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黒い十人の女

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(1961年/日本 102分)
監督/市川崑 脚本/和田夏十 企画/藤井浩明 製作/永田雅一 撮影/小林節雄 美術/下河原友雄 音楽/芥川也寸志 録音/西井憲一 照明/伊藤幸夫
出演/岸惠子、山本富士子、宮城まり子、中村玉緒、岸田今日子、宇野良子、村井千恵子、有明マスミ、紺野ユカ、倉田マユミ、森山加代子、船越英二、永井智雄、大辻伺郎、伊丹一三、佐山真二、中川弘子、浜村純

概要とあらすじ
「足にさわった女(1960)」の和田夏十のオリジナル・シナリオを、「おとうと(1960)」の市川崑が監督した、テレビ界を舞台にした人間が人間でありたいというノスタルジーの物語。現代の煩雑な社会の一分子テレピプロデューサー風松吉。メカニズムに押し流されている彼には近づく女も多い。彼と関係した女は十指に余る。妻の双葉はそんな夫をあきらめて淋しい毎日をレストラン経営にまぎらわしていた。責任のない関係のつもりだったが、女の方では奇妙に風を忘れられない……(映画.comより抜粋



だんな、粋でございやすね。

クールでスタイリッシュ! と呼ばれる市川崑監督
なかでもこの『黒い十人の女』
オサレ映画として認知されております。
計算された構図と光と影のコントラストが強い映像や
芥川也寸志による音楽も素晴らしいです。
んが、そもそもお話が面白い。
脚本は監督の盟友であり奥さんでもある和田夏十

テレビ局のプロデューサー風松吉(船越英二)
妻を持つ身でありながら、9人の愛人をつくっています。
「風」という名前からしてふわふわしていますが、
風に扮する船越英二が放つ優柔不断な雰囲気が絶妙で、
遊び人というわけでもなく、マッチョでもありませんが、
なんだか人を惹きつける色気を放っています。

また、本作がオサレ映画と言われる所以は
やっぱり豪華な女優陣でしょう。
風の本妻、双葉を演じる山本富士子の高貴さ
キャリアに悩む女優の岸惠子のゴージャスな色気、
岸田今日子の強い瞳と厚い唇、
ウザイけど貞淑な妻たらんとする宮城まり子、などなど
それぞれがそれぞれのキャラクターに合った
かわいさと美しさを湛えています。

なかでも、おそらく60年代当時の生コマーシャルを担当する
コマーシャル・ガールを演じる中村玉緒のかわいさは突出していて、
今で言うならちゃらんぽらんな女子アナ的な役どころを
見事に演じています。
ぐふふ〜なんて言いながらパチンコしている姿など想像できません。

いい加減すぎて腹立たしい、でも愛らしい風松吉の
本妻+9人の愛人たち
アタシたちは、あのヒトがいるせいでこんなに思い悩むのよ、
でも、ほかの誰かのものになるかと思ったら悔しいのよ、
だから、いっそのことあのヒトを殺しちゃえばいいのよ、
なにやら特殊な連帯感で結ばれ、風殺害を共謀するのですが、
そんなことを言いながら、抜け駆けを企てたり、
良心の呵責に苛まれたり、
女性同士ならではの(というと怒られるかもしれないが)
心理戦が見物です。

小気味いいセリフの応酬も魅力のひとつで、
僕が好きなのは、
山本富士子と岸惠子がふたりきりで風の殺し方を相談するシーン。
「大体あなたがいけませんわよ。一番古い妾のくせに
 妾、妾、妾って、これから何人妾を作らせる気なの?」
「あのね、妾、妾、妾ってなによ」
「ごめんなさい。恋人でらしたわね」
という火花の散らし方とか、
「なんか召し上がる? 持ってきましょうか、ジンフィズかなにか」
「これでいい」と
岸惠子が目の前にあったジョニー・ウォーカーをコップにつぐと
「あたくしも生(き)でいこ」と一緒に飲む山本富士子。
そして、グラスを小さく掲げて乾杯。
粋でございやすね。
セリフを聞いているだけで気持ちがいいんです。

さて、十人の女たちが揃って
風殺害へと及ぶかと思いきや、
本妻・山本富士子がぬけがけし、狂言殺人へ。
それを、ほんとに風が殺されたと思い込んだ印刷屋の女社長・宮城まり子が
自殺してしまい、その後幽霊として登場するという
ファンタジックな演出も面白い。
そして、冒頭のシーンにつながる構成も見事です。

最終的に、岸惠子が風を引き取ることになるのですが
この期に及んで、風はやっと自分の優柔不断さに涙するのです。
女がパーソナルな幸福感を得られれば満足するのに対し、
家庭を顧みず、社会的地位を得ることを求める男に対する批判
込められていることは明らかです。

1960年代の高度成長期まっただ中の作品だからか、
わりと唐突に社会問題を提議するくだりは
主張があからさますぎてちょっぴり残念ですが、
ラストシーンで、横転し炎上する車の横を通り過ぎる岸惠子
ただ明るいだけの未来が待ち受けているとは思えません。





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