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サクラメント 死の楽園

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(原題:The Sacrament 2013年/アメリカ 100分)
監督・脚本/タイ・ウェスト 製作/イーライ・ロス、ジェイコブ・ジャフク、ピーター・ポーク、クリストファー・ウッドロウ、モリー・コナーズ 撮影/エリック・ロビンス 美術/ジェイド・ヒーリー 音楽/タイラー・ベイツ 音楽監修/ジョー・ラッジ
出演/AJ・ボーウェン、ジョー・スワンバーグ、ケンタッカー・オードリー、エイミー・サイメッツ、ジーン・ジョーンズ

概要とあらすじ
カルト教団「人民寺院」による実際に起こった集団自殺事件をモチーフに、「ホステル」「グリーンインフェルノ」のイーライ・ロス製作・脚本で描いたホラー作品。ある日、連絡が途絶えていた妹から奇妙な手紙を受け取ったパトリックは、過激な突撃潜入取材で知られるVICE社のサムとともに、妹が暮らす共同体に潜入取材を敢行する。「エデン教区」と名付けられたその場所では「ここで豊かな生活ができるのは『ファーザー』のおかげだ」と、パトリックの妹をはじめ、誰もが幸せそうに生活を送っていた。しかし、平和に思われた「地上の楽園」に、不可解な空気が見え隠れし始める。監督は「V/H/S シンドローム」のタイ・ウェスト。全編POV(主観視点)による撮影により、臨場感のある恐怖を演出している。(映画.comより



言い訳がましいPOV

タイ・ウェスト監督作品というより、
イーライ・ロス製作ってほうに惹かれた
『サクラメント 死の楽園』です。
タイ・ウェスト監督の『V/H/S シンドローム』
観るには観たけど、あまりにもクソつまんなくて
感想すら書きませんでした。
アダム・ウィンガード監督の『サプライズ(2011)』
最初に殺されるやつがタイ・ウェストです。

まあ、イーライ・ロス製作というだけでなく、
カルト教団「人民寺院」による実際に起こった集団自殺事件を
モチーフにしたモキュメンタリーだというのも
本作に興味を持った理由のひとつです。

ファッション・カメラマンのパトリック(ケンタッカー・オードリー)
キャロライン(エイミー・サイメッツ)
新興宗教に入信したらしく、しばらく音信不通だっところに
手紙が届き、おにいちゃん、今度遊びに来てね、と。
その話を聞きつけたVICEというメディアの
(潜入取材を得意とする実在のメディア)
記者サム(AJ・ボーウェン)
カメラマンのジェイク(ジョー・スワンバーグ)
パトリックの妹訪問に同行することになるというお話。

キャロラインが暮らしている「エデン教区」と呼ばれるコミューンは
入口こそ武装した男たちがいて物々しい雰囲気だったけれど
中に入ってみれば、そこで暮らす信者たちは
一見穏やかに暮らしているようす。
私財を投げ打って出家したとか、いかにもなエピソードもありましたが
とにかく「ファーザー」と呼ばれる教祖を慕って集まっている信者たちは
満足そうです。

で、サムとジェイクは
「ファーザー」に対するインタビューを行なうことになるのですが
このインタビューの内容が、
いかにも共産主義的ユートピアな発言に終始し、
理想論としては、とくに異を唱えるようなものではないのです。
まあ、サム自身も聞きたいことの1/4しか聞けなかったと
言っていましたが
このシーンは「やっぱり、こいつ、頭がおかしいわ」と思わせるか、
「確かにその通りかも」と価値観が揺らぐような、
心理的な危うさをもっと繊細に表現してほしかったところ。

基本的に、というか前提として
本作は「頭がおかしいやつらがいる場所に迷い込んじゃいました」
という作りになっているので
教団が最初からものすごく短絡的なキチガイとしてしか
描かれていない
のが難点です。
出かけていったら、とんでもないやつらだったという意味では
イーライ・ロスが監督した『グリーンインフェルノ』も同じですが
『グリーンインフェルノ』の場合は、
食人族というこれ以上ない凶暴な設定であるにもかかわらず、
彼ら食人族には彼らなりの秩序があることを感じさせてくれました。
だからこそ、ゴアシーンを楽しみながらも
本当に野蛮なのはどっちだろうと考えさせてくれるのです。
ところが本作では、この教団はあくまでキチガイ集団であって
かかわらないようにするか、潰してしまうか、という
身も蓋もない存在としてしか描かれていないのです。

少なくとも実際に起きた事件を題材にしているのであれば、
このようなカルト教団に入信してしまう人たちの心理、
またはこのようなカルト教団を産み出してしまう社会的病理を
考察したうえで、せめてそれを臭わせるぐらいには表現しないと
いけないのではないでしょうか。

だからして、
「ファーザー」が信者たちに集団自殺を強要するに到る動機も
さっぱりわかりません。

たかが3人の外部の人間がやってきて
(しかも自分で招き入れて)
「お前らのおかげで楽園が破壊された。米軍がやって来る」
という被害妄想に囚われる展開には
いや、どう考えてもそんなに追い詰められてないだろとしか
思えません。

本作はPOVによる作品ということですが、
POVという手法に対する中途半端な律儀さがあり、
ファッション・カメラマンのパトリックにジェイクが
「そのカメラ、動画も撮れる?」といってみたり、
パトリックが捕らえられたあとは
「ファーザー」がキャロラインに
「そのカメラで記録しろ」といってみたり、
(このあと集団自決するんだから記録する必要なんてないでしょ)
POVであることを死守するための言い訳がましいセリフや設定が多く、
そのわりには集団自殺のシーンなどは完全に編集された映像だったり、
いいかげんさが目に付きます。

ラストで、サムとジェイクが
ヘリコプターに乗って命からがら脱出するシーンでは
映っているのがジェイクが持っているカメラの映像という、
どーでもいいことに固執するあまり、
腕を銃で撃たれたのに彼らの到着を待っていたパイロットの
表情すらまったく映さない
ので、
ああ、パイロットは出血多量で死んでしまって
ヘリコプターが飛ばせないのかな? と一瞬思ったら
ふつ〜にヘリはぱたぱたと飛び上がるのです。
なんだよ、これ。

ここはもっとも、
「間に合うの? 間に合わないの?」という
サスペンスの常套句を気持ちよく見せてくれないとダメなシーンでしょ。
そもそも武装した信者の一人に
お前ら逃げろっていわれて逃げてるもんだから
ギリまで追ってくるやつがいないのはどういうことか。
ハッキリ言って、サスペンス演出が下手くそ過ぎます。

「ファーザー」のキャラもそれほどタっていないし、
本作と同様にカルト教団を描いた
『ザ・マスター(2013)』
『マーサ、あるいはマーシー・メイ(2011)』の足元にも及ばない、
非常に薄っぺらい作品です。





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