
これでジェイは真実の愛を見つけた、なんてことになると
それはそれでジェイ、都合よすぎじゃね?
ボンクラが惚れてること、ずっと知ってたくせに。

いろいろと齟齬があると感じるけれど
そんなに悪い作品ではないし、
かといってそんなにもてはやす作品でもない、
てなところでしょうか。

あ、あと。素人が扱う銃、怖い。





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