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リザとキツネと恋する死者たち

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(原題:Liza, a rokatunder 2014年/ハンガリー 98分)
監督・脚本/ウッイ・メーサーロシュ・カーロイ 撮影/ペーテル・サトマーリ 音楽/アンブルシュ・テビシュハージ
出演/モーニカ・バルシャイ、デビッド・サクライ、サボルチ・ベデ・ファゼカシュ、ガーボル・レビツキ、ピロシュカ・モルナール、ゾルターン・シュミエド

概要とあらすじ
監督が来日時に知ったという栃木県・那須に伝わる「九尾の狐伝説」をモチーフに、主人公の奥手な女性が奇妙な事件に巻き込まれるハンガリー産のファンタジックコメディ。1970年代のブダペスト。リザは日本大使未亡人の看護人として住み込みで働いていた。リザを癒してくれるのは、リザにだけ見ることができる幽霊の日本人歌手・トミー谷による軽妙な歌声だけだった。そんなある日、リザの留守中に未亡人が殺され、さらに周囲で殺人事件が相次ぐ。不審に思った刑事ゾルタンは下宿人を装って屋敷を訪れるが……。監督は本作が長編デビューとなるCMディレクターのウッイ・メーサーロシュ・カーロイ。世界3大ファンタスティック映画祭のうちの2つである、第35回ポルト国際映画祭でグランプリ、第33回ブリュッセル国際ファンタスティック映画祭で審査員&観客賞を受賞。日本では大阪アジアン映画祭などで「牝狐リザ」のタイトルで正式上映された。(映画.comより



ちょっぴりかわいいバカ映画

日本の昭和歌謡を大々的に取り入れた映画といえば、
『嗤う分身』がありますが、
それよりも日本マニア度がさらにアップ(深化?)している
『リザとキツネと恋する死者たち』
物語の題材は那須の「九尾の狐伝説」で、
ヒロインのリザ(モーニカ・バルシャイ)
日本の三流小説を繰り返し読み、
おばけのトミー谷(デビッド・サクライ)が歌い踊る歌は
昭和歌謡風(主にロカビリー)に作ったオリジナルというわけで、
ウッイ・メーサーロシュ・カーロイ監督
熱が伝わってこようというもの。

舞台は1970年代のブダペスト
(と、公式サイトではなっていますが、
「映画秘宝2016年1月号」のレビューでは
「チュダペストという名の架空の街」とあります。
 どうなんでしょう?)
日本大使未亡人の家に住み込みで働くアラサー・リザは
おそらく未亡人の影響で日本好きになったのでしょうが
地味で内気な孤児なのでした。
トミー谷は、そんなリザにだけ姿が見えるおばけなのです。
リザとトミー谷がふたりで踊るダンスがかわいい。
ていうか、映画に出てくるダンスシーンって
かなり高い確率でウキウキいたしまするね。

リザは愛読する日本の小説のような恋愛に憧れていて、
理想の相手を探し始めるのですが、
未亡人を始めとして、リザの周囲に現れる男性は
トミー谷の仕業によって、次々と死んでしまいます。
『アメリ』みたいな、ちょっと変わったおしゃれムービーかなと
予想していたのですが、
本作はもっと悪ふざけ度が高い作品でした。
トミー谷はリザの部屋にいついているおばけかと思っていたら、
じつは死神で、
大気圏外や南極(?)まで出張したりしています。
CGの使い方もわりとあからさまで、
『アメリ』的な映画のルックほど洗練されているとは
感じませんでした。

また、リザの周囲に死ぬ人物が登場すると
画面に漢字で「死者」という文字が現れるのですが、
その人物が登場したときに出たり、
死んだあとだったりと、いまいちあいまい。
しかも、リザと同居することになる
ゾルタン(サボルチ・ベデ・ファゼカシュ)にも
3番目の「死者」として文字だ出たはずなのに、
ゾルタンはケガはするものの、一向に死にません。
ま、ゾルタンは最終的にリザと結ばれるはずの
運命の男性だからという理由なのかもしれませんが
それならそれでトミー谷が、
こいつなかなか死なねーぞ、と
狼狽するところがあったりするとよかったんですけど。

あと、漢字ね。
フォントとか、エンボス加工されている感じとかが
それ以外のこじゃれたデザインとかけ離れていて
野暮ったく感じるのは
僕が日本人だからそう感じてしまうのかもしれません。
一方、セリフで登場する日本語
なかなかの出来とはいっても片言で妙ちくりんなのですが、
にもかかわらず、これは気になるどころかむしろ面白く、
本作のいびつな世界観にマッチしていると思いました。

1970年代のブダペストにあるはずのない
メック・バーガーというファーストフード店があったり、
雑誌のコスモポリタンが売っていたりして、
それらにリザが憧れているのは
資本主義に羨望のまなざしを送る
社会主義国ハンガリーの人々を皮肉っているようです。

トミー谷が
リザの周囲の人々をつぎつぎに死に導いていたのは
愛するリザから男を遠ざけるため……ではなく、
人生に絶望したリザに自殺させ、
あちら側の世界で一緒に暮らすため
でした。
かなり身勝手な発想のトミー谷。
でも、それがリザを苦しめていたキツネの呪いなのです。
その呪いを解くためには
お互いが「無私の愛」で結ばれた運命の人が必要というわけです。

バランスボールで飛び跳ねながらセックスしたり、
ゾルタンが裸で警察署をうろついていたり、
ホラー風劇判がコーヒーメーカーの音だったり、
いかにも笑ってほしげなところが鼻についたし、
それぞれの死に方にも、もう一味ほしかったところ。
CGの使い方もあんまり気に入りませんでしたが、
ラストの書き割りの那須高原はアリ。あれはアリ。

そんな、ちょっぴりかわいいバカ映画でした。





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コメント

トニー谷という「意味」

トニー谷という「意味」は、グローバル・スタンダードで通用するんですね。
アメリカで「おそ松くん」がリメイクされる日がくるのかもしれません。イヤミは昔のドナルド・サザーランドにやってほしかったなあ。

ちょっと前に読んだ姫野カオルコ「リアル・シンデレラ」に、あきらかにトニー谷な神様が突然あらわれる場面がありました。
トニー谷って一時期に大勢出現する傾向があるみたいですね(笑)

2016/01/10 (日) 02:51:52 | URL | 朕 #- [ 編集 ]

Re: トニー谷という「意味」

> 朕さん
いろいろよくご存じで、さすがですね。
トニー谷には、この世ならざる雰囲気があるんでしょうかねぇ。

2016/01/10 (日) 11:05:23 | URL | のほうず #- [ 編集 ]

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